今回は上野公園を、いままでよりも、もう少しじっくり見て回ります。
東叡山、山内散策マップ。東叡山とは徳川将軍家の祈祷所・菩提寺のひとつ、寛永寺の山号で、上野のお山まるごとが境内だったんですね。ここは歴史的に重要な場所であることを再認識します。
清水観音堂。上野の山で、大火、戦火、震災を免れてきた建物の一つです。
構内に入ると、朱色の佇まいがまた雅かな。ご本尊は千手観世音菩薩。平安時代の作とのことで、毎年2月にご開帳されます。
京都清水寺の舞台を見立てて建てられたお堂であり、東叡山と不忍池は、比叡山と琵琶湖をモチーフとしています。ここからの不忍池と弁天堂の眺めは風光明媚です。
願い玉の運試し。
あそこの円に見事入ると、願い事が叶うと言われています。500円で5回チャレンジできます。清水の舞台から飛び降りるまでもなく、ひょいと投げてご利益頂戴しよう。
ここから見る月の松が有名だそうですが、人が多いのでパスします。(別記事に、夜に撮影した写真があります。)
秋色桜。
江戸時代、13歳の娘が花見で詠んだ句を、桜の枝に吊るして帰りましたが、寛永寺住職に称賛され、その後娘は俳人となり、菊后亭秋色と号しました。
博士王仁碑。
王仁博士は、古墳時代の応神天皇期に、百済国から日本に渡り、千字文、論語を広めた人とされています。その功績は図り知れないものがあり、日本での偉業を伝えるため、ここに記念碑が建立されています。
花園稲荷神社。
朱色の鳥居が鮮やかです。
鳥居は幾重にも連なります。フォトジェニックなポイントですが、ピンボケしてしまった。なにせ写真が下手なもんで。。
神社のお堂。こちらは縁結びの神様としてご利益があるといいます。
付近に穴蔵のようなお堂があります。こちらが当初の元宮で、お穴様と呼ばれています。中は暗くヒンヤリとしています。
パワースポットとして有名なこの神社ですが、参拝者が多く訪れる理由は、お隣の神社もお目当てとなっているためです。
五条天神社。医薬祖神として病気平癒を祈願する神社で、その歴史は1900年以上もさかのぼります。
上野大佛。
階段を登るとパゴダ(仏塔)があります。
大仏さまは、当初は粘土と漆喰で固められた如来像だったのですが、倒壊し、その後青銅化された大仏となりました。震災・火災により頭部が落ちたりして、幾度かの災難にも修復されてきました。
ところが現在は、大仏さまのお顔だけ残って社殿が建てられています。関東大震災で面部が落下し、その後胴体は、第二次世界大戦中、国に供出されたためです。合格祈願で訪れる人が多いのは、「もうこれ以上落ちない」ということからなんだとか。
次に上野東照宮を拝観します。
ぼたん苑もぜひ見てみたいのだ。
水舎門をくぐって境内へ。
目指すは社殿ですが、かなり奥まっており、時間をかけて参道を進みます。
右手には旧東叡山寛永寺五重塔。2代将軍秀忠の意による建造物。総和風造りの国指定重要文化財です。震災や戦火、明治時代の神仏分離令による破壊の危機も乗り越え、今ここに平和を見守ってます。
上野東照宮は、危篤であった徳川家康が、魂鎮まる場所をつくってほしいと要望し、建造されました。祀られているのは、家康、吉宗、慶喜の3人です。
銅灯籠群。
諸大名が奉納した48基が現存します。中でも唐門両側の6基は、紀伊、水戸、尾張御三家ものです。
参道を抜け金色の建物が見えてきました。
唐門。きらびやかな装飾とデザインが、徳川家の栄華を物語ります。
唐門で素晴らしいのは、柱内外の四額面の彫刻です。左甚五郎作の昇り龍・降り龍は、毎夜、不忍池に水を飲みにいくという、伝説があります。
見事な細工です。
極彩色で美しい。
柱の獅子もカラフル。
屋根の庇もなんと豪華な造りだこと。
日を受けて、ますます輝きます。
社殿を囲む透塀(すきべい)。
この造りは日光東照宮の造りに準じていますね。
赤い筐体に緑の格子が鮮やかです。
透塀は、上段に動植物、下段に海川の動物の彫刻が内外両面に施されており、その数は200枚以上にもなります。
ズラリと並ぶ石灯籠は、参道に200基以上も並びます。家光公が東照宮を造営替えした折り、全国の大名がこぞって奉納したものです。
巨大な御神木の大楠。
高さ25m、幹の太さ8m、樹齢約600年です。東照宮創建前から立っており、上野の山の祖木といわれています。
奥の社殿にやって来ました。
金色殿ともいわれ、出世、勝利、健康長寿のご利益があり賑わってます。
家光公が建造した社殿は、武家風かつしなやかなラインが美しい。
こちらも、戦争・地震・火災を免れていることから、人々の信仰を集めています。
壁のレリーフもチェック要です。
鳥の彫刻。
ネズミなど、十二支はもとより、様々な動物が彫りこまれています。
日光まで行かなくてもお参りができるようにと、江戸の人々に開放されました。心を安らかにさせることも、天下泰平の秘訣なのかも知れませんね。
唐門同様、屋根の軒下の造りも凝っています。緻密な造形と大胆な色使いですね。
裏側から見た唐門もまた見事。武家、仏教、神話、それぞれのエッセンスを融合させ、職人技術の粋を集めた建築美に感嘆するのでした。
栄誉権現社。通称お狸様と呼ばれます。「他を抜く」という意味から、強運開祖、受験合格、就職、必勝祈願のご利益があります。お狐様ではない理由があるのですね。
参道に戻り、ぼたん苑まで歩く間に、艶やかなあんどんが並びます。
こちらは桜。
色とりどりのデザインが楽しめます。夜は点灯するみたいなので、ぼんやりと灯るあんどんの列は、きれいなんだろうなー。
でかっ!ひときわデカイ石燈籠。
お化け燈籠と呼ばれ、高さ6.8mもあります。大名の佐久間勝之が奉納したものです。
さて、見たかったぼたん苑は、、あ~開いてないっす。。
ぼたんは12月から春までの間咲くので、今は閉館中なのでした。貼ってあるポスターのダリア展も、10月で終わっちゃってるし。
塀越しに見えたのは一輪の花のみ。11月はちょうど切り替わりの時期で、見頃シーズンを誤ったか。ああー、見たかったのになー。。
(記事:2018年11月 Update:2020年8
月)