Philadelphia Museum of Art(Part1)
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収蔵品のハイライト
City HallからPhiladelphia Museum of ArtまでのFranklin Parkwayは、その名の通りParkway。並木にそってABC順に各国の国旗が掲揚してある。一寸蒸し暑い。汗がひどい。米国も異常気象らしい。それとも日頃の不摂生のせいか、ちょっとしたエクササイズだ。ジョギングをしている人もいる。ローラスケートの競争を楽しむ学生たち。Parkwayの中間にあるRogan Squareにたてば、ドームの上にウィリアム・ペン像があるCity Hallとギリシア風の三角屋根とエンタシスの柱の威風堂々たるファサードのPhiladelphia Museum of Artがちょうど見渡せる。気持ちのいい散歩道だ。ロダン美術館は、2004年9月にパリで堪能したのでここではスキップ。さらに歩きJapan日本とかいた国旗までくればほぼ到着だ。Parkwayの最後にある彫刻の前で建物をバックに写真をとる人が大勢いる。二階入り口までつづく東玄関の正面の階段を上る。フィラデルフィア美術館といえば、この階段で映画ロッキーの場面を思い出す人も多いらしい(たとえば
jony_t55さん)。日曜は無料らしいが、一応ドネーションをして入場。ミロの彫刻が出迎えくれる。屋内階段がさらに二階までつづく。ともあれ、まずは、1階のヨーロッパ美術1850年から1900年、現代美術を鑑賞。
ヨーロッパ美術1850年から1900年。さすが米国、まずマネの南北戦争を描いたThe Battle of the Kearsarge and the Alabama(1864)(H)(P)で始まる。マネがこんな絵を描いていたとは。そのあと目に入るのは、セザンヌの小品のBather。そのあとの部屋に、ゴッホの晩年のRain(1889)(H)などの作品が3点、2点は、黄色ベースにした作品だが、Rainは褐色の風景に白い雨のタッチが印象的。
さらにセザンヌは、何とセザンヌ夫人肖像が3点、サン・ビクトワール山が2点並ぶ。セザンヌは、セザンヌ夫人肖像を多く描いているが、上半身像とはいえ、3点も並んで鑑賞できるのには圧巻。すごいと感激する間もなく、次の部屋のその奥にセザンヌの大水浴The Large Bather(1906) (208 x 249 cm)(H)(P)が見えるではないか。吉田秀和氏のセザンヌの評論に出てくる作品だ。
セザンヌ物語〈2〉で、吉田氏は、この作品の震駭について一言で言えば、ヘンリー・ムーアが1921年が述べた「ペルラン・コレクションを見に行って、ものすごいショックを与えられたのは、セザンヌのあの巨大な水浴の三角形のコンポジションだった。あすこには、まるで山の岩石から切り出されたみたいな裸体が、遠近法的に、大地にごろんと横になっている。私は、シャルトルの大聖堂でも見ているような気がした」という以上のことはいえないだろう、述べている。
Juliaさんの発見した
Cézanne, Paulセザンヌのオンライン回顧展によれば、The Barnes Collectionsにも色調が違う大作(132.4 x 219.1 cm)のLes grandes baigneusesという作品があるようだ。比較して鑑賞出来れば最高だろうがチャンスがなく残念。
The Large Batherの手前の池を囲んで、ゴッホのひまわり(1888or 1889)(ミント色の背景)(H)(P)(安田火災のひまわりよりは感情が落ちついて見えた。)、セザンヌが6点、モネ(睡蓮と橋を描いた作品Japanese Footbridge and The Water Lily Pool at Giverny, 1899)(P)、マネが2点(1点はLe Ban back(1873)(H))、ルノワールが3点ならぶ。
The Large Batherの横の左側の列の部屋を進んでいくと、ルノワールが数点。ムンクの部屋に壁から取り外したMermaid(1896)等が目を引く。
右側の列の部屋には、モネの風景画がならぶ。Manne Port, Etretat(1885)など3点はノルマンディーの海岸の風景を描いた作品、Port Le Harveは、ノルマンディーの港だ。Poplars(1891)(H)(P)など他に10点ほどの風景画がならぶ、睡蓮でないモネをこれだけ見ると大変新鮮。モネの中に、ルノワールのPortrait of Madamoisell Legrand(1875)(P)が展示されている。6歳の黒いワンピースで正装した少女の絵。愛らしい。Barnes Collectionにこのモチーフの第二作があるとのこと(これは、多分Barnes Collectionが来日したときに見ているはず)。まだ、ルノワールが苦労していた時代の作品。
The Large Batherの隣に並ぶのが、ルソーの作品。Carnival Evening(1886)(H)は、透き通るような森の冬景色に、月光が照らされたカップルが手前に小さく描かれた幻想的な作品。The second Salon des Independants in Parisに初めて展示された作品。これが、19世紀の作品といいたくなる。The Merry Jesters(1906)(P), Young Girl in the Pink(1893-95)も並ぶ。ルソーのAvand-gardeさ作風を改めて認識した。ドガは油彩が何点かあった。ドガのデッサンも充実していて数点展示されていた。
現代美術は、今回もピカソをエンジョイできた。
5月にパリのピカソ美術館を訪れたのは本当によかった。黄色の背景のHead of Woman(1901)、魔女のような顔で黒が目立つ彩色をしたOld Woman(1901)。Woman with Loaves(1906)はroseの時代。Self Portarit(1906)(H)は、灰色の背景で、白いシャツのピカソの表情に画家としての自身と不安が読み取れる。1901年以来では初めての自画像。Seated Female Nude(1908-9)を過ぎてからは、Female Nude(1910), Man with guitar(1912), Man with Viollin(1912)とキュービズムの作品に。そのあとの静物画が何点かならぶ。Three Musicians(1921)(P)は大作。夫人たちエロティックな作品は偶々か展示されていなかった。
フィリップスコレクションの4点のほうが確かに教科書的にはピカソらしいか。初期の作品をピカソ美術館とここで数点見たのでまたブリジストン美術館のピカソをまた帰国したらチェックしたい。
ピカソのキュビスムの作品の中にマチスのMademoiselle Yvonnes Lansderg(1914)。第一次世界大戦の時代彷彿とさせる黒褐色をベースとした悲しげな肖像画。白い半弧の引っかいたようなタッチの線が印象的。マチスの南欧滞在の風景の作品Histoire Juives, 1924(P)、Still Life on a Table, 1925(P)は別室に。
シャガールのキュビズムの作品Half past three(1911)(H)(P)も。(シャガールといえば、建物の西玄関の壁いっぱいに大きな作品も見逃しなく。)
マルセル・デュシャンが一部屋以上を占めている。Readymadeの便器(1917年)のほかにも絵画とかが。壁から風景を覗くことにより鑑賞者に自分自身を意識させるという意図と思われるGiven I Waterfall II. Illiminating Gasという作品は、覗いてみると不思議な気分。
ichiro1983さんによれば、マルセル・デュシャンは、最近、横浜美術館に来ていたらしい。勉強しておけばもうちょっと楽しめたかも。
このフロアは、夏のバカンスのシーズンのためか、フランス人が結構多い。印象派が大好きな日本人はちらほらというところか。予約が必要だが、BarnesコレクションもこのPhiladelphiaにある。また、各部屋は、この絵画を寄付した人の説明もあり、コレクションごとに並んでいたりする。本当に米国の20世紀繁栄を象徴するような美術館だ。
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注
(H) Philadelphia Museum of Art: Handbook of the collections(ISBN 0-87633-098-7)に解説のある作品
(P) Web
19世紀印象派または
20世紀のアートにポスターの画像のある作品。上記に注を挙げた作品以外にもセザンネ、モネ、ゴッホの画像が何点か。
吉田秀和氏のセザンネ関連著作
-『セザンヌ物語〈1〉』 中央公論社
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-『セザンヌ物語〈2〉』 中央公論社
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-『セザンヌは何を描いたか』 白水社
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元の記事へのリンク(コメント)はこちら(July 17, 2005)
(Aug 3, 2005 Update)