コラム(295):EU諸国と中国の本当の関係
一帯一路政策に頼る中国
中国は一帯一路に関する覚書をギリシャ、ポルトガル、東欧の旧共産圏の国々と交わしていますが、先般の習近平主席のEU訪問でイタリアとも覚書を交わしました。
習主席はフランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相、欧州委員会のユンケル委員長と会談し、EUの対中警戒感の払拭に懸命になっています。
中国がEUに攻勢をかける理由は、中国国内での反政府運動の多発と、深刻な対アメリカ経済問題が影響しています。
中国国内はいつクーデターが起きてもおかしくない状態で、政権幹部は常に不安に怯えています。そのため中国政府は、あちこちでほころびが出ているにもかかわらず一帯一路政策を進めるしかないのです。
ヨーロッパに強く根付く黄禍論
そうした中国の事情をEUの国々は知っています。イタリアが中国に急接近した理由は、自国の経済を中国の金で立て直そうとしているためです。中国はその代償としてイタリアの港湾を手に入れようとしていますが、イタリアにとっては経済支援だけ受けて、港湾を手放すつもりは毛頭ありません。
EUの主要国が中国をどう見ているのか、当ブログには、ドイツ在住の情報筋から以下のような驚くべき情報が寄せられました。
ドイツとフランスの首脳は、中国の覇権政策に強い警戒感を持っています。
実はこの警戒感の根底にある感情は、ヨーロッパ諸国独特の民族意識に由来しているようです。
彼らは人種差別はしないと言いつつも、実際には白人以外の有色人種に対する差別意識、優越意識を持っています。
中国の習主席がいくら大国ぶっていても、彼らは中国をアジアの新興国として見下しています。
こうしたヨーロッパに内在する民族意識は、仮にEUが分裂することになろうが厳然と存在するので、EUを舞台にしての中国の覇権政策は簡単には進みません。
また、彼らはそれ以前に中国の狡猾な手口を見抜いてもいます。
ヨーロッパ諸国は歴史の中で領土を奪ったり奪われたりの経験が豊富です。
百戦錬磨の国々が簡単に自国の利益に反するようなことで中国を受け入れようはずもないのです。
世界の国々がいろいろな分野で手を結び一つになることはよいことなのですが、
よこしまな意図を持った国の接近についてはそれを排除しようとする動きも自然な成り行きだということです。
結局、ヨーロッパの主要国は中国をアジアの田舎者の成金と見下しているし、自国を守ることに関しては豊富な経験値から、相手を見抜く力を持っているのです。
実は、すでにEU内で一帯一路の覚書を交わした20カ国の政府もイタリア同様、経済的支援は受けるが決して国を明け渡すことはありません。特に旧ソビエト連邦にあった国々は、同じ苦しみを繰り返すわけにはいかないのです。
中国の一帯一路戦略はますます中国共産党の衰退を早めることにつながりそうです。
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