*詩・セッション*
今ここに居ることが嘘でないかぎり
高田数豊 & 久保田松幸
すすきの穂先に塔の水煙が見えたら魯を上げて少し休みましょう
急ぐこともないでしょう
今ここに居ることが嘘でないかぎり
うぐいす色の水面に白鷺の羽もたゆとうています
向う岸は縁日でしょうか 幟(のぼり)がはためいています
船ごと揺れそうな真昼の花火です
音は落ちるのでしょうか散るのでしょうか拡がるのでしょうか
嫌な記憶しかありません
今ここに居ることが嘘でないかぎり
わたしの耳は沈殿している音を汲み上げるのです
(高)
季節よ 何故そんなに急ぐのか
昨日も今日も 大事な日ではなかったか
明日も またしかり
だが ふるさとの再生しない風景に
明日が まだあるだろうか
(久)
遠くまで来たような気がしますが
この先目印となるものに心当たりがありません
かまやしません 時の流れを渡り切ろうなどと
大それたことは考えていませんから
時の流れるままに
玄関の花を換え 床屋にも行き うそ歌を口ずさんで
折々には香を焚き 妻の出掛けを見送り
小銭を握ってこっそり宝くじでも買ってみますか
たくさんの別れを経験してきましたがこの頃は恐ろしすぎて
わたし自身今ここに居ることが不思議でなりません
当たり前のような日々が・・・・
(高)
人を代理して機械が 宇宙を旅している
機械には 無限に落ちているという
実感はないのであろうか
わが家の盂蘭盆は
何処か宇宙の庭前になっている
(久)
簾(すだれ)を立てた八百屋のおじさんは
前掛けでひとつひとつ梨を拭いています
サーフボードを乗せた車が峠道をとばしています
重力は数々の錯覚と妄想を生み続けています
平日の予定もすべてキャンセルです
浮世の風を風として船を流します
今ここに居ることが嘘でないかぎり
こうしてたゆとう思いも嘘ではないでしょう
人恋しくなったらにぎやかな渡し場に船を寄せて
今ここに居ることも
「まんざらでもないわ」と
ひらきなおってみます
(高)
大柄な花弁の 酔芙蓉の花がゆれています
(久)
今ここに居ることが嘘でないかぎり
高田数豊 & 久保田松幸
すすきの穂先に塔の水煙が見えたら魯を上げて少し休みましょう
急ぐこともないでしょう
今ここに居ることが嘘でないかぎり
うぐいす色の水面に白鷺の羽もたゆとうています
向う岸は縁日でしょうか 幟(のぼり)がはためいています
船ごと揺れそうな真昼の花火です
音は落ちるのでしょうか散るのでしょうか拡がるのでしょうか
嫌な記憶しかありません
今ここに居ることが嘘でないかぎり
わたしの耳は沈殿している音を汲み上げるのです
(高)
季節よ 何故そんなに急ぐのか
昨日も今日も 大事な日ではなかったか
明日も またしかり
だが ふるさとの再生しない風景に
明日が まだあるだろうか
(久)
遠くまで来たような気がしますが
この先目印となるものに心当たりがありません
かまやしません 時の流れを渡り切ろうなどと
大それたことは考えていませんから
時の流れるままに
玄関の花を換え 床屋にも行き うそ歌を口ずさんで
折々には香を焚き 妻の出掛けを見送り
小銭を握ってこっそり宝くじでも買ってみますか
たくさんの別れを経験してきましたがこの頃は恐ろしすぎて
わたし自身今ここに居ることが不思議でなりません
当たり前のような日々が・・・・
(高)
人を代理して機械が 宇宙を旅している
機械には 無限に落ちているという
実感はないのであろうか
わが家の盂蘭盆は
何処か宇宙の庭前になっている
(久)
簾(すだれ)を立てた八百屋のおじさんは
前掛けでひとつひとつ梨を拭いています
サーフボードを乗せた車が峠道をとばしています
重力は数々の錯覚と妄想を生み続けています
平日の予定もすべてキャンセルです
浮世の風を風として船を流します
今ここに居ることが嘘でないかぎり
こうしてたゆとう思いも嘘ではないでしょう
人恋しくなったらにぎやかな渡し場に船を寄せて
今ここに居ることも
「まんざらでもないわ」と
ひらきなおってみます
(高)
大柄な花弁の 酔芙蓉の花がゆれています
(久)
ジャズのような連詩かな、と(連詩の意味をそもそも理解していないかもしれませんが)
KAZUさんはピアノ、久さんはサックスフォーンを奏でているなと、詩を音で聴いている気分です。