詩  フラスコ

2015-12-06 19:36:41 | 
   フラスコ
              
伽藍から消えた君の踵

真っ昼間の真空の器

君が投げ捨てた玄関のキーホルダーが光の底に沈んでいる

法隆寺東院から西院へ

裸足で走ったぼくたちのフィラメント

切れたコードの先端を探すのはよそう


タチアオイのロングドレス

廃屋の樋をつたう朝露

初夏はゴムの焦げた臭い

約束を詰める器はない

振ればそれだけ濁っていく

海から消える波

風からちぎれる音

遠ざかる靴音


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