フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち
Vermeer and the Delft Style
2008年8月2日から12月14日
フェルメール作品は、日本初公開5点を含む7点。全39点という展覧会。残念ながら、《絵画芸術》(ウィーン美術史美術館所蔵)出品中止。この作品は、ウィーンと訪れた時にも見そびれているので、ちょっと残念。
ヤン・ファン・デア・ヘイデン(1637-1712)Jan van der Heyden 2点
カレル・ファブリティウス(1622-1654)Carel Fabritius 4点
ピーテル・デ・ホーホ(1617-1683以降)Pieter de Hooch 8点
ヨハネス・フェルメール(1632-1675)Johannes Vermeer 7点
の4人の画家をフィーチャした展覧会。デルフトの巨匠たちとは彼らを指している。
ヤン・ファン・デア・ヘイデンの風景画などがイントロ。
つぎに、
カレル・ファブリティウス。
カレル・ファブリティウスなる画家は初めて知ったと思ったが、マウリッツハイス王立美術館のThe Goldfinch(, 1654
画像)が印象的だったのを思い出した。(残念ながら来日していない。)レンブラントの弟子。1650年からはデルフトで画家としての活動した。1654年、デルフトの1/4を焼いた火薬庫の大爆発の犠牲になったという。彼の作品は、15点ほどしか残っていないという。
自画像 1647-48 シュヴェリン国立美術館
アブラハム・ボッテルの肖像 c.1649 アムステルダム国立美術館 WGA画像
楽器商のいるデルフトの眺望 c.1652 ロンドンナショナルギャラリー WGA画像
歩哨 c.1654 シュヴェリン国立美術館 WGA画像
の4点が展示されていた。
楽器商のいるデルフトの眺望はトロンプ=ルイユ(騙し絵)。面白い。
ピーテル・デ・ホーホ。
なんと8点も展示されていた。ピーテル・デ・ホーホをずらっと見るのは初めて。すごい。
幼児に授乳する女性と子供と犬 c.1658-1660、サンフランシスコ美術館 画像
食糧貯蔵庫の女と子供 c.1658 アムステルダム国立美術館 画像
訪問 c.1657-58 メトロポリタン美術館 画像
アムステルダム市庁舎、市長室の内部 c.1663-1665 ティッセン・ボルネミッサ美術館、マドリッド 画像
女子供と召使 c.1663-1665 ウィーン美術史美術館 WGA画像
窓辺で手紙を読む女 c.1664 ブタペスト美術館 WGA画像
女主人への支払い c.1658 個人蔵 WGA画像
女主人への支払い c.1674 メトロポリタン美術館 画像
ピーテル・デ・ホーホは、ロッテルダムに生まれ、その後、デルフトに住み、1661年にアムステルダムに移り住んだ。今回の作品では、4点がデルフトでの作品。フェルメールもそうだが、寓意のない素直な日常風景を描いた作品群が印象的だった。
そして、ヨハネス・フェルメール。
2階のフロアーにはフェルメールしか展示されていない。Milkmaidに比べればかなり近づけ、解説も周りに配置しているので適度に人が分散して見やすかった。
マルタとマリアの家のキリスト c.1655 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
ディアナとニンフたち c.1655-56 マウリッツハイス王立美術館
小路 c.1658-1660 アムステルダム国立美術館
ワイングラスを持つ娘 c.1659-1660 アントン・ウルリッヒ美術館
リュートを調弦する女 c.1663-1665 メトロポリタン美術館
手紙を書く婦人と召使 c.1670 アイルランド・ナショナル・ギャラリー
ヴァージナルの前に座る若い女 c.1670 個人蔵
個人的に初見なのは「マルタとマリアの家のキリスト」、「ワイングラスを持つ娘」、「手紙を書く婦人と召使」、「ヴァージナルの前に座る若い女」は4点。
初めの「マルタとマリアの家のキリスト」、「ワイングラスを持つ娘」の2点。宗教画、神話というフェルメールらしくない主題。2点を並んべてみると衣服の襞の描き方など共通するところが見て取れる。こんな機会はめったにないだろう。「小路」は、個人的に好きな作品。もう少し近づいて見れると繊細な描写が見て取れるのだが。「ワイングラスを持つ娘」。ベルリンにある「紳士とワインを持つ女」のあとに描かれたと推定される同一主題の作品。「ワイングラスを持つ娘」は、フェルメールの絵には珍しいオランダ風俗画的、上品さに欠ける女性が描かれていた。「リュートを調弦する女」では、髪の描写があまりに淡いことに目が行った。「手紙を書く婦人と召使」。この作品が今回の7点のうち一番完成された作品だった。手紙を書く女性のベールに光が当たる様子などフェルメールならでは表現。「ヴァージナルの前に座る若い女」は、個人蔵。フェルメールの本物となっているが、贋作かどうか議論された作品。素人目には非常にフェルメールらしい作品のことは確かだ。いずれにせよ個人蔵なので拝見できて感謝。
もう一度ぐらい訪れたい。ちょっと高いが。
(2008年8月12日に拝見)