不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

マティス展 @東京都美術館

2023-05-01 | 絵画

マティス展(Henri Matisse:The Path to Color)を観覧に、上野の都美術館を訪れました。

東京での、マティスの作品を一堂に集めた回顧展は、2004年以来、約20年ぶりのとなります。

私自身も、この20年の間に、マティスの作品は、MoMA等で所蔵品を鑑賞する機会はありました。しかし、しかし、これほどまとまって鑑賞できる回顧展としては久々です。マティスの大ファンとしては、まずは駆けつけねばなりません。

また、今回の展覧会はパリのポンピドーセンタ所蔵の作品を中心に構成されています。しかし、実際にパリのポンピドーセンタを訪れても、今回の展覧会の作品の鑑賞することはできません。ポンピドーセンタ所蔵といっても、フランス各地の美術館の寄託先にある作品もあります。これらの寄託先の作品も含めて、フランス全土からマティスの作品が上野に集結しています。その意味でも、訪れなければならない展覧会です。

第1章のハイライトは、《豪奢、静寂、逸楽》(1904)。フォービズムの代表作です。

第2章の1914-1918の作品で印象に残ったのは、《金魚鉢のある室内》(1914 Spring)。第一次世界大戦の開戦前ですが、青をベースとした画面が暗い印象を与えます。《窓辺のヴァイオリン奏者》(1918春)も、戦時下の自画像とも取れ、印象的です。

第3章は、《アンリエットI》からIIIと《背中I》からIV。彫刻で造形を確認していたというのは、今回の大発見です。

第4章 人物と室内 1918-1929 美しい色彩と装飾的な室内。これぞマティスです。ニースで描かれた作品ですから、いつ鑑賞してもリラックスしたバカンスの気分になります。

第5章、第6章で、今回魅せられたのは、なんといってもデッサン。彼のデッサンは、線のみで女性の表情を豊かに描き出しています。リトグラフを部屋に飾りたくなります。

最後に、Venceロザリオ礼拝堂の映像。近くまで何度も訪れているのに時間が合わずに訪問できずにいるこの礼拝堂に、まるでその場にいるかのような気分になりました。4K映像は素晴らしい。


P.S. 帰宅して図録を確かめると、今回の出展作品は、2004年とほぼ同じです。記憶はあいまいです。今回のマティス展訪問では、開催して間もなく、まだ人出もすくなく、落ち着いて鑑賞をできたのがよかったのかも知れません。

会期は2023年8月27日まで

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鈴木春信 @日本の伝統文化2「浮世絵」小林忠

2020-03-29 | 絵画



小林先生は、春信が専門。本書での春信の取り上げ方をチェックした。

第2章 浮世絵の本質。
大量生産の仕込絵。吾妻錦絵の誕生とその代表作である春信「座敷八景」(図17 包み紙、図18 手拭掛の帰帆、ともに平木浮世絵財団)。

大和絵氏という自意識。春信がデビュー当時は、五代目市川羽左衛門や二代目瀬川菊之丞を描いた役者絵を発表していた。とくに「王子路考」と愛称された菊之丞については肉筆画も残した。(図22 「二代目瀬川菊之丞」太田記念美)晩年には「我は大和絵師也、何その形を画くに耐えんや」と公言してはばからなかった(大田南畝「小説売飴土平伝」(明和6年、平賀源内序、春信挿絵))

第3章 浮世絵のさまざまな受容者たち
子供から大人まで。上等な錦絵は春信の中判は一枚160文(口絵6「三十六歌仙藤原敏行朝臣 MOA美」参照)
江戸っ子の誇り。浮世絵の本格カラー化への江戸っ子の歓迎ぶりを、大田南畝が「寝惚先生文集」(明和4年)の狂詩「東の錦絵を詠ず。忽ち吾妻錦絵に移ってより、一枚の紅摺うれざる時、鳥居は何ぞ敢て春信に勝わん」で報告している。新語「吾妻錦絵」の生みの親は平賀源内ではないかと、芳賀徹氏は想像している。

地方人にはまばゆい江戸絵の魅力。春信の代表作「風流艶色真似ゑもん」(図46 初編第10図「蚕部屋」(国際日本文化センター))のセリフ
「(夫)せな(兄)が江戸みやげにあづまにきと云色絵を見たら、気がわるふなった。(妻)これもうし、おこ(お蚕)さまのまへ(前)でけが(汚)れますぞへ。」せな(兄)が江戸みやげは、江戸の「色絵」は、普通の錦絵でも地方の農村の人にとっては刺激が強かった。江戸の光彩はあかるく魅惑的だった。

第4章 浮世絵の主題
見立とやつし。「坐鋪八景」の初版包紙には「風流絵合」とある。(図51 シカゴ美)。瀟湘八景になぞらえて、「夜雨」(口絵5 台子夜雨シカゴ美)の音をきいたり、「落雁」(図52 琴柱の落雁 シカゴ美)を想像した日常風景。城西山人巨川こと大久保甚四郎舒の企画。

明和二年乙酉の絵暦の流行では、大久保巨川が率いる巨川連と(阿部八之丞政寛が率いる)莎雞連が見立の趣向を競い合った。「採蓮二美人」(図53 シカゴ美)「見立夕顔」(莎雞、明和3)「見立桃太郎」(初考 明和2)、「見立菊慈童」(図54 東博)など。小林の好きな「見立菊慈童」はカレンダマークは認められないが、着衣の模様に折り鶴が散らされており、酉年明和二年の絵暦にふさわしい。

歌意の見立。「風流四季歌仙・二月・水辺梅」(図55 慶應義塾)「末みずぶ人の手さへや匂ふらん 梅の下行く水の流れは」の歌意と図様が相呼応して恋の情調が協奏、共鳴して甘く美しい。
「三十六歌仙藤原敏行朝臣」(口絵6 MOA美)「秋きぬと目にはさやかに見へなども風のおとにぞおどれかれぬる」。歌意をうけて秋風の到来を感じとる江戸女性を描く。残暑の日差しをあかるいピンクの縁側、池の水面の淡い青など寒色系の色合いで涼風をあらわす。カラリストの才能を全開させた春信の周到な色面の構成が美しい。

第5章 浮世絵の魅力の源泉
浮世絵美人画の特質。春信の描いた「おせん」は小林氏が母や姉から教わった手鞠歌にも残っている。「向う横町のお稲荷さんへ、一銭あげて、ざっと拝んでおせんのお茶屋へ、腰をかけたら渋茶を出して、渋茶よこよこ横目で見たらば、土の団子か、米の団子か、おだんごだーんご」
大田南畝は「小説売飴土平伝」に「阿仙阿藤優劣弁」という戯文で笠森稲荷の水茶屋お仙と浅草楊枝店本柳屋のお藤を論評。お仙は「琢かずして潔いに容つくらずして美なり、天の生せる麗質、地物の上品」、お藤は、眉を淡く掃き口紅は濡れたように化粧上手、象牙の櫛や銀の簪で髪を美しく飾って隙がない。「玉のような生娘とはそれ此れ之を謂うか」と嘆賞。王子稲荷大明神が現れて、谷中という郊外でいち早く評判をとったお仙の勝ちと裁定。とはいえ、「小説売飴土平伝」の挿絵で、春信は二人を描き分けていない。「お仙とお藤」(図82 スポルディングコレクション)も同様。湯島天神の巫女「お波とお初」(図86 ボストン美)も春信美人の型にそって描かれた

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の伝統文化2「浮世絵」 小林忠著 (山川出版社)を読む

2020-03-23 | 絵画

山川出版社70周年企画の「日本の伝統文化」シリーズ6巻の1冊。新年の日経の書評にも取り上げられていたが、ようやく手にした。
浮世絵が誕生するまで、浮世絵の本質、浮世絵のさまざまな受容者たち、浮世絵の主題、浮世絵の魅力の源泉の5章。
浮世絵については、それなりに知識があるつもりでいるが、気になった話も多く楽しめた。

例えば、

「浮世絵」という用語の話。「憂世」から「浮世」になった意味内容の変化について、浅井了意の「浮世物語」(1661or 1665)にあるという。「当座々々にやらして、月、雪、花、紅葉にうちむかひ、歌をうたひ、酒のみ、浮きに浮いてなぐさみ、手前のすり切りも苦にならず、沈み入らぬこころだての、水に流るる瓢箪のごとくなる、これを浮世となづくなり」。Floating Worldという訳もここからきているという。

「漫画」は北斎の造語だという。北斎漫画の序文に、半洲山人が「北斎が文化九年の秋にやってきて、牧墨僊の家に逗留し、約300図の略画を描いた。絵を描くことを学ぶ人々に手本になるはずだ。書名付けた「漫画」とは北斎自身の命名によるものである」が記しているというという。

師宣の「見返り美人図」の説明も成程と読んだ。箱書きは「半面美人図」。長い黒髪を折り返し結ぶ「玉結び」の髪型、赤い振袖の小さな花の地模様の上の菊と桜の丸模様の刺繍、役者上村吉弥が流行らせた「吉弥結び」に結んだ帯を見せるためのポーズだという。

また師宣の「歌舞伎図屏風」(東博)、「月並風俗図巻」(静嘉堂文庫)などは無款だが、小林先生は貴顕から注文画だからと推定している。

国芳の「人をばかにした人だ」などの「寄せ絵」、影と図がセットの「其面影程能写絵」は、「当時」のヨーロッパ絵画を参考にして書いた図だという。アンチボルドではないという。国芳が参考した原画と通じる参考図面が掲載されている。国芳は数百枚も西洋絵画を有していたいう。

広重花鳥画として「月に雁」(こむな夜が又も有うか月に雁 の句)のほかに「松の上のみみずく」(「三日月の船湯山してみみずくの耳に入たき松風の琴」の和歌)(海のみえる杜美術館所蔵)が紹介されていた。また記念碑的な広重風景画の第一作として洋風な画風の「(一幽斎がき)東都名所・両国之宵月」も紹介されていた。広重といえば月に雁は兎も角、保永堂版東海道五拾三次之内や江戸名所百景ばかりだが、「松の上のみみずく」や「(一幽斎がき)東都名所・両国之宵月」にも着目したい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

博物館に初もうで 新春の春信

2020-01-12 | 絵画
博物館に初もうで 新春の春信

新春らしい春信3作品を東京国立博物館で見てきたのでご紹介。(12日訪問)

1点目は、12年前にも訪れた博物館に初もうででも、拝見した「鼠、猫と遊ぶ娘と子供」(A-10569-1271)。ねずみが娘の胸元にはいっている。実は前回は、本館1室に壁に展示されていたので、非常に遠くから鑑賞することになり、鼠をみるのが大変だったが、今回は中央の展示台に横置きされていたので、よくよく鼠が鑑賞できた。作品の制作時期だが、これが干支の子を題材とした作品ならば、春信の錦絵は明和弐年から明和七年(没年)までに限られるので、明和五年(戊子)の作品ということになるが。



本館10室には2点。1点は、「女中年礼」(A-10569-1241)。富田板、画工鈴木春信「春信」(印)とあり、春信の初期の大判紅摺絵の世界に1点しかない作品。調べてみると2005年2014年にも展示されていたようだが、初見。



もう1点は、「追羽子」(A-10569-127)。こちらも、春信らしい作品。


とはいえ、こんな「追羽子」の風景は、今は新春でもみないなというのも、ちょっと寂しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハプスブルク展 @国立西洋美術館

2020-01-12 | 絵画
日本・オーストリア友好150周年記念
ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
@国立西洋美術館

展覧会は、帝国コレクションの歴史と銘うたれており、ハプスブルグ家がコレクションを形成した順にたどる。

1.ハプスブルク家のコレクションの始まり(マクシミリアン1世)
2.ルドルフ2 世とプラハの宮廷
3.スペイン・ハプスブルク家とレオポルト1世 
4.フェルディナント・カールとティロルのコレクション
5.レオポルト・ヴィルヘルム:芸術を愛したネーデルラント総督 
6.18 世紀におけるハプスブルク家と帝室ギャラリー
7.フランツ・ヨーゼフ1世の長き治世とオーストリア=ハンガリー二重帝国の終焉

ハイライトは何といってもベラスケス4点。
  • ディエゴ・ベラスケス 宿屋のふたりの男と少女 SMB
  • ディエゴ・ベラスケス スペイン国王フェリペ4世(1605 –1665)の肖像
  • ディエゴ・ベラスケス スペイン王妃イサベル(1602 –1644)の肖像
  • ディエゴ・ベラスケス 青いドレスの王女マルガリータ・テレサ(1651–1673)

    あとは、、ブダペスト国立西洋美術館の作品のいくつか
  • ジョルジョーネ 青年の肖像 1508 -10 年頃 SMB、絵画館
  • ディエゴ・ベラスケス 宿屋のふたりの男と少女
  • ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ) 男性の肖像 1555年頃 SMB、絵画館
  • ヤン・ブリューゲル( 父) 堕罪の場面のある楽園の風景 1612 /13 年頃 SMB、絵画館


    ルブランのマリー・アントワネットの肖像画もテレビを見たばかりだったので印象的だった。その髪型を流行させたのは彼女自身だ、この肖像画をおくられたマリー・テレーズは、たしなめた(?嘆いた)という。
  • マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブラン フランス王妃マリー・アントワネット(1755 –1793)の肖像 1778 年

  • ヨーゼフ・ホラチェク 薄い青のドレスの皇妃エリザベト(1837–1898) 1858 年
    も、美人で有名な皇妃エリザベトは、こんな顔をしていたのかと。

    それにしても、3連休の上野の人出はすごかった。何といってもゴッホ展。入場まで110待ちの表示で長蛇の列では仰天。
  • コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    スーチンを見にオランジェリー美術館コレクション展に

    2020-01-03 | 絵画
    「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した 12 人の画家たち」@横浜美術館

    オランジュリー美術館には訪問したことがあるのでスキップしようかと思っていたが、スーチンChaïm Soutine(1893-1943)が多数展示されていると知り訪れた。松方コレクション、コートルド美術館展でのスーチンが印象的でちょっと気になっています。

    最後の部屋に展示されていたのは、次の8点。オランジェリー美術館のサイトには22点が掲載されているが、ヨーロッパ一のコレクションだという。米国のバーンズがSoutineを発見したというが、バーンズコレクションのサイトには21点が掲載されている。

  • La Maison blanche(ca 1918, 1933?), RF 1963-92
  • Gladioli(ca 1919), RF 1963-95
  • The Little Pastry Cook(1922-1923), RF 1963-98
  • Landscape, RF 1963-84
  • Side of Beef and Calf’s Head(ca.1925), RF 1963-86
  • The Turkey(ca. 1925), RF 1963-81
  • The Room Service Waiter(ca.1927) RF 1960-50
  • Altar Boy(ca.1927-28), RF 1963-96

    曲がりくねった風景、レンブラントを意識した死んだ動物、肩肘が張った人物とスーチンの画題を網羅した展示だった。
    やはり人物がよかった。The Little Pastry Cookは傑作です。

    次によかったのはやはりマティス
    ドメニカがギョームの収集していた1910年代の大作は処分して、1920年代の作品を中心としたコレクションにしたという。ニース時代の装飾性の高い部屋の作品は、やはりマティスらしい。
    三姉妹(1917)は、ギョームがオークションで入手したもの。バーンズに売った3姉妹へのオマージュだという。バーンスコレクションのサイトをみるとRoom 19, West Wallにマティスの「三姉妹」が何と3枚並べて展示されている。

    マティスもスーチンもあるとなると、フィラデルフィアに行きたくなった。

    パリで見学するのと違い、解説をゆっくり読んでギョームの邸宅のマケット(再現ミニチュア)も見れ、何をドメニカが処分し、何をあとから購入したかも分かり、意外にも満足のいく展覧会でした。

    3日の1500過ぎに到着したら、寒い外を含め30分も切符の購入に並んだのだけが、ちょっと残念でした。(帰る頃には列はなかった)

  • コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    歌麿 抵抗の美人画 を読み直す

    2019-12-06 | 絵画
       大浮世絵展で歌麿の発色のいい作品を30点以上も鑑賞した。
     婦人相学十躰シリーズ、
     町娘(高島おひさなど)のシリーズ、
     歌撰恋之部シリーズ、
     青楼十二時シリーズ、
     北国五色墨シリーズ
    などの1793-95年が画家としてのピークで、その後の作品となると、働く女性を描いたり、親子を描いたりしているが、魅力にちょっとかける。

     どうして歌麿のピークは1793-95年(寛政5-7年)なのだろうと、気になりはじめた。
     たまたま、手元にあった「歌麿 抵抗の美人画 (朝日新書)」を読み返してみた。(著者近藤史人氏は、NHKのディレクターでボストン美術館のスポルディング・コレクションの歌麿作品400点を取材した番組、栃木で発見された歌麿の作品に関する番組などを担当した。当時両番組とも視聴した記憶がある。)

     歌麿と寛政の改革の関係が詳細に書かれていて、なるほどなと得心した次第。著者が学芸員ではないので幕府の動向も詳しい。まとまめると、

    天明元年(1781)蔦屋重三郎の黄表紙制作に参加、の挿絵をはじめて描き、天明3年(1783)ごろから狂歌サロンに参加。狂歌絵本の画師に
    ⇒天明7年(1787)松平定信が老中首座につくと、翌年には軽少納言こと土山孝之が死罪に、大田南畝も狂歌仲間から交際を断つなど、狂歌サロンは終焉、寛政2年(1790)に幕府禁令(同時代事件の絵本の禁止、花美潤色を加えた本の禁止、相互検閲極印)が、さらに寛政3年(1791)には、蔦屋が山東京伝の洒落本について咎められ、身上半減の処分を受ける。
    ⇒寛政3年は、歌麿は栃木で行き、肉筆画を描いていた。蔦屋と寛政4年(1792)年に、画期的な構図の美人大首絵「婦人相学十体」を発表。翌年寛政5年(1793)には難波屋おきた、高島おひらを描いた「当時三美人」が大ヒット。代表作の「歌撰戀之部」も。

    寛政5年(1793)に、定信が老中を退くが、登用した老中から若年寄は留任。寛政の改革は引き継がれ、形式だけ墨守される。寛政6年(1794)に美人画に名前をいれることが禁止に

    寛政6年(1794)、判じ絵を考案、禁制に対抗。

    寛政6年(1794)蔦屋が写楽を発掘。
    寛政6-7年(1794-5)蔦屋以外(伊勢孫)から北国五色墨 を発表

    寛政8年(1796)判じ絵が禁止に。
    寛政9年(1797)このころから働く女のシリーズを発表

    寛政9年(1797)蔦屋重三郎 没
    寛政12年(1800)美人大首絵の禁止
    寛政12年(1800)このころから山姥と金太郎シリーズ

    文化1年(1804)太閤記ブームで秀吉の名をかいた作で入牢
    文化1年(1804)各種版元から依頼あり
    文化3年(1806)没


     歌麿が画中に書いた自画自賛ぶりの文言、狂歌絵本の内容も、そうだったのかと得心。
     一方、歌麿の周辺の話も楽しめた。例えば、清長が浮世絵から引退したのは歌麿に負けたから。とか、蔦屋重三郎のプロデュースぶりや大田南畝が仕官したことなど。
     寛政の改革の禁制も具体的で面白い。「寛政の遺老」により以後25年にわたって寛政の改革は引き継がれた。本書でこのことは初めて知った。徳川幕府崩壊の一端は家斉の子どもが多く経済的負担が多かったともどこかで聞いた覚えがある。下に倹約、上は浪費ではね。などとも考えた。
    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    東山魁夷の青、奥田元宋の赤-黒で読み解く日本画-@山種美術館

    2019-11-30 | 絵画
    東山魁夷の青、奥田元宋の赤-黒で読み解く日本画-@山種美術館

    2019年11月2日から12月22日まで
    近代・現代の日本画から印象的に色が表された作品を取り上げ、画家と色の密接な関わりをひもとく展覧会 という試み。元来、日本美術の伝統的な絵具は、群青は藍銅鉱(らんどうこう)、白は胡粉など、鉱石や貝殻をはじめとする天然素材が主に用いられてきたが、近代以降、多彩な合成顔料の流入や、新たな人造の岩絵具が開発されたことなどにより、色の種類が増加していった。日本画家も多彩な色をつかえ、バリエーション豊かな作品を生み出していった。

    作品の基調となる色別の展示。印象に残った作品を色別にピックアップ。

    青:宮廻正明 水花火(螺) 2012:投網を描いた作品、青地に白い網目が印象的。
    緑:近藤弘明 清夜 1970:エメラルドグリーンが印象的
      山口蓬春 卓上 :西洋皿と洋ナシ。エキゾチックな美人が印象的
    赤:柴田是真 圓窓鍾馗:赤地(金粉をちらし)の白の圓窓に鍾馗を描く。
    黄:小林古径 三宝柑
    黒:都路華香 帆足
    白:加山又造 波濤
    銀:加山又造 華扇屏風
      田淵俊夫 輪中の村 1979
    菌:加山又造 裸婦習作

    あえて、東山魁夷の青、奥田元宋の赤は挙げていないが、いわずもがな。
    意外に楽しめます。おすすめ。
    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    上畳本三十六歌仙のリスト

    2019-11-26 | 絵画

    上畳本三十六歌仙については16像ほどが分蔵されている。一覧を作成してみた。

    重文で画像がみつからないのは、藤原敦忠
    所在不明、画像不明は、凡河内躬恒、猿丸大夫、紀友則
    未見は、大中臣能宣(サンリツ)と、フリア美の4点。
    フリア美は、残念ながらカラーの画像がCollectionとしてアップされていない。

    番号  歌 人 1883
    増補考古画譜
    1974
    日本の美術5
    1974
    日本の美術5
    (図版)
    2019京博 2014根津 重文DB 備考
     二番 凡河内躬恒 相馬子爵          
     三番 大伴家持         重文(1957)
    藤田美術館
    2015年藤田美の至宝@サントリー美
     六番 猿丸大夫            
     七番 藤原兼輔   n.l.   泉屋博古館 重文(2000)
    泉屋博古館
     
     八番 藤原敦忠   n.l/
    江戸摸本
          重文(1957)
    (愛知)
     
     九番 源公忠 松平子爵 フリア        
     十番 斎宮女御 松平子爵 フリア        
    十一番 源宗于   文化庁   重文(1957) 2016年歌仙絵@東博
    十六番 小大君     重文(1957)
    (東京)
     
    十七番 大中臣能宣       重文(1957)
    サンリツ服部美
     
    十八番 平兼盛   クリーブランド       2014年クリーブランド美術館展(東博)
    二十番 紀貫之 男爵高橋是清 五島美   重文(1957)
    五島美
     
    二四番 紀友則 男爵高橋是清          
    二九番 大中臣頼基 松平子爵 フリア        
    三十番 源重之 宗伯爵→
    横浜原氏
    箱根美 MOA 重文(1959)
    MOA
     
    三五番 藤原仲文   〇/
    江戸摸本
      個人      

    2014根津:名画を切り、名画を継ぐ
    n.l. :not listed

    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする

    大浮世絵展 @江戸東京博物館

    2019-11-24 | 絵画
    大浮世絵展
    歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演(第一期)@江戸東京博物館

    TAKさんのブログを見て、やはり行きたくなった。
    結論から申し上げると、やはり発色のよい歌麿は素晴らしい。
    歌麿は1792-94までがやはり全盛期ですね。
    ほぼ展示替えされるので、歌麿を見に後期にももう1回通います。
    (メトロポリタン美の作品の展示は3週間以内と制限がかかっているようです)

    1792-93
    1 婦人相学十躰 浮気之相 ミネアポリス美術館 林忠正、わか井をやぢ印
    3 婦人相学十躰 面白キ相 シカゴ美術館
    4 婦女人相十品 ポペンを吹く娘 メトロポリタン美術館
    5 婦女人相十品 煙草の煙を吹く女 シカゴ美術館
    6 婦人相学拾躰 煙草の煙を吹く女 シカゴ美術館 (1802-03)
    7 婦女人相十品 文読む女 シカゴ美術館
    9 ひら野屋おせよ ギメ東洋美術館

    1793
    13 青楼仁和嘉女芸者之部 唐人・獅子・角力 大英博物館
    18 難波屋おきた ミネアポリス美術館
    19 高島おひさ 東京都江戸東京博物館

    1793-94
    22 扇屋内花扇 ミネアポリス美術館
    23 扇屋内蓬莱仙 レスコヴィッチ コレクション

    1793
    26 六玉川 松葉屋瀬やま ボストン美術館

    1794
    27 名取酒六家選 兵庫屋華妻 メトロポリタン美術館

    1793-94
    30 歌撰恋之部 物思恋 東京都江戸東京博物館
    31 歌撰恋之部 あらはるる恋 シカゴ美術館
    32 歌撰恋之部 稀ニ逢恋 大英博物館

    1794
    33 当時全盛美人揃 玉屋内花紫 ギメ東洋美術館
    35 青楼十二時 続 子ノ刻 ベルギー王立美術歴史博物館
    41 青楼十二時 続 午ノ刻 ベルギー王立美術歴史博物館

    1794-95
    47 美人器量競 五明楼花扇 メトロポリタン美術館
    49 美人器量競 兵庫楼雛琴 ギメ東洋美術館

    1793-94
    50 北国五色墨 てつぽう シカゴ美術館
    52 南国美人合 ミネアポリス美術館

    1794-95
    53 霞織娘雛形 蚊帳 シカゴ美術館

    1795-96
    55 櫛 シカゴ美術館
    58 寄農婦恋 ミネアポリス美術館

    1794-95
    60 台所 ミネアポリス美術館
    62 指差し ミネアポリス美術館
    64 千代鶴おりせ ベルギー王立美術歴史博物館

    1797
    68 蚊帳の内外 ボストン美術館
    71 傘さす男女 ギメ東洋美術館

    1796-98
    72 錦織歌麿形新模様 白うちかけ 大英博物館

    1797-98
    74 鮑取り ミネアポリス美術館

    1798-99
    75 武蔵野 ボストン美術館



    北斎の冨嶽三十六景は江戸東京博所蔵品、諸国瀧廻り、千絵の海は中外産業 原安三郎コレクション、
    広重の近江八景も中外産業 原安三郎コレクションから展示されていた。

    ちょっと目をひいたのは
    304 広重 和漢朗詠集 月に雁 ミネアポリス
    とだけ記しておく。
    コメント
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする