ショッピングセンターなどで、駐車場がガラガラなのにワザワザ隣に駐車してくる人を「トナラー」と呼ぶそうだ。その場所が出入り口に近いとか、日陰になっているとか、合理的な理由があるとは限らない。広大な駐車場に1台しか車がいなくても、隣に停めるのだ。このトナラーに類することは、駐車場に限らず発生する。一昨年のことだが、一人旅でJRの特急列車(自由席)に乗った。それは旅の帰路で、僕はとても疲れていた。出来れば眠りたかった。自由席車両の乗客は噓のような話、僕一人だけだった。ゆっくり寝れそうだと安心し、真ん中あたりに席を取り、ウトウトしていた。次の駅で、そこに一組の老夫婦が乗って来た。前方から歩いてきて、ガラガラの車内で何故か僕の真ん前に座った。そしてドサっと勢いよく座ると同時に、いきなり座席のリクライニングを倒してきた(かなりの角度)。相手は老夫婦、僕は耐えることにした。だが彼らはひっきりなしに喋るし、挙句に誰かと大声で電話を始めた。とても眠ることなどできない。僕はそっと席を移動した。なにしろ他に乗客は一組もいないのだ。
こんなこともあった。秋田県内のホルモン料理の店でランチを食べた。ファミレス並みの大型店で、大きめのテーブルだけで優に10卓以上ある。60人以上は収容できるだろう。ここでも何故か客は僕たち(僕と家人)だけだった。ガスのセッティングなどが終わった頃、4人組の高齢男性が入ってきた。案の定、その4人組は、すぐ横のテーブルに座った。そしていきなり4人ともタバコをプカプカし始めた。言っておくが、僕もかつてはヘビースモーカーだった(今は禁煙した)。喫煙者の気持ちだって分かる。飲食店も焼肉屋を兼ねた店だ。喫煙は禁止されていないかもしれない。だとしても、4人全員喫煙するのであれば、わざわざこれから食事をする人のテーブルの真横に座るだろうか。他の全ての席は空いているのである。10年前であれば、相手を怒鳴りつけトラブルを起こしたかもしれない。でも大人になった僕はこう言った。
「あの、大変申し訳ありませんが、僕ら喉を痛めていてタバコが苦手なんですよ。これだけ席が空いているし、あちらには広いテーブルもあるので、よろしかったら離れて座りませんか?そうすれば、お好きなだけ吸って頂いても問題ありませんから」
四人のうち一人は「申し訳なかった」と言って恐縮していたが、他の人はキョトンとしているか、憮然としているか、そのどちらかだった。言いがかりを付けられたと思っている節すらある。むしろ僕のことを狼藉者として認識しているのだ。やれやれ。ちなみに、その四人組は極めて公的な立場の人たちのようだったが、そこは秘す。
こういう例は、枚挙に遑がない。飲食店側に問題があるケースもある。これもコロナ禍以前のことだ。ある地域の名物料理をランチで食べに行った。大抵の店は混んでいるのだが、その店はガラガラだった。僕が家人と2人で入った時に、先客は中年の夫婦らしき2人連れのみだった。店員からその先客が座る4人掛けの席に座るよう促される。先客は向かい合って座っているので、その横に座れということだ。僕も驚いたし、先方も驚いていた。それは引っ切りなしに客が来るのであれば分かる。でも時刻は12時45分過ぎ。これから客が殺到することも考えられない。「お連れの方が座っていらっしゃるので、他の席にして戴けませんか」、僕は丁寧に聞いた。店員の答えは「席はこちらになります」。当然ながら、着席せずに退店することを告げた。慌てて厨房の奥から板前らしき人が声を掛けてきたが、時すでに遅しである。
武漢ウイルスによって、「ソーシャルディスタンス」の重要性が叫ばれている。極端に神経質なことは言いたくないが、今までの社会は「人との距離感」対して無神経だったことは事実だ。今後、そこは変わっていけば良いなと思う。一方で、近いからこそ生まれるものだってある。隣り合った人との交流から始まるものもある。あまり規制だらけだと、世の中は「生き難い」ものになる。アフターコロナの社会が、そういう「社会での距離感」を適度に大事にする世界になってくれれば良いと思う。ちなみに写真右の車が僕の車だ。駐車場ラインも見えない状況なので、左は僕を目印に駐車したのだと思う。まあこれは仕方がない。ただし、強風が吹いていたので、もう少し間隔を開けて停めるべきかと思う。そうでないとドアパンチの危険があると思う。隣に停めること=悪、ではなく、そういうリスクを配慮しあえる社会にしたいものだ。・・・。嘘です。少し綺麗ごとを言いました。本音をいえば、離れて停めて欲しかった。画面右手奥には入り口に近い駐車スペースがあったけど、敢えてここに僕は停めたのに・・・。
iPhone 8
集会で駐車場を用意したら端から停めてくれずに皆がバラバラに停めてしまう。
などに困っている人もいるのかな?と思います。トナラーは従来から善いこととされていた、整然と・律儀に・きちんと端から並んで・・・のクセが付いている良い人たちカモ?しれませんね。
世の中には変わった輩がいますね。
似た体験をした身としてお気持ち察すると共に、
自分自身も「トナラー」行動を起こさぬよう
注意せねばと肝に銘じました。
では、また。
こう言う話を聞くと、原野のバイク事故を思い出します。
前しか、一点しか(見れない)人が見通しの良い場所に置かれると、何か目標を探し出すというものです。
で、注視の結果、電信柱に激突という結果になって、50mのうちの50cmの障害物に当たる。と。
しかし、食堂の件、たまにありますよね。私もやめたまた来るわ。派です。
雪も一息のようですが、まだまだ残りが気になります。お大事にしてください。
皆が好き勝手、ばらばらにやれば収集が効かなくなることって多いですよね。
またとにかく、離れることだけが良いのは味気ないとも思います。
ただ正直なところ、僕の周辺の田舎に限ってですが、その習慣を意識している方は色々気を使いますが、ただ漫然とする方は危険なので避けた方が良いことが多い気がします。
車を詰めて停めようと明確な意思を持っている方は、空いている駐車場、かつ風が強いときは違う場所に停めるか、左右ではなく前後に停めるとか。横だとしてもドアを開ける時に注意する。
ただ横にピタッと停める方の多くは、ドアを開けるとき注意なんかしません。結構なドアパンチ被害が当地であるみたいです。
日本人の伝統的なよい習性を、良い意味で繋げたいですね。今度、もっとじっくりと観察してみます。
僕も自分が対象になった時のことだけ言いましたが、自分だってやっている場面もあるかと思います。
そのうえで、「さすがに駄目だろ」ということを他山の石とせず、気をつけたいと思います。
飲食店は僕も喧嘩にならぬよう、さっと引くようにしています。一方で、混んでいる(混みそうな)店で、一人で大きなテーブルを占拠し、食べ終わってもいつまでも帰らない客がいますよね。そうはならないようにもしたと思っております。