西郷真央がまさか、スランプ経験者の先輩プロは「体を整え、心のリフレッシュを」
女子ゴルフの今季国内ツアー最終戦・JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップは27日、首位で出た年間女王の山下美夢有(加賀電子)が優勝を飾り、幕を閉じた。一方で、同学年の西郷真央(島津製作所)は大会ワーストコース記録の通算35オーバーの最下位で終了。今季は開幕戦でツアー初優勝を飾り、序盤は出場10試合5勝。7月の海外メジャー・エビアン選手権では3位に入っただけに衝撃的な結果だった。原因は本人も認めた「第1打の恐怖」。今季の最終ラウンドを終えた後は、スイングに悩んできたことを告白した。以下はその一問一答で、ツアー通算6勝でスランプ経験者の天沼知恵子は「まずは、体と心の状態を整えては」と提案した。
(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)
――まさかの結果でしたが。
「以前からティーショットが安定していなくて、先週、予選落ちした時は、刻んでもうまくいかず、今週に入ってドライバーを握っていなかったのですが、初日に自分の思ったような動きができず、残りの3日間は何かしらの感覚、きっかけを掴むラウンドにしたいと思っていました。そして、いろんな動きを試していました」
――何か掴んだものは。
「何が原因かは全部分かっていますが、分かっていてもできないですし、何を意識したら、そこにたどり着くのかが難しいです」
――1番パー4の第1打は、フェアウェーに行きました。
「あのショットも合わせながら、たまたまうまくタイミングが合ったショットで、振り切ったスイングではありません」
――振り切れませんか。
「振り切ると、だいたい右OBに行きやすい感じです。(日本)女子オープンぐらいから逆球(フック)にずっと悩んでいて、フックの要因を消すために全部をフェードにしようと直してから、ちょっとずつどっちのミスも出るようになり、そこから悩み過ぎた感じです」
――ジュニアからゴルフをして(スイングの)迷路に入ったことは。
「小学生ぐらいにさかのぼればありますが、もともとそんなにショットは曲がらない方なので……。まあ、逆に『オフに入れて良かった』というのはあります」
――少し休んで、(12月11日に団体戦の)Hitachi 3Tours Championshipが開催されますが。
「私は(プレーするのは)いいのですが、チームに迷惑をかけたくないので、『そうならない範囲のゴルフはしなければ』とは思います」
きっかけは4月の首の寝違え「スイングの考え方が変わった」
――1年を振り返ると。
「優勝した試合でもショットが曲がったりしたことは多かったです。パッティングやグリーン周りでスコアを作れたことは良かったですが、開幕からショットのイメージがつかない中、(4月に)首を寝違えて2週間、お休みしてスイングに対する考え方が変わりました。そして、ちょっと『スイングを変えないといけない』と思って取り組んできました。海外(メジャー戦)に行ったことによって、それはいい方向に行ったと感じてはいましたが、帰って来てパッティングに悩みました。その後、(日本)女子オープンぐらいから、自分の思うような球が打てなくなってきました。なので(スイングを)変えたことが原因だったのかなとは思います」
――オフはイチからスイング作りをする感じでしょうか。
「そうですね。今はティーショットを打つことが怖いですし、恐怖があるので、本来はクラブを握らず、リセットしてゼロから積み上げる気持ちでやりたいなという思いはあります。それが本心です」
――師匠のジャンボ(尾崎将司)さんからは、どんなアドバイスを受けていますか。
「(指導を受けに)行けていないので……」
――オフに入ってからは、行かれますか。
「はい。練習はジャンボ邸でしていきます」
――調子が悪くなってから、ゴルフをしたくない気持ちにはなりましたか。
「『やりたくない』と思ったのは、今週ぐらいで(笑)。それまでは、アイアンで何とかなったりでした。ここ数試合もティーショットでドライバーをほとんど使わなかったのですが、それでもイーブンぐらいでは回れたりして、『ティーショットだけ』という感じでした。なので、『原因を早く見つけて直したい』と思ってきました。そこでいろんなことを試す中で、アイアンショットにも影響が出てきました。ただ、それをやったことに後悔はないので、オフにしっかり見直したいです」
――いろんなクラブを試すことはしますか。
「優先順位はスイング(の修正)です。まずは、ノーマルな状態に戻してから、そのスイングに合ったクラブ選びをしたいと思います」
スランプ経験者の天沼「まずは体のメンテナンスと心のリフレッシュを」
西郷の通算35オーバーついては、ファンも衝撃を受けた。本人が話す通り、原因は「第1打の恐怖」。それは、4月に首を寝違えて2週連続欠場したことを契機に、スイング改造に取り組んだことに起因しているという。
欠場明けのパナソニックオープンレディースでは、逆転優勝。一転、翌週からは2週連続予選落ちした。スイングの悩みは始まっていたようで、翌週のブリヂストンレディス開幕前日には「自分では分からなかったスイングの問題をジャンボさんに指摘され、修正してもらいました」と明かしていた。そして、同大会で今季5勝目を飾っている。
その後、海外メジャー大会への挑戦が始まり、エビアン選手権では結果も残した。一方で欧州遠征中のロストバゲージで、パターの練習器具を失う不運もあった。それが「パットの悩み」に繋がっていた。
自身の調子が上がらない中、メルセデス・ランキング(MR)首位の座も山下に明け渡した。そして、ドライバーショットの迷走が始まった。11月のTOTOジャパンクラシックからは、契約外のドライバーを使って復調の感触はつかんでいた。翌週の伊藤園レディスは7位で4試合ぶりのトップ10入り。表情も明るくなっていたが、シーズン残り2試合で、沼に陥ってしまった。
この流れと西郷のコメントを確認し、天沼は「まずは、体のメンテナンスと心のリフレッシュをした方がいい」と指摘した。
「私も腰を痛めて、自分のスイングを見失った時期があります。西郷さんは首の寝違えをきっかけに、スイング改造を考えたようですが、これからリセットするなら、真っ先に体と心の状態を整えた方がいいでしょう。その上でのスイング作り、クラブ選びになると思います」
「スイングの沼」に足を入れ、奥深くに入った選手は少なくない。「理想のストレートボールを打ちたい」「もっと、飛ばしたい」などと思い、完璧な形を求めるがあまり、ジュニア時代から築いた感覚、リズムを失うケースだ。それでも、選手は試合に出続ける。休む勇気を持てないからだが、トップ選手がシード権を失っていく姿には、つくづく「ゴルフの怖さ」を思い知らされる。
幸い西郷は、沼の奥深くに入る前でシーズンオフに入る。現段階ではHitachi 3Tours Championshipに出場予定だが、来季の開幕戦までに調整の時間を得られることは大きい。猶予は約3か月。ファンは、西郷が元の状態で戻って来ることを願っている。
以上、THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida
当たってないとは思いますが、体を痛めて逆玉が出て修正しながらやってきてもう、振るのが怖くなったということでしょうね。
スイングは段々上体の動かし方に注目しがちになり、上体でコントロールしているのかなと思います。
いわゆる下半身で振るということを主体にすると調子が取り戻せるように思えます。山下選手と一緒にラウンドしてみた感じですが山下選手は足でスイングし腕には力が入ってないように見えました。
ジャンボからチェックを受けてリセットできることでしょう。まったく心配していません。
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