国際情勢アラカルト
国際関係で伝えられてくる短い情報をまとめてみました。国際政治学者の解説です。
「ウクライナ戦争」米製ミサイルの許可
ウクライナ戦争のエスカレーションについてです。この戦争は未だに終息していません。バイデン政権とその背後にいる英国の守旧派を含む勢力が、ウクライナ戦争を第三次世界大戦へと拡大させようとする危険な試みを続けています。
アメリカ製のミサイル「ATACMS」をロシア攻撃に使用することをアメリカが許可したとの情報が、11月17日に報じられました。この許可に関しては、直接大統領が指示したという話ではなく、マスコミを通じて伝えられた内容です。
そして、その2日後の11月19日、ウクライナが実際にこのミサイルを使用しました。これに対し、ロシアは核による威嚇で応じる構えを見せています。このような行動が続けば、NATOとロシアの直接的な戦争につながるのではないかとロシア側は再三警告を発しており、緊張が一層高まっています。
バルト海の光ケーブル切断
11月18日、バルト海に敷設されている光ケーブルが2本切断されたことが確認されました。この切断は17日と18日に続けて発生したものです。この光ケーブルについて説明すると、1本はバルト三国からスウェーデン領のゴットランド島に繋がるケーブル、もう1本はフィンランドのヘルシンキとドイツを結ぶケーブルです。
この2本の光ケーブルが立て続けに切断されたことについて、チャイナの船が関与しているのではないかという疑惑が持たれています。船は停泊時に錨を下ろしますが、この錨を故意に下ろしたまま航行し、海底にある光ケーブルを切断したのではないかという推測がされています。実際、過去にも同様の手法が用いられた事例があるとされています。
もしチャイナが関与しているのであれば、それはロシアの意図を受けて代行した可能性があると見られています。この行為は西側諸国に対する嫌がらせ、いわゆるハイブリッド戦争の一環と考えられており、国際的な緊張を高める目的があったのではないかという指摘もあります。
一方で、この文脈をさらに広げて考えると、バイデン政権を代表とする無国籍企業的なグローバリストたちがロシアを敵視し、第三次世界大戦を引き起こそうとする試みが失敗に終わった結果として、彼らが最後の手段に出ているのではないかとも推測されています。たとえば、ロシア攻撃にアメリカやイギリス製のミサイルを使用するなど、戦争を意図的にエスカレートさせる行為が含まれるとされています。
また、ノルドストリームの爆破事件についても、戦争の激化を目論む英米側の謀略であったことは明らかだと言われています。この件については、直接の実行者が誰かについて様々な議論がありますが、英米側の関与であることに異論は少ないようです。実際、ヌーランド国務次官補がアメリカの公聴会でこの爆破事件について誇らしげに語ったという事実も報じられています。
今回の光ケーブル切断についても、ガスパイプライン破壊と同様に、戦争を煽るための無国籍グローバリスト側の計画ではないかという疑念が残ります。その際、チャイナの船が当該時間帯にその海域を航行していたことが確認されているため、さらなる調査が求められる状況です。
「メディア革命」Meta、NBC、Washington Post...米メディアの大変化
11月27日、メタのザッカーバーグCEOがトランプ氏に歩み寄ったという印象を受ける出来事がありました。27日に彼がフロリダ州のマールアラーゴを訪れ、トランプ氏と食事を共にしたと報じられています。その際、「今後トランプ政権に協力していく」と表明したとされており、これを「降参」と見る向きもあります。
また、NBCが売却に出されているというニュースも注目されています。三大テレビネットワークの一つであるNBCは、ABCやCBSと並び、反トランプ色が強いメディアとして知られていましたが、現在は売却先を探している状況です。一方、ワシントン・ポストも年間7700万ドルの赤字を抱えているとのことです。この新聞はベゾス氏が買収したことで知られていますが、今後の運営方針が問われる局面に来ています。
こうした動きから、アメリカでは「メディア革命」が着実に進行していることが伺えます。これまでトランプ氏に関して虚偽や偏向報道を繰り返してきた既存メディアが、その信頼性を大きく失いつつあります。視聴者はテレビを見なくなり、たとえ見たとしても内容を信用しなくなっているため、広告収入も減少し、経営難に陥っているメディアが増えています。このように、既存メディアの崩壊が顕著になっている状況です。
グローバリストに支配される独、大型原発で揺れる仏
ヨーロッパの動きについてお伝えします。ドイツでは、3党連立が崩壊しました。連立を構成していたのは社会民主党、みどりの党、自由民主党の3党でしたが、財政規律に厳しい自由民主党が「財政規律を守らない予算には賛同できない」として連立を離脱したことが原因です。このため、来年の2月23日に選挙が行われる可能性が非常に高いとされています。
今後、どのような連立が組まれるのかはまだ不透明です。かつてのアンゲラ・メルケル氏の時代のような保守系連立に戻るのか、あるいは社会民主党を中心とした革新系や進歩系の連立になるのか、現時点では予測がつきません。ただ、いずれの場合でも、ドイツが引き続きグローバリズムの流れを維持することに変わりはないようです。
ドイツで唯一、アンチグローバリズムを掲げる民主的ナショナリストと言えるのは「ドイツのための選択肢」という政党です。この党は、いくつかの地方選挙でトップに立つなど一定の支持を得ていますが、依然として連立には加わることができず、排除されています。
社会民主党は、どちらかといえば社会主義的なグローバリストの性質を持つ政党です。一方、ドイツのキリスト教民主同盟や社会同盟は、かつてアンゲラ・メルケル氏が支えた連立政権で、現在は無国籍企業的なグローバリストの色合いが強くなっています。
そのため、ドイツでは右派政党を選んでも左派政党を選んでも、どちらにしても大きな変化は期待できない状況です。結局のところ、反トランプ路線を進む姿勢は変わらないのではないかと考えられます。
フランスでは、二回投票制が採用されており、今年6月に第一回目の選挙が行われ、7月に決選投票が実施されました。その結果、第1党となったのは左派連合でした。
第一回目の投票では、右派の国民連合が第1党になる勢いを見せていましたが、マクロン大統領の与党と左派連合が協力し、選挙区調整を行った結果、国民連合は第3位に後退し、政権から排除されることになりました。
しかし、第1党となった左派連合は、新しく誕生したバルニエ内閣には参加していません。バルニエ氏は中道右派寄りの政治家で、マクロン大統領により指名されて内閣を組織しました。このため、左派連合は内閣に代表を送り込まず、バルニエ内閣は少数与党の立場に立たされています。
バルニエ氏は原発推進派である一方、移民問題では比較的厳しい姿勢を取るとされています。これに対し、左派連合は強く反発しており、内閣誕生時にはフランス各地で反対デモが行われました。このような状況下で、予算案が議会を通過しない可能性が高く、バルニエ内閣はクリスマス前にも崩壊するのではないかと懸念されています。
一方で、マクロン政権は大型原発6基の建設を進める計画を発表していますが、このプロジェクトには674億ユーロもの巨額の費用が見込まれています。資金調達方法が議論の段階で行き詰まっており、計画は進展していない状況です。
フランスは原子力を主要な電力供給源としており、電力を外国にも輸出しています。しかし、既存の原発が老朽化しているため、新たな施設の建設が不可欠とされています。とはいえ、その費用は莫大であり、進行中のアメリカのボーグル原発では、当初の予算の2.5倍の費用がかかっていることが報じられています。
さらに、原発の建設には長期間を要するため、フランスがどこまで原発に依存し続けられるのかが問われています。資金不足が大きな課題となっており、フランスだけでなくドイツでもエネルギー政策が行き詰まりを見せています。
ちなみに、ドイツでは結局、石炭火力発電を今後も長期間続けざるを得ない状況になってきています。これは多くの人が認めたがらない事実ですが、脱原発を決断した結果、かつて電力輸出国だったドイツは、現在ではわずかに電力輸入国になっています。
周辺諸国には余剰電力を供給したい国もあるため、その点では問題ないのかもしれません。しかし本来であれば、ロシアからの安価な天然ガスを輸入し、それを利用して安価な電力を供給する計画がありましたが、それが叶わなくなってしまいました。そのため、現状では石炭火力発電をしばらく継続せざるを得ないという結論に至っています。
私個人としては、地球温暖化の理論には懐疑的であり、石炭の燃焼そのものには大きな問題はないと考えています。ただし、大気汚染を防ぐための適切な排煙処理が行われていることが前提です。その条件が満たされているのであれば、石炭を利用すること自体に特段悪い点はないと思います。