書きかけ放置日記の蘇生作業、4つめです。
前回にも書いた、螺鈿と室瀬和美さんについて。
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室瀬和美「蒔絵ー伝統を創る」
2022年1月14日~23日、銀座和光 本館6階和光ホール
銀座和光、そして初日とあって、室瀬和美氏ご本人もいらしており、華やかな会場でした。
たくさんのお祝いの花の贈り主は、だれもが名前を知る方々ばかり。どれも豪華で、美しく個性的なアレンジで、全部しげしげと愛でてきました。
ガラスケースのなかに、漆と螺鈿の花器、茶入、蓋物など。
お値段のついている商品もあり、撮影は不可ですが、こちらの大きな金の壁画のみ、撮影可でした。
蒔絵壁画「春風」
見る角度によって、金の色調やきらめきが変化し、とてもきれいでした。
この上なく豪華なのですが、モチーフはかわいらしいのです。
こちらは外の通りのディスプレイの画面を撮ったものです。
映りこんだ街越しにも、文様が輝いていました。
こんなに金砂子をちりばめて、こぼれ落ちないのかしらとも思うのですが、室瀬氏は「研出蒔絵は、使うための丈夫さと美しさを兼ね備えている」と。
研出蒔絵とは、平安時代に始まる技法。漆に絵を描いて、漆が乾かないうちに金砂をまき、上から漆を塗りかぶせ、最後に研磨して下の金蒔絵を浮かびあがらせる、という手の込んだ技法だそう。
漆も、あまりにしっとり濡れたように艶やかなので、何度も手のひらで包んで触ってみたくなる衝動にかられました。
螺鈿では、椿やリスなどのモチーフを螺鈿で施した香箱が、かわいらしく美しく。
(会場でいただいたカードから)
椿もリスもですが、こんなに大きな面で螺鈿を切り出せることに、驚き。
しかも、こんなに淡いピンク色の螺鈿とは。どこの貝なのだろう。
黒漆にちりばめられた青い螺鈿もきらめいて、もう眼福眼福。
1月13日の新聞に、室瀬さんが取り上げられていました。
室瀬氏は、前回の日記の琉球漆器の再現にも携わっていらっしゃいましたが、
この記事でも、2011年に、正倉院宝物の「金銀鈿荘唐太刀」のさやの漆の再現に携わったとき、研出蒔絵と同じ技法が使われていることを知り、「技の源流が天平以来1200年受け継がれてきたことに、震えるような感動を覚えた」と。
そういえば、2019年の「正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー」では、「螺鈿紫檀五弦琵琶」と「螺鈿紫檀阮威」の模造復元品が展示されていました。
その螺鈿も、たいへん大きく美しく、目を見張ったものです。(現物は撮影不可。模造復元品は撮影可)
「螺鈿紫檀五弦琵琶」明治32年の模造復元品
裏側までも美しかった!
別の部屋には、2019年に宮内庁が8年かけて復元完成した螺鈿紫檀五弦琵琶も展示され、製作過程のビデオも流されていました。
「螺鈿紫檀阮威」も、明治32年の模造復元品が展示されていました。なんと愛らしくきらびやかな。
螺鈿の淡い揺らめきに、えもいわれず…。
宮内庁は、明治の復元から130年を経て、何百枚もの夜行貝を集めて螺鈿紫檀五弦琵琶を復元し得ましたが、紫檀やべっこうは現在は入手できないため、国内の備蓄品から調達したとのこと。弦は、上皇后さまが育てられた蚕からとったもの。
しかし次の100年後は、この高い技術を持った作家もおり、材料も確保でき、このクオリティを落とさずに復元できるだろうか??。
伝統が絶えてしまわないよう、取り組んでいらっしゃる製作者の方々、研究を重ねている方々に、深い感謝を感じます。