先日、久しぶりに、父と銘木談義をしていました。
最近は、仕入れの機会も減ってきて、父も少し寂しそうです。
色々話をしているうちに、銘木の加工段階の話になりました。
「例えば、欅は、あばれるから、のこを挽く時なんかは、欅の性格をよく知ってないとな。」
どういうことかというと、欅という木は大工泣かせの木と謂われていて、のこを挽くのもすんなりと行きにくい木なのです。
あばれるとは、「反り返る」ということで、のこなどで木を割ると大きく反ったりして加工も簡単ではありません。
その性格を理解していないと、加工の時に大怪我をしたり、下手をすると死亡事故にも繋がりかねません。
「あとは、松とか、油分を含む木は、道具に付くからなぁ。」
たしかに、松なんかは、切った道具などに、黒いヤニにようなものが付いているのを何度か見たことがあります。
そう考えると、当店が製作をお願いしたりしている匠は本当に優秀だなあと思います。
怪我をしたなんて聴いたことはありませんし、優れた商品に仕上げてくれます。
「もっと、こうならないかなあ。」とか、匠に無茶なお願いをたくさんしてきたなあと思うと、反省してしまいます。
他の素材や無機質な材料なら、何とでも加工して商品化できるものを有機質の銘木たちと対話しながら、製品に仕上げる。
考えると本当に頭が下がります。
「じゃあ、お前、作ってみろよ!」とよく言われなかったなあと・・・。匠さんたちは本当に心が広い、そう思います。
ユーザー様のご要望に応えることも今後、大事ですが、同時に、「銘木を加工して、商品に仕上げるのは、とても大変なことでもある。」
ということも、ユーザー様にお伝えしていくことも、私共の大事な責務のような気がします。
【工芸品ショップ泉亀(いずかめ)】ショップサイト
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