徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

本の虫・本の鬼 @慶應義塾大学

2019-06-07 | Review
本の虫・本の鬼 @慶應義塾大学
2019年6月3日から28日

三田キャンパスの図書館とアートセンタで開催されている古典籍の展覧会に行ってきた。たまたま堀川貴司先生(斯道文庫教授)のギャラリートークを拝聴することができ大変楽しめた。(次回は、6月18日(火)14:45~。)無料にもかかわらず詳細な解説のついた図録もいただけありがたい。

本展覧会は、書物と、それに取り憑かれた人々との関わり合いを、「集散する書物」「善本への希求」「出版への執念」という三つの視点から展示している。

徳川義直が所蔵していた菅家文草の最古の古写本にはじまり、江戸時代の儒学者の人見竹洞が明からいち早く求めた孝経註疏(1629年刊)、渋江抽斎旧蔵の遊仙窟写本。書誌学者川瀬一馬氏は。本の鬼だろうか、安田善次郎氏の安田文庫、大東急記念文庫、阪本龍門文庫、成簀堂文庫の整理にかかわった人物。堀川先生のトークでたびたび登場した。小松茂美氏は古筆学の大家として知っていたが、東京国立博物館学芸部美術課長、センチュリー文化財団館長を歴任され、旧蔵書は棋道文庫に寄託保管されているとのこと。

第二部では、善本の希求ということで、狩谷棭斎の旧蔵本が並ぶ。例えば白氏文集林家跋文は、林羅山による本文研究の成果で、これを渋江抽斎が書写し、狩谷棭斎の手を経て、森枳園を経て現在に伝わったという。また横山重は、御伽草子、奈良絵本など善本を収集し、写本の系統について研究したという。文正草紙が何点か展示されていた。堀川先生によれば、文正草紙は出世物語でお正月に読まれたとか。

第三部出版のへの執念の章では、安井息軒の論語集説の稿本や、楊守敬らが明治期に中国本国では失われてしまった漢籍の古写本の復刻を行った古逸叢書幷関連資料、そのとき楊守敬らの訪問を受けた森枳園の筆談記録の清客筆話、大槻文彦の言海の校正刷などが並ぶ。

素人の私が拝見して楽しめたのは、ひとえに堀川先生のトークと図録のおかげ。
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ボリショイ劇場バレエ公演 白鳥の湖

2008-12-07 | Review
ボリショイ劇場バレエ公演 白鳥の湖

台本・改訂振付・制作 ユーリー・グリゴローヴィチ
原振付 マリウス・プテゥパ、レフ・イワノフ、アレクサンドル・ゴールスキー

オデット/オディール スヴェトラーナ・ザハーロワ
ジークフリート アンドレイ・ウヴァーロフ
ロットバルト ドミトリー・ベロゴロフツェフ

ザハーロワが可憐な白鳥で舞台に登場。に満場の拍手。一転して、黒鳥の踊り。ザハーロワは、期待をはるかに超える円熟した雰囲気を出し、切れのある踊りは最高潮。24回転も完璧。可愛く美人ザハーロワのイメージを打ち破る。ユーリー・グリゴローヴィチの振付は、最後に白鳥は悪魔にやられて、ジークフリートは嘆き悲しむのみというエンディング。マリウス・プテゥパの振付と違い、ストーリー性を重視し、わかりやすい。たとえば4羽の白鳥などマリンスキーに比すれば完璧ではないが、群舞の女性たちも美人が多く楽しめる。岩田守弘氏の道化は、はじめは緊張があったようだが、途中からは、ジャンプも高くよかった。カーテンコールに何度も応えてくれるザハーロワ、ウヴァーロフに、客席は最後はスタンディング・オベーション。

12月7日 18時開演

P.S. 11日のドンキホーテ公演。ザハーロワは、リハーサル中に痛めた左足甲の怪我の回復が思わしくないため、出演しなかったようだ。8日の公演が絶好調すぎたのだろうか。(ウヴァーロフも、パートナーの関係から出演しなかった。二人の代役は、ナターリヤ・オーシポワ と イワン・ワシ-リエフ が務めたとのこと。)怪我がはやくなおってほしい。2009年の4月の来日は可能なのだろうか?

13日追記。
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小澤征爾x新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会

2008-05-16 | Review
小澤征爾x新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会
2008年5月16日 19:15開演 サントリーホール

モーツァルト作曲 ディヴェルティメント ニ長調 K.136;素晴らしい音色。感動。
モーツァルト作曲 オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314;
チャイコフスキー作曲 交響曲第6番 ロ短調「悲愴」;小澤征爾の渾身の指揮。
指揮:小澤征爾
オーボエ:古部賢一
コンサートマスター:崔文洙 Munsu Choi

小澤征爾のマジックか、心地よい緊張感のコンサートだった。
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映画 バレエ・リュス(2005)

2008-01-04 | Review
4日 映画 バレエ・リュス(2005)
http://www.balletsrusses.net

 1929年、ディアギレフ率いるバレエ団、バレエ・リュスが彼の死と共に解散。この映画は、その後のバレエ・リュスを当時のダンサーたちのインタビュー、映像で追う。1930年代のダンサーたちの映像と、今80歳、90歳になっても踊り続ける元団員たちのインタビュー映像が交互に映されるのは、なんとも不思議な感覚。振付師の偉大さについても実感、レオニード・マシーン、ジョージ・バランシンなど。
 渋谷 ライズXで鑑賞したが、地下室のようで一寸残念だった。
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The Last Mimzy (2007) 他 (映画)

2007-07-18 | Review
飛行機の中で見た映画三本。The Last Mimzyがお勧めですが、日本での公開はかなり先のようで。

The Number 23 (2007)@JL411
Director: Joel Schumacher
Starring: Jim Carrey, Virginia Madsen

人の染色体は23対。シーザは23回刺された。などなど23はマジックナンバー。その23という数字の魔術に狂わされた主人公フィンガリングの人生について描く。最後に、旧約聖書の民数記Numbers 32:23 Be Sure Your Sin Will Find You Outが引用される。
imdb

300 スリーハンドレッド(2006)@JL411
Director: Zack Snyder
Starring: Gerard Butler, Lena Headey

紀元前480年、テルモピュライの戦い。King Xerxesの帝国ペルシアに攻め込まれたスパルタ王レオニダスは、わずか300人の精鋭を率いて大群を迎え撃つ。フランク・ミラーの人気グラフィック・ノベルを映画化。Remember the Thermopylae, Remember the Alamo, Remember Pearl Harbor and Remeber9.11. History repeats itself?などと考えてしまいました。
imdb
goo


The Last Mimzy (2007) @JL411
Director: Robert Shaye
Starring:
Chris O'Neil ... Noah Wilder
Rhiannon Leigh Wryn ... Emma Wilder
Joely Richardson ... Jo Wilder
Timothy Hutton ... David Wilder

原作は米国の作家ルイス・バジェットLewis PadgettのSFファンタジー短編「ボロゴーブはミムジィMimsy Were the Borogoves」(鏡の国のアリスの「ジャバウォックの詩」の引用)。兄妹NoahとEmmaとウサギのぬいぐるみミムジィのファンタジー・アドヴェンチャー。Emmaの純粋な心が世界を救う。JALの解説にも大人に向けられたファンタジーとあったが、久々に心洗われる映画だった。お勧め。
imdb

(16日)
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映画 A Beautiful Mind (2001)

2007-01-16 | Review
A Beautiful Mind (2001)

Directed by Ron Howard
Starring
Russell Crowe .... John Nash
Ed Harris .... Parcher
Jennifer Connelly .... Alicia Nash

アカデミー賞でOSCARを4部門で受賞したときから見たいと思っていた映画。
ノーベル賞を受賞した実在の天才数学者、ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアをモデルにした主人公の数奇な運命を描く。病気に負けずに、直らないままに立ち向かう人生と、それを支える妻に感動。そういう妻がいたらということで、Jennifer Connelly は、Best Actress in a Supporting Roleを受賞したのでしょうか。


参考:
ビューティフル・マインド(2001) - goo 映画
imdb

(@JL405)
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映画 All the King's Men(2006)

2007-01-15 | Review
All the King's Men(2006)
 
Directed by Steven Zaillian
Writing credits (WGA)
- Steven Zaillian (screenplay)
- Robert Penn Warren (novel, Pulizter Prize 1947)

Starring
Sean Penn .... Willie Stark
Jude Law .... Jack Burden

急進派のポピュリストのルイジアナ州知事Huey Long(1893-1935)(Wikipedia Englishはこちら)の実話をもとにしたRobert Penn Warren のNOVEL"All the King's Men" が原作。原作は1947年にPulitzer Prize for the Novelを受賞。

(ねたばれです)
最近の洪水で貧困ぶりが日本でも有名になってしまったルイジアナの大恐慌後の政治ドラマ。Willie Stark は、ひょんなことから、急進的なポピュリストの政治家として知事に当選してしまう。程度は別にすれば、滋賀県知事とか、元長野県知事とかようなものです。彼のモットは"Every Man a King"。その民衆に訴えるSean Pennの演説の熱演がすごい。でも、彼のその政治手法は、BLACKMAILを多用して、対立する議会や有力者を黙らせるというもの。正義と思ったらば、手段を選ばない。その結果、最後には議会で暗殺されてしまう。こんなストリーです。一寸だけ甘酸っぱい初恋の話も平行して話が進みますので、少し和みます。

あまりに正義が実現されない日本の政治状況を考えると、こういう映画が評価される米国とは政治意識が違うと考えさせられてしまいました。でも、急進的なポピュリストを生んだルイジアナは、相変わらず貧困な状況というのも、正義は役にたったのでしょうか?それとも彼が意志半ばにして暗殺されてしまったからでしょうか?

1949年にも映画化されていて、リメイクになるわけだが、歴史になっているためか、原作の主張がキチンと再現されているとのこと。

参考 imdb

(@JL405)
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映画:トゥ・フォー・ザ・マネーTwo For The Money(2005)

2006-03-12 | Review
映画:トゥ・フォー・ザ・マネーTwo For The Money(2005)
Director: D.J.Caruso
Starring:Al Pacino, Matthew McConaughey
元フットボール選手のブラントンは試合の結果を予想できる能力を買われて、スポーツ業界で悪名高きウォルターに引き抜かれた。やがて彼は危険な世界にのめりこんでいく。。

ギャンブラーの破滅心に迫る。感想はこんなところでしょうか。もうちょっとドラマがあると楽しめるのですが。

(@JL047)
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映画:バルザックと小さな中国のお針子(2002)

2006-03-12 | Review
映画:バルザックと小さな中国のお針子(2002)
フランス(Canal)・中国
監督:ダイ・シージエ
出演:ジョウ・シュン、チュン・コン、リュウ・イエ
文化革命時代の中国。医者を親にもつルオとマーは、反革命分子の子として再教育を受けるために山奥の村に送り込まれた。ルオはそこで美しいお針子の娘と出会い恋に落ちる。

チョットねたばれです

三峡の美しい風景を舞台に、Mozart K.334のバイオリンの音(ね)と、フランスの小説の重みのある言葉が奏でられる中、若い二人の男性と美しいお針子の娘の青春を描いた作品。素朴でたくましいまだ文明開化してない不死鳥山の村と、都会から再教育を受けるためにやってきた二人青年との接触がサブテーマ。ゴーギャン的な世界ですね。

焚書が行われた文化大革命の最中の1970年代。医者を親にもつルオとマーは、反革命分子の子として再教育を受けるために山奥の村に送り込まれた。ルオとマーは、そこで美しいお針子の娘と出会う。三人は貴重な外国の本があると聞いて、お針子の屈託のない提案で、本を盗んでしまう。ルオとマーは、盗んだ本をむさぼり読んで、一行一行を噛み締めて読む。でも教師の母をなくしたお針子は字をよめない。ルオとマーが、お針子にバルザックを読んで聞かせる。お針子は、眼をきらきらと光らせ、バルザックの世界に憧れる。本を何回も大切に読み返す時代。凝縮された言葉を大切にした時代。そんな時代が確かに一寸前まであった。小説の描写がいかに人の想像力をかきたてていたか?小説の一行一行をこんなにも深く読んでいた時代。バルザックが如何に禁断の思想であったか、書物がお針子の人生を変えてしまうのか。それに比較して、われわれの上を情報は洪水のように溢れてかえっている。洪水は引くことなく大地を覆ったままだ。

一方、普通の山奥の村人は地べたに座って、北朝鮮やロシアやアルバニアの教宣無声映画を、弁士の語りで無邪気に楽しんでいる。テレビに飼い慣らされている我々とどこが違うのか。いや教宣無声映画は偶の楽しみだが、テレビに我々のほうが中毒になっている。

まあ、テレビで情報を得ようと本で情報を得ようと、結局は受容するほうの課題もあって、どちらも催眠術にかかる可能性があるということかもしれない。そのへんのところをお針子の父親は心配していたが、お針子が本に影響されて村を出て行ってしまったのは、催眠術にかかったのではなかったのかと問われれば、そうかもしれない。でも、テレビの方が催眠術にはかかりやすいのは確かで、ベルリンの壁は簡単に崩れてしまった。

文化大革命も終わり、15年後、ルオとマーは、音楽家、医師として活躍している。青春時代をすごした不死鳥山の村は、三峡ダムの建設のために川底に沈んでしまう。あの美しいお針子は、バルザックに憧れて不死鳥山の村から深セン、香港と飛び立っていってしまってもう見つからない。三峡の霧のかかる険しい山間の美しい風景。お針子たちが無邪気に山間の温泉でニンフのように戯れる世界、そしてルオとお針子の一寸苦い思い出も、青春の一ページとしてに永遠に沈んでしまい戻ってこない。

灯篭流しには、中国からこの風俗はきたんだと発見しつつも、また失われた風俗への懐かしさも感じる。ミシンの足こぎ動力でドリルを回して歯の治療をするなど文明開化以前のたくましさも見ていて楽しい。

(@JL047)
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映画:レジェンド・オブ・ゾロ 

2006-03-09 | Review
映画:レジェンド・オブ・ゾロ The Legend of Zorro(2005)
Martin Campbell
Cast
Antonio Banderas .... Zorro/Alejandro
Catherine Zeta-Jones .... Elena
Adrian Alonso .... Joaquin

1850年アメリカはカルフォリニアが舞台。どたばた西部劇です。最後に勝つのは家族愛。(@JL048)

公式サイト

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