詩・・・「幻を書く」

2017-08-06 01:59:47 | 
    幻を書く

幻を見るのも聴くのも
それはおれの
気分しだい なのかもしれない
生死についても
気分しだいなのであろう
なにも仰々しく
書くこともないのである
       
モノに寄せてこころを書く
しちめんどうくさいことに凝ってしまったものだ
あげくのはてが
幻に寄せてこころを書く
酔狂なことに慣れてしまったものだ

滝壺に沈んだ水は
そんなおれをあざ笑うかのように

   反転して浮き上がると
   なにごともなかったかのように
   ふたたび海に向かって
   悠々と流れていく
   したたかな水の声は聞こえたろうか  *

流れているのだ
書くことなんかやめて
こころの声を聞いてみたい
                          
              * 埋田昇二氏の詩集「気まぐれな神」所収「滝」より
コメント (4)
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