昨年12月の衆院選で、医療法人「徳洲会」グループの各病院が徳田毅(たけし)衆院議員(42)=自民・鹿児島2区=陣営に職員を派遣、日当などを支給していたとされる公職選挙法違反事件で、グループ本部が各病院に対し、職員が現地入りする航空券について、法人用の予約システムを利用せず、個別に準備するよう指示していたことが19日、関係者への取材で分かった。
東京地検特捜部は、組織ぐるみの選挙応援を隠蔽(いんぺい)する意図があったとみて、指示系統の解明を進める。
関係者によると、衆院解散直後の昨年11月中旬、大阪本部の事務担当のトップらが現地に派遣される職員への指示内容を決定。
内容は、各病院の総務担当部署に「読後破棄」と記した機密扱いの文書としてファクス送信された。
多数の職員を抱えるグループでは経費削減のため、大手旅行会社が法人向けに提供するオンラインチケット予約システムを導入。
普段の国内出張などで利用しているが、文書ではシステムで発券しないよう明記し、「必ず各施設で個別に手配をお願いします」と指示していた。
このほか、現地で宿泊するホテルや移動に使用するレンタカーの予約も「(現地の選挙対策拠点となる)鹿児島本部では手配が出来ません。各施設で手配をお願いします」とし、個別に確保するように依頼。職員が現地で支払った経費の領収書も個人名で受け取るように要請するなど、組織の関与が浮かばないよう徹底させていた。
一連の選挙運動に関与した職員らは少なくとも370人に達する。関係者も多く、居住地域も全国に広がることから、特捜部は選挙違反捜査に熟達した警視庁と合同で捜査することを決定。関係先の家宅捜索や事情聴取を連携して行う。