クオリアとは感覚質そのもののことです。
例えば、赤いリンゴを見たときに感じる”赤い”という自覚そのもののことです。
このクオリアを言葉で表現することはできません。
脳科学者たちは様々な手法で脳内の物質現象からクオリアが生じる理由を解明しようとしています。
しかし、脳内の物質現象がクオリアを引き起こす法則を確立することは以下の理由で不可能です。
(1)客観的な法則から主観的なクオリアを帰結することはできません。
異なるカテゴリー同士を法則で関係づけることはできないからです。
例えば、数概念と物質概念とを法則で関係づけることはできません。
(2)言葉で表現できないクオリアを言葉で表現された法則で説明することは論理的に不可能です。
もしこれができると仮定するとパラドックスが生じるからです。
脳科学者たちが解明できることは、例えば皮膚を針で刺すと脳回路のどの部分が反応して”痛い”というクオリアが生じるかという対応関係だけです。