暑かった(秋田県ではそうでもなかったけど)夏が嘘のように、急に冷え込んできた。気づけば10月も半ば。本来は秋真っ只中であり、東北地方では雪を想定してスタッドレスタイヤのCMも増えてきた。こんな季節になると岩手県花巻市の竹駒の中華そばが無性に食べたくなる。でももう竹駒は閉店してしまった。現代の技術を持っても、味だけはアーカイブのしようがない。これは現地に行って現物を食べ、自分の身体と記憶に残すしか方法がない。そんなことを考えているうちに、「そうだ大原の中華そばを食べに行こう」と思い付いた。大原といっても京都ではなく、岩手県の旧・大東町(現・一関市)の大原地区のことである。そこでは金物屋さんの奥に併設された食堂で、素朴な中華そばを食べることができる。暖簾こそ掛かっているものの、ここがラーメン屋さんとは一見では確信が持てない。もう幻の中華そば屋といっても過言ではない。
さて、久しぶりに訪れた幻の中華そば屋「岩幸商店」。僕は過去に2〜3回来ているので、迷うことなく暖簾を潜る。そして雑然と物が並べられた金物屋店舗を抜け、奥にある食堂入口に入る。そこに現れる食堂は、もう昭和30年代(僕は生まれていないけど)そのものという感じである。あたかもタイムトンネルを抜けてきたかのような錯覚を覚える。少年ジャンプ(これも数年前のもの)があることを除けば、令和どころか平成さえも感じない。ほんの少し前までラーメンは450円だったらしいが、こんなところにも物価上昇は波及している。でも安い。600円でも良いのではないか。当然そのラーメンを食べる。安定したあっさり味、いわゆる中華そばである。優しさが染み入るような味だった。またいつの日か、突然ここのラーメンが食べたくなり、はるばる秋田から訪れることになるだろう。
読み始めてすぐに読む気がなくなりました。
このような店はラーメンの味よりも
このたたずまいだけあればいいと思いました。
いつかなくなってしまうと思うと寂しいですね。
しかもラーメンが6550円は今の時代考えられない値段です。
岩幸;電話27番・この意味は謎です
ただ美味いだけの店は全国に沢山あります。でもこういう店は、そう多く残されていません。
そして地元の客の味の基準になるのです。あ、でもここで地元客と会ったことないですね(笑)。
追伸:やさしい味のラーメンですよ。店主も優しそうな方です。
金物を買いに来て、ついでに奥でラーメンを食べる。
そんな機会があるのか分かりませんが、そんな生活も悪くない。そう思わさせます。
追伸:電話は0027だと思います。昔は市内局番前提で、市街に掛けることは滅多になかったのだと・・・。別の場所ですが僕の祖父母の商店は電話9番でした。
iPhoneのカメラが歪みを補正し過ぎるのかもしれません(笑)。