ゆきちゃんへ
ゆきちゃん、昨日とうとう手紙が届きました。10年前に書いた、「10年後の自分に向けて書いた手紙」です。ゆきちゃんが、便箋に何を書いたのか、あの時とても気になりました。
でもやっと見ることが出来ました。あまりの短い文章にビックリしましたが、ゆきちゃんらしいですね。
人の記憶というのは、曖昧ですね。私はあの手紙のことを、ふと思い出すことがありましたが、秋に届くだろうと思っていたのです。が、書いたのは、5月の今の時期でした。
手紙には、その時の自分のこと・家族の様子が書いてありました。10年前、母が卵巣がんだったこと、妹が妊娠したこと…仕事の昇進、読んでいると10年という時間の短さ…あっという間でした。あの頃は、10年先という時間はもっと遠い先にあるものだと思っていたのに。
手紙は、当時ゆきちゃんと過ごした時間がとても楽しいものだと分かりました。それは、自分の手紙の字が優しく落ち着いて、未来を感じさせるものだったからです。ゆきちゃんと過ごした時間はとても幸せだったんですね。本当にありがとう。
私は、この3年で変わりました。がんサバイバーとして生きるようになりました、けれどとても幸せです。ゆきちゃんといる時も楽しかったけれど、今はそれ以上に楽しいのです。やっと自分の足で歩いているような気がします。
ゆきちゃんとは、何処かでまた必ずめぐり会えるでしょう。現世が無理なら来世で逢えるでしょう。
ゆきちゃんのバラが今年も咲きました。手紙とともに咲いたバラは、ゆきちゃんの心です。感謝の気持ちをこめて捧げます。