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コラム(416):ロシアという災厄国家
ロシアの式典を見て感ずること
はからずもロシアの対独戦戦勝記念日式典を見てしまいました。まさか、テレ東を除く在京キー局全局が式典を中継するなんて思ってもみませんでしたから。日本のテレビ各局ともロシア側に放送権料をだいぶ支払ったのではないかと思います。ロシアの3大放送局を制裁対象に加えたアメリカは映像を流したんでしょうか?
式典の様子を見ながら、西欧の軍隊に比べて洗練されていないロシアの軍人はダサく見えました。やはりロシアはヨーロッパの範疇に入ることができない田舎者に見え、軍事パレードは北朝鮮の親玉であると認識を強くしました。
胃がん、甲状腺がんの手術を延期してまでこの式典に出席したかったと言われるプーチン大統領は式典で、「これは余儀ない主権上の決断」、「侵略に対する先制の拒絶を行った」、「西側がロシアに耳を貸さなかった」、「我々の責務は世界戦争が起きないよう尽くすこと」という趣旨の発言をしました。
この発言に対して、ベルギーの歴史学者アンヌ・モレリの「戦争プロパガンダ10の法則」そのままではないかとの指摘が各方面からなされています。
「戦争プロパガンダ10の法則」は
1.われわれは戦争をしたくない
2.しかし敵が一方的に戦争を望んだ
3.敵の指導者は悪魔のような人間だ
4.われわれは領土や覇権のためではなく偉大な使命のために戦う
5.われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる
6.敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
7.われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
8.芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
9.われわれの大義は神聖なものである
10.この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である
というもので、確かにプーチン演説は、これまでの発言と合わせてみても、この法則通りにあてはまります。
さて、プーチン発言から推測すると、ウクライナ侵略戦争は長引くということです。いったん、停戦したとしても領土の略奪か奪還の問題ですから、必ず戦争は繰り返されます。ウクライナの人びとには辛く悲しい出来事が続きそうです。
もし、戦争がこの一年内に終わるとするなら、プーチン氏の失脚あるいは死亡、経済制裁によるロシア経済が破綻し戦争が継続できなくなる、最悪のシナリオはウクライナの降伏、の三つしかありません。ただし、ウクライナの降伏は欧米の支援がある限りありえません。しかし、援助が、武器支援を含めて限定的なため、ロシア軍を攻撃できてもロシアに押し戻すことは不可能です。これが、戦争を長期化させる原因です。
逆ヤルタ体制と言う考え方
欧米が本気でウクライナを助けたいのなら奇策があります。日本に積極的に働きかけて北方領土の奪還に向かわしめることです。これはヤルタ会談の反転です。
ヤルタ会談とは、第二次世界大戦末期の1945年2月4~11日、アメリカ大統領ルーズベルト、イギリス首相チャーチル、ソ連首相スターリンの三首脳がクリミア半島の保養地ヤルタで、戦後処理の基本方針について協議したものですが、ここでソ連の対日参戦と引換えに南樺太と千島列島をソ連に引渡す旨の密約がなされた悪名高い会談です。これをヤルタ体制といい、日本の北方領土が簒奪される結果を招来しました。
当時、ソ連は日ソ不可侵条約を締結することにより関東軍と対峙する兵員を対独戦線に振り向けました。これで連合軍が対独戦に勝利することができたわけですが、次は、日ソ不可侵条約を一方的に破棄させてソ連の兵員を対日戦に振り向けさせる密約です。この時のソ連への餌が日本の領土の南樺太と千島列島を奪わせることにあったわけです。
この歴史的経緯を踏まえて、ヤルタ体制を反転し、日本の領土奪還のためにロシアを挑発すれば、ロシアは必然的に極東に兵力を割かねばなりません。その結果、ウクライナと極東で二正面作戦を取らざるを得ず、ウクライナの被害は軽減されると思われます。
ただし、問題なのは、日本側にも相応の血が流れる覚悟がいることと、その上、北東アジアの近隣諸国に刺激を与え、地域全体が火薬庫になってしまう恐れもあります。ロシアの軍門に下った北朝鮮の動向が見えませんし、韓国だって本音は日本を支配下に置きたいし、さらに、中国は防衛力が手薄になっているところを攻めてくるのは必然です。
したがって、逆ヤルタと言うことは、ウクライナ支援と北方領土奪還には奇策になりますが、国際情勢全般から言えば悪手になると思います。ただ、そういう方法もあるという選択肢の一つに考え、傍若無人なロシアへのけん制として考えてみるのもいいと思います。
いつも家内が「どうして日本の周りは変な国が多いの?」とぼやいています。ロシア、南北朝鮮、中国、いずれの国も日本に隙あらば、と虎視眈々です。そのことを深く理解せず、戦争にまきこまれない状態を平和だと誤信して緊張感のないまま日々を過ごす日本人にとって、今が一番危ないときであると認識することは大切であると思います。このままでは、太平の眠りを覚ます黒船が再び襲来するかもしれません。
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