紫姫の駆け落ち その2
惨たらしい殺人は、佐代子に取り憑いた物怪の仕業として隠蔽された。哀れな佐代子の死体は忌...
紫姫の駆け落ち その3
木々が色づき、空が高く澄む秋が来た。 事件の謎を追及する飛雄馬に、恐ろしい真相が見...
紫姫の駆け落ち その4
佐代子の懐妊を知った時、泰清は普段の冷静さを失う喜びようだった。先の城主の子は5人いる...
紫姫の駆け落ち その5
佐代子は今の穏やかな城暮らしを捨てたくなかった。 元来おっとりと従順な彼女にとって、紫...
紫姫の駆け落ち その6
煌々と照らす月が雲に覆われて一瞬濁って見える。佐代子は、遠い月を眺めた。 夫は今宵も自分を抱くだろうか? キリキリと抱かれて、忘我の中に浸りきってみたいと思う。過去の出来事...
紫姫の駆け落ち その7
傍で泰清の規則正しい寝息が聞こえる。佐代子にとって唯一無二の人であるのに、このしがらみ...
紫姫の駆け落ち その8
惨劇の真相は巧みに隠されて、型通りの葬儀がしめやかに執り行われた。時を経ずして、泰昌は...
紫姫の駆け落ち その9
ある日の朝。「姫さま、それがしと共にこの国を出ていただけませんか?」その時紫姫は庭で採...
紫姫の駆け落ち その10
一刻後、飛雄馬の用意した村人の衣裳で姿を変えた二人は館を抜け出した。彼らは、炭を顔に塗...
紫姫の駆け落ち 最終章
陽が落ちても紫姫はじっと草むらで蹲っていた。もう一時以上(今で言うと2時間)も、辺りは静ま...