赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

国際情勢アラカルト

2024-12-17 00:00:00 | 政治見解
国際情勢アラカルト




国際関係で伝えられてくる短い情報をまとめてみました。国際政治学者の解説です。


「ウクライナ戦争」米製ミサイルの許可

ウクライナ戦争のエスカレーションについてです。この戦争は未だに終息していません。バイデン政権とその背後にいる英国の守旧派を含む勢力が、ウクライナ戦争を第三次世界大戦へと拡大させようとする危険な試みを続けています。

アメリカ製のミサイル「ATACMS」をロシア攻撃に使用することをアメリカが許可したとの情報が、11月17日に報じられました。この許可に関しては、直接大統領が指示したという話ではなく、マスコミを通じて伝えられた内容です。

そして、その2日後の11月19日、ウクライナが実際にこのミサイルを使用しました。これに対し、ロシアは核による威嚇で応じる構えを見せています。このような行動が続けば、NATOとロシアの直接的な戦争につながるのではないかとロシア側は再三警告を発しており、緊張が一層高まっています。


バルト海の光ケーブル切断

11月18日、バルト海に敷設されている光ケーブルが2本切断されたことが確認されました。この切断は17日と18日に続けて発生したものです。この光ケーブルについて説明すると、1本はバルト三国からスウェーデン領のゴットランド島に繋がるケーブル、もう1本はフィンランドのヘルシンキとドイツを結ぶケーブルです。

この2本の光ケーブルが立て続けに切断されたことについて、チャイナの船が関与しているのではないかという疑惑が持たれています。船は停泊時に錨を下ろしますが、この錨を故意に下ろしたまま航行し、海底にある光ケーブルを切断したのではないかという推測がされています。実際、過去にも同様の手法が用いられた事例があるとされています。

もしチャイナが関与しているのであれば、それはロシアの意図を受けて代行した可能性があると見られています。この行為は西側諸国に対する嫌がらせ、いわゆるハイブリッド戦争の一環と考えられており、国際的な緊張を高める目的があったのではないかという指摘もあります。



一方で、この文脈をさらに広げて考えると、バイデン政権を代表とする無国籍企業的なグローバリストたちがロシアを敵視し、第三次世界大戦を引き起こそうとする試みが失敗に終わった結果として、彼らが最後の手段に出ているのではないかとも推測されています。たとえば、ロシア攻撃にアメリカやイギリス製のミサイルを使用するなど、戦争を意図的にエスカレートさせる行為が含まれるとされています。

また、ノルドストリームの爆破事件についても、戦争の激化を目論む英米側の謀略であったことは明らかだと言われています。この件については、直接の実行者が誰かについて様々な議論がありますが、英米側の関与であることに異論は少ないようです。実際、ヌーランド国務次官補がアメリカの公聴会でこの爆破事件について誇らしげに語ったという事実も報じられています。

今回の光ケーブル切断についても、ガスパイプライン破壊と同様に、戦争を煽るための無国籍グローバリスト側の計画ではないかという疑念が残ります。その際、チャイナの船が当該時間帯にその海域を航行していたことが確認されているため、さらなる調査が求められる状況です。


「メディア革命」Meta、NBC、Washington Post...米メディアの大変化

11月27日、メタのザッカーバーグCEOがトランプ氏に歩み寄ったという印象を受ける出来事がありました。27日に彼がフロリダ州のマールアラーゴを訪れ、トランプ氏と食事を共にしたと報じられています。その際、「今後トランプ政権に協力していく」と表明したとされており、これを「降参」と見る向きもあります。


また、NBCが売却に出されているというニュースも注目されています。三大テレビネットワークの一つであるNBCは、ABCやCBSと並び、反トランプ色が強いメディアとして知られていましたが、現在は売却先を探している状況です。一方、ワシントン・ポストも年間7700万ドルの赤字を抱えているとのことです。この新聞はベゾス氏が買収したことで知られていますが、今後の運営方針が問われる局面に来ています。

こうした動きから、アメリカでは「メディア革命」が着実に進行していることが伺えます。これまでトランプ氏に関して虚偽や偏向報道を繰り返してきた既存メディアが、その信頼性を大きく失いつつあります。視聴者はテレビを見なくなり、たとえ見たとしても内容を信用しなくなっているため、広告収入も減少し、経営難に陥っているメディアが増えています。このように、既存メディアの崩壊が顕著になっている状況です。


グローバリストに支配される独、大型原発で揺れる仏

ヨーロッパの動きについてお伝えします。ドイツでは、3党連立が崩壊しました。連立を構成していたのは社会民主党、みどりの党、自由民主党の3党でしたが、財政規律に厳しい自由民主党が「財政規律を守らない予算には賛同できない」として連立を離脱したことが原因です。このため、来年の2月23日に選挙が行われる可能性が非常に高いとされています。



今後、どのような連立が組まれるのかはまだ不透明です。かつてのアンゲラ・メルケル氏の時代のような保守系連立に戻るのか、あるいは社会民主党を中心とした革新系や進歩系の連立になるのか、現時点では予測がつきません。ただ、いずれの場合でも、ドイツが引き続きグローバリズムの流れを維持することに変わりはないようです。

ドイツで唯一、アンチグローバリズムを掲げる民主的ナショナリストと言えるのは「ドイツのための選択肢」という政党です。この党は、いくつかの地方選挙でトップに立つなど一定の支持を得ていますが、依然として連立には加わることができず、排除されています。

社会民主党は、どちらかといえば社会主義的なグローバリストの性質を持つ政党です。一方、ドイツのキリスト教民主同盟や社会同盟は、かつてアンゲラ・メルケル氏が支えた連立政権で、現在は無国籍企業的なグローバリストの色合いが強くなっています。

そのため、ドイツでは右派政党を選んでも左派政党を選んでも、どちらにしても大きな変化は期待できない状況です。結局のところ、反トランプ路線を進む姿勢は変わらないのではないかと考えられます。

フランスでは、二回投票制が採用されており、今年6月に第一回目の選挙が行われ、7月に決選投票が実施されました。その結果、第1党となったのは左派連合でした。

第一回目の投票では、右派の国民連合が第1党になる勢いを見せていましたが、マクロン大統領の与党と左派連合が協力し、選挙区調整を行った結果、国民連合は第3位に後退し、政権から排除されることになりました。

しかし、第1党となった左派連合は、新しく誕生したバルニエ内閣には参加していません。バルニエ氏は中道右派寄りの政治家で、マクロン大統領により指名されて内閣を組織しました。このため、左派連合は内閣に代表を送り込まず、バルニエ内閣は少数与党の立場に立たされています。

バルニエ氏は原発推進派である一方、移民問題では比較的厳しい姿勢を取るとされています。これに対し、左派連合は強く反発しており、内閣誕生時にはフランス各地で反対デモが行われました。このような状況下で、予算案が議会を通過しない可能性が高く、バルニエ内閣はクリスマス前にも崩壊するのではないかと懸念されています。

一方で、マクロン政権は大型原発6基の建設を進める計画を発表していますが、このプロジェクトには674億ユーロもの巨額の費用が見込まれています。資金調達方法が議論の段階で行き詰まっており、計画は進展していない状況です。


フランスは原子力を主要な電力供給源としており、電力を外国にも輸出しています。しかし、既存の原発が老朽化しているため、新たな施設の建設が不可欠とされています。とはいえ、その費用は莫大であり、進行中のアメリカのボーグル原発では、当初の予算の2.5倍の費用がかかっていることが報じられています。

さらに、原発の建設には長期間を要するため、フランスがどこまで原発に依存し続けられるのかが問われています。資金不足が大きな課題となっており、フランスだけでなくドイツでもエネルギー政策が行き詰まりを見せています。

ちなみに、ドイツでは結局、石炭火力発電を今後も長期間続けざるを得ない状況になってきています。これは多くの人が認めたがらない事実ですが、脱原発を決断した結果、かつて電力輸出国だったドイツは、現在ではわずかに電力輸入国になっています。

周辺諸国には余剰電力を供給したい国もあるため、その点では問題ないのかもしれません。しかし本来であれば、ロシアからの安価な天然ガスを輸入し、それを利用して安価な電力を供給する計画がありましたが、それが叶わなくなってしまいました。そのため、現状では石炭火力発電をしばらく継続せざるを得ないという結論に至っています。

私個人としては、地球温暖化の理論には懐疑的であり、石炭の燃焼そのものには大きな問題はないと考えています。ただし、大気汚染を防ぐための適切な排煙処理が行われていることが前提です。その条件が満たされているのであれば、石炭を利用すること自体に特段悪い点はないと思います。

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自民党、初の反米政権

2024-12-16 00:00:00 | 政治見解
自民党、初の反米政権




安倍元総理大臣の妻の昭恵さんが14日、アメリカ南部フロリダ州の空港に到着し、トランプ次期大統領の自宅でプライベートな夕食会に出席したと報じられています。

X(旧ツイッター)でも
「石破首相ですら会ってもらえないトランプ大統領。そのトランプさんに招待された安倍昭恵氏。」とか、
「しかし何度考えても、トランプから声が掛かるって昭恵さん凄すぎるな。アメリカ大統領だぜ? 石破総理云々じゃないんだよコレ。」
と驚きの声が上がっています。

NHKですら「トランプ氏との会談をめぐっては石破総理大臣が11月、南米を訪問したあと、会談を調整しましたが、トランプ氏側から就任前に各国首脳との正式な会談は行わない方針を伝えられたことなどから見送られています。」とシラッと石破首相に皮肉をいう始末です。

それだけトランプ次期大統領にとっては、石破首相を「反米」と捉えているからにほかなりません。今回は、国際政治学者に石破政権の本「反米体質」について質を語っていただきました。


石破政権についてです。自民党初の反米政権の誕生には驚きました。


習近平との握手の仕方

11月15日、ペルーの首都リマで開催されたAPEC首脳会談で、日中首脳会談が行われました。

習近平国家主席としては、国内経済が非常に厳しい状況にあり、なんとか打開策を模索している時期でした。一方、岸田首相がバイデン政権との関係を強く維持していたのに対し、新たに就任した石破首相はアメリカとの関係が微妙であるとの見方がされています。このため、中国側は石破政権がアメリカ一辺倒ではなく、自国に歩み寄る可能性があると考え、早急に日中首脳会談を実施して日本を取り込もうとしたのでしょう。

産経新聞などの報道によれば、アメリカに依存している岸田政権よりも、対米自立を意識していると思われる石破首相の方が中国にとって話しやすい相手と見ているようです。このような背景から、中国側が石破首相の意図を見抜き、早めに首脳会談を実施したと考えられます。

この首脳会談で注目を集めたのが握手の仕方でした。習近平氏が片手で握手を求めたのに対し、石破首相は両手で応じました。一般的に、片手で握手を求める方が格上、両手で応じる方が格下という印象を与えるとされており、外交儀礼上では望ましくないとされています。このため、「へりくだった態度を取ったのではないか」という指摘がありました。

石破首相自身は、「選挙活動時の癖で無意識にやってしまった」と説明していますが、意図的だった可能性も考えられます。この握手は、「こちらは友好的で、低姿勢で関係構築をお願いしたい」というメッセージを相手に伝えたとも受け取れるでしょう。

さらに、米中関係が悪化しており、トランプ政権になれば一層関係が悪くなることが予想される中で、石破政権が中国と友好的な関係を構築しようとする姿勢を示した行動とも受け取れます。このように、中国側との対話を積極的に進める姿勢が見られた首脳会談でした。




イギリスとの協調の裏側

その直後の11月18日、ブラジル・リオデジャネイロでG20首脳会談が開催されました。この会談中に日英首脳会談が行われ、「日英2+2」を開始しようという提案が出されました。「2+2」とは、経済担当閣僚と外務大臣が集まり、協議を行う仕組みのことを指します。

しかし、この動きの背景には、明らかに反トランプの文脈が見え隠れしています。トランプ氏は従来のアメリカ主導の自由貿易一辺倒の政策を見直し、高関税を活用することでアメリカ経済、とりわけ製造業を復興させようとしています。一方で、グローバリズム路線を推進しようとしているのが、日本の石破氏とイギリスのスターマー首相です。

また、イギリスを含むTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が12月から発効する予定ですが、これにはほとんど実質的な意味がないとされています。というのも、日本とイギリスの間ではすでに経済連携協定、つまり事実上の自由貿易協定が締結されており、新たにイギリスがTPPに加わったとしても大きな効果は期待できないからです。

こうした状況を踏まえると、「トランプの保護主義はけしからん」「日英は自由貿易主義を掲げて対抗する」といった構図が明確になっています。さらに、反米・反トランプの立場を取る習近平とも関係を深めようという姿勢が見受けられます。石破氏は、中国に接近し、イギリスと連携することでトランプに対抗しようとしている意図が明らかです。

英国のスターマー首相も、選挙運動の際に主要な選挙スタッフをアメリカ民主党の選挙支援団体に送り込んでいます。さらに、シカゴで行われた民主党の党大会にも、イギリス労働党の選挙戦を成功に導いた参謀たちを派遣するなど、アメリカ民主党への協力体制を強化していました。この動きは、かなりの肩入れと言えます。

スターマー首相は、カマラ・ハリス副大統領を積極的に支持する姿勢を明確にしました。これに対し、トランプ陣営は「これは反トランプにおける外国による露骨な選挙干渉ではないか」と怒りを露わにしている状況です。

それに対して、「もともとそのようなことがあった」という議論が一つあります。具体的には、イギリスの労働党とアメリカの民主党はリベラルな政党としてもともと親しい関係にあります。それは、イギリスの保守党とアメリカの共和党が保守主義の政党として親しい関係にあるのと似ています。これまでも選挙の際には、ある程度の人員が両国間で行き来することがあったそうです。



しかし、今回はその規模がこれまでとは異なります。これまでは、選挙戦略においてアメリカの方が進んでおり、アメリカがイギリスにノウハウを教えるという立場が主流でした。しかし、今回は大勝利を収めたイギリスの労働党が、アメリカに様々な方法を伝授するという文脈で動いているのです。

さらに、イギリスの労働党の選挙関係の高官が、SNSで次のような内容を公開しました。「これから10月に向けて、私たちは100名のボランティアを組織し、カマラ・ハリスを支援する予定です。その際の宿泊費用についてはこちらが負担します」という内容でした。この行為は、厳密に言えば選挙法違反に該当する可能性があるという指摘がされています。

こうした状況の中、スターマー氏はハリス副大統領を積極的に応援し、明らかに反トランプの姿勢を示していました。政策の方向性も反トランプであり、現在のバイデン大統領とは親しい関係にあります。このように立場が明確であるため、アメリカ国内では「スターマー首相はアメリカ内政に干渉したのではないか」と批判されることもあります。

さらに、スターマー氏が「トランプは保護主義で問題だ。我々は自由貿易を推進するべきだ」といった発言をすれば、トランプ政権としては「安倍元首相とは路線が異なる石破政権は対立軸にならざるを得ない」と考えるのも当然です。実際、そうした路線の違いが石破氏自身への反発を招いている要因ともいえるでしょう。

その結果、日米首脳会談が後回しにされるのも仕方ないと言えます。

こうした状況下で、日本も厳しい立場に追い込まれています。早急に石破氏を引きずり下ろさなければ、日本の未来は危ういと言えるでしょう。ただし、私はアメリカ政権の言いなりになるべきだと主張しているわけではありません。

バイデン政権の時代には、それに強く反発し、バイデン政権と戦うことが日本の国益にかなっていたと思います。しかし、今、世界の自由経済を盛り上げ、第3次世界大戦を回避し、平和に向かう道筋を示そうとする優れた大統領が登場しているのです。そのようなリーダーと協力するのは当然のことです。

一方で、中国共産党の帝国主義に対しては断固として対立するという姿勢が、トランプ政権の基本方針です。そのため、アメリカとしっかりと手を結ぶことが必要不可欠だと考えます。これまで日本は「自由貿易」を掲げてきましたが、その実態はグローバリズムの推進でしかありませんでした。我々の先人たちは、明治時代に関税自主権を奪われ、それを取り戻すために明治のほぼ全期間を費やしてきました。そして最終的に関税自主権を取り戻し、国としての経済的な自立を果たしました。

関税を課す権利は各国固有の権利であり、日本にとって不都合な外国製品に関しては関税を課すことができます。しかし、それを無条件で取り払って「自由貿易」の名の下にTPPのような枠組みを推進するのは、関税自主権の放棄に等しい行為です。どの国も自国の弱い産業を保護する権利を持っています。日本も競争力のある分野では自由貿易を進めてきましたが、競争力の低い農業分野などでは保護主義を取り入れてきました。

保護主義は必ずしも間違いではありません。各国は競争力のある分野では自由貿易を採用し、弱い分野を保護することが自然な流れです。トランプ大統領が推し進めようとしているのは、こうした現実的な政策に基づいたものです。そのため、日本もこの方針を受け入れることに何ら問題はありません。

しかし、自由貿易というイデオロギーに基づき、関税を完全に撤廃するというグローバリズム的な考え方は機能しません。国境の壁をなくせばすべてがうまくいくという発想は現実を見ていないのです。実際に、外国人労働者の流入が増加することで、失業率が上昇し、犯罪率が高まるなどの問題が発生しています。ヨーロッパやアメリカの現状を見ても、その結果がいかに深刻であるかは明白です。

グローバリズムが誤りであったという結論が、すでに多くの国で出されています。特に民主主義国家においては、国民を主体とし、国益を第一に考える政治を行うことが当然の責務であると言えるでしょう。

自由貿易主義も保護貿易主義も、その時々の状況に応じて使い分けるべきです。重要なのは、そのバランスをどう取るかという点に尽きます。しかし、その際に古いイデオロギーであるグローバリズムに基づき、「何でも自由貿易主義が正しい」と主張し、保護主義的政策をとるトランプを非難するのは、現実を見ていない議論だと言えるでしょう。それは、国益を無視した議論でもあります。

また、スターマー氏が反トランプの立場を明確にし、それに基づいて手を組もうとする動きがあります。これにより、日本では自民党政権として初めて、アメリカの政権と正面衝突する形になる可能性があります。今後、トランプ氏が政権にいる限り、日本に対して厳しい要求を突きつけてくることが予想されます。しかし、それらの要求の多くは、日本の防衛における自律性を求めるものであり、日本にとって有益な提案と言えます。

たとえば、アメリカの防衛力に頼らず、日本が自主防衛を実現するべきだという主張は、筋が通っています。本来であれば、憲法を改正し、日本自身が防衛の責任を持つ形にすること、さらには米軍基地を必要としない国になることが理想でしょう。こうした建設的な圧力がアメリカから加わることにより、日本の防衛政策が前進する可能性があります。

このような中、マスコミは「トランプは反日的だ」と報じるかもしれませんが、実際にはそうではありません。トランプ氏はアメリカの国益を追求しているだけで、その結果として日本に対する要求が強まるのは当然のことです。アメリカの影響力が相対的に弱まっている中で、新しい日米関係を築く必要があります。その中で、防衛における自主国防の実現は当然の課題と言えるでしょう。

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⑪中国のロビー活動の実態(最終回)——質疑応答 その3

2024-12-15 00:00:00 | 政治見解
⑪中国のロビー活動の実態(最終回)
——質疑応答 その3





(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)

次は、質問の3ですね。

「岸田総理の実弟が経営する会社が、移民関連のビジネスをしていることに対して、ファミリービジネスだとか利益誘導だという批判があり ます。しかし関連を証明するのは、ほぼ不可能だと思います。この件に関するご意見を教えてください。」


この点については、これもまたちょっと引用する形で申し訳ございませんけれども、夕刊フ ジが2024年、今年の5月に岸田総理の実弟が経営する都内の企業の担当者に取材しているんですね。

これを紹介させていただきますと、岸田政権が外国人労働者や移民の拡大政策を進める中で、ネット上でファミリービジネスだとか、利益誘導との指摘があることについて、この担当者は「まったく関係していない。自分の会社のような零細企業が国の方針を動かすことはできない。零細企業のために国がかじを切るということもない」と、こう釈明したということです。



インドネシア人の就労支援事業を始めた経緯については、こう言っているんですね。

「訪日旅行でもムスリムを受け入れていた。延長線上で大きなマーケットがあるインドネシアに移った。特定技能制度で日本で働きたいという要望がある中、2年ほど前から支援していこうと始めたばかりだ。まだまだ模索している」と説明したとのことでございます。

外国人労働者や移民が拡大すれば、岸田総理の弟さんが経営する会社の利益が増えることについては、こう言っているんですね。

「日本は受け入れへの対応が遅いと言われてきた中、人手不足の問題に直面して、自然な流れで国境を開けてきたと思う。うちのような 会社は何千とある。うちの会社だけにやらせようというながら別だが、競争社会の中での 一つの会社なので、ご理解いただきたい」と、こう語ったそうです。

これは私自身が取材したわけではないので、断言はできませんけれども、夕刊フジの取材によれば、ざっと今お話しした通りになります。

ここで申し上げたいのは、「李下に冠を正さず」という格言ですね。



実兄の総理大臣が 進める移民政策——岸田さんも変なことを言ってますよね。UAEのアラブに行った時、移民が9割だ、すばらしい」みたいなことを言って、馬鹿じゃないかと私は思ったのですけれども、この移民政策の影響を直接受ける内容の事業をしている以上、そこに便宜供与を 疑われても仕方がありません。

いいですか。岸田総理の名前を出して、ファミリーである ことを全面に出すメリットというのは、会社の信用という点で、例えば資金集めをするにしても、外国相手に事業を拡大するにしても、計り知れないものがあるんです。幾つも、千以上あるうちのーつじゃないですよ。トップですよ、トップ、いいですか。弟さんの経営する会社は。

なぜ、よりにもよって外国人労働者なんですか。

この弟さんが経営する企業が、国の施策に影響を与えるなどとは誰も言っていません。与えないです。指摘されるのは、総理の名を使ってビジネスをすることによって、利益誘導をしているのではないかという点なの です。

この話で思い出されるのは、河野太郎デジタル担当相の実弟が経営する神奈川県内の日本端子。通信ケーブルだか、何だかよく分からないことをやっている会社があるんですね。そこの製造販売会社があるんだけれども、このカウンターパートとしては不釣り合い、小さな日本端子の会社には不釣り合いな、巨大な中国の企業と合弁会社を立ち上げて いるんです。


この日本端子という河野ファミリーの企業は。おかしくないですか。だから中国との関係が取り沙汰されているんです。

太陽光パネルの性状に日本端子というのは関与しているんですけれども、この太陽光パネルが日本国内で拡大すればするほど、上海電力なんかもやっていますけれども、中国企業と河野太郎さんのファミリー企業が儲かる仕組みになっているんですよ。利益供与で す。

岸田総理の息子さんも、弟さんじゃなくて息子さん、外遊先で遊び回って首相公邸で乱痴気騒ぎするなど、バカッぷりを隠そうとしていませんけれども、かつては某有名な自民党幹事長、福岡にいた幹事長の息子も、名刺の肩書きに何々幹事長長男という肩書きを作って、馬鹿じゃないかと思ったんですけれども、六本木で遊び回って永田町で話題になっていたことがありました。ファミリーですよ、ファミリー。

  古賀誠の息子 岸田文雄氏を呼びつけ
  親の七光ビジネスで高級外車乗り回し

海の向こうでは、大統領選からの撤退を表明したバイデン大統領の次男、ハンター ・バ イデンが、ウクライナなどのビジネスに立場を利用して、親父は副大統領だぞと、当時、俺の親父は副大統領だなんて言って不正に関与した可能性があるということで、連邦下院 議会がバイデン大統領の弾劾に向けて、ハンター氏の疑惑の解明に向けた調査に乗り出し たこともあったんです。ファミリー企業は、よっぽど注意しなければいけない。



ハンターは今年、実際に拳銃の免許申請時に、薬物使用について虚偽の申請を、使っていたのに使っていないと虚偽の申告をしたとして、有罪評決を受けています。情けない。だから、ファミリーにはそんな馬鹿もいっぱいいるんですよ。だからこそ、李下に冠を正さず、疑われるようなことはするべきではないと、私は申し上げたいと思います。

以上で回答を終わります。ありがとうございました。

(了)

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⑩中国のロビー活動の実態——質疑応答 その2

2024-12-14 00:00:00 | 政治見解
⑩中国のロビー活動の実態——質疑応答 その2





(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)


次に、質問の2があります。

「自民党の総裁選について質問です。選挙管理委員会のメ ンバーに前回の総裁選で高市早苗氏の推薦人を務めた議員が入っているとのニュースが、 日経新聞から出ました。これは岸田総裁により高市つぶしと言えるのでしょうか」。

総裁選は命こそ取られませんけれども、これはお家が取り潰しになるかどうか、議員生命のかかった現代の戦なんですね。推薦人に名を連ねるのは、その候補が負けた場合に冷や飯を食いつづけなければならない、そういう宿命を負うことになります。「お前、あの 時俺じゃなくてあいつの推薦人として、支持に回ったじゃないか。俺に弓矢を向けたじゃないか」と、そんな話になるわけです。

なくなったけど、派閥の親分クラスは閣僚、内閣に取り込んでわっしょいわっしょいやっていくというやり方はありますけれども、末端の 人たちはそうはいきませんよね。末端というか、中堅以下の議員の人たちはそんな覚悟のいる推薦人を集めるというのは、実は並大抵のことではありません。

特に 無派閥の高市早苗さんの場合、立候補に必要な20人を集めるのは容易ではないんですね。 前回2021年の時には、安倍さんが高市さんの背中を押したので、20人さっと集まりまし たけれども、なかなか難しい、容易なことではありません。

こうした状況で、岸田文雄自民党総裁、彼が2021年の総裁選で高市さんの推薦人として名を連ねた20人のうち、黄川田さんと片山さっきさん、推薦人になることができない 選挙管理委員会に2人を選んだんですね。推薦人から引っこ抜いたという形です。だから 高市つぶしじゃないかと言われているし、私はそう受け取られても仕方がないと思います。質問のとおりですね。

何しろ岸田派からは選挙管理委員会のメンバーがゼロなんですから、おかしいですね。

これは岸田さん、総理であって自民党の総裁であるという役得ですね。遺憾なく発揮しています。ただ岩盤保守層から絶大な人気のある高市さんのことなので、私もつい最近、実は都内でクローズの高市さんの講演会を、最前列で見てきました。講演を聴いてきました。すごい大盛況でした。押すな押すなでした。

そんな高市さん、だから2人ぐらい推薦人を持っていかれても、立候補に必要な推薦人20人を確保するのは、簡単ではないんですけれども、そんなに慌てるほどのことでもないんじやないかと、私は思っております。そ う信じたいというのもありますけれども。

むしろ、公職選挙法に基づかない自民党の総裁選、都知事選とか衆議院補選がありまし たけれども、自民党の総裁選は注目が集まりますが、与党一党ですから、自民党の総裁= 総理ですからね。非常に大事なんだけれども、問題なのは公職選挙法に基づかないんですよ。だからロシアなどの権威主義国家並みに、何があってもおかしくないというのが自民党の総裁選で、この選挙のやり方には十分な注意を払うべきだと私は思います。



現に2020年の総裁選で、地方に強い石破茂元幹事長の推薦人になっていた渡海紀三朗 政調会長、最近、今収録しているまさに前日、発言して撤回したように、地方票を先に開票して国会議員票に影響を与えようという、そういう動きすら出ているんですね。

今まで それはまずいといって、同時に開けていたんですよ。今回、フルスペックですべての国会議員だけとかじやなくて、全自民党員、党友まで入れて選挙をやろうという動きになっていますけれども、もう既に石破派の議員からこんなことを言う、自分たちに有利になるような選挙の仕組みにしようという動きが出ているんですね。おかしいですよね。ころころ 自民党総裁選の仕組みは変わるんですから。

河野太郎デジタル担当相も、もう浮き足立っていますよね。出馬に意欲を示していますけれども、本人確認のいい加減な自民党への入党を利用して、自民党員になりすました中国人の存在というのが指摘されているんですよ。自民党員になりたい、なります、年間 4,000円払います――なれちゃうんですよ。なぜか。



いちいち地方の党組織は、戸籍謄本見せてください、パスポート見せてくださいとやらないですから。免許証を見せてくださいとやらない。全部めくら判。めくら判って言ったら今はだめなのかな。見ないで片手ではんこを押してしまうんです。そんなような状況なので、なりすましの外国人が入ってきている疑いがある。

これは私が勝手に言っているのではなくて、種明かしすれば、既に日経新聞の記者が堂々と取材して、中国側から取材して、日本の捜査当局、公安当局から取材して書いているんですね。嘘は書かないでしょう。ということで、私はこれは日経新聞 はGoodジョフ、いい仕事をやりましたね。

逆に、空恐ろしいと思いました。非常にヤバい。だって、地方で外国人に参政権を云々とか、住民投票権を与えるとか、そんなまどろっこしい話ではなくて、総理総裁ですからね。総裁を選ぶこと、イコール、今の状況では自 民党が与党第一党ですから、自民党の総裁=総理ですから。その総理を選ぶ直接投票を、 一部、中国人に委ねる形になるわけですよ。これはまずい。 



こういった自民党のインチキがまかり通るような総裁選の仕組み、こういった点にも目配せして、岸田陣営や河野陣営などがおかしなことをしていないかどうか。石破さんが出るか出ないか、出るでしょう。監視の目を光らせていくということも欠かせません。

(つづく)

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⑨中国のロビー活動の実態——質疑応答 その1

2024-12-13 00:00:00 | 政治見解
⑨中国のロビー活動の実態——質疑応答 その1




(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)

続いて、質問に答えてまいりたいと思います。

寄せられた質問の1番目。

「成田空港周辺の土地が中国人に 買い占められているという話を聞きました。これが事実だとすると、どういった狙いがあるのか気になります。これは本当の話でしょうか。」

まず事実関係なんですけれども、これは登記簿謄本を取って私が調べたわけではないので分かりません。分かりませんけれども、仮に買い占められているとみられる土地の登記 簿謄本を取ったとしても、日本人の名前が出てくれば確認するのはより難しくなります。

だいたいいつもカモフラージュするために、日本人が表に出てくるんですね。土地の爆買いなんていうのもありますけれども。なぜならば、登記簿上の名前が日本人でも、金を出している実質的なオーナーが中国人であれば、これを見抜くのは至難の業です。



2022年9月に全面施行された土地利用規制法というのがございます。これは安全保障上重要な施設の周辺や、国境離島を対象とする区域指定を日本政府が進めているんですけれども、今年4月、2024年4月に第4弾となる28都道府県の184カ所を新たに指定しておりま す。

この2年前の9月の全面施行後、指定はこれでトータル538カ所となっております。ただ、成田空港は私が調べた限り、中止区域にも重要中止区域にも指定されておりません。いずれ指定される可能性はありますが、なぜ指定されないのか、理解できません。成田空港は国際援助活動など、政府の支援活動で物資輸送をする際に、政府専用機や自衛隊機を 使ったりするため、空港の中でも特に重要な場所であるからなんですね。

指定されていないことをいいことに、中国資本が特定の意図を持って、つまり有事を引き起こしたり、有事で破壊活動を行ったり、あるいは平時に社会混乱を引き起こす目的をもって購入している可能性もあります。


この社会混乱を引き起こす目的というのは、今私がこれを話している時はパリで夏のオリンピックが開かれているんですけれども、フラン スの高速鉄道TGVが仕掛けられましたよね。放火されました。あれは社会混乱を狙ったものなんですね。戦争でなくてもそういうことをやる可能性がある。

成田じゃないんですけれども、現に北海道の新千歳空港周辺にはこうした動きが見られたことから、土地利用規制法が成立したという。理由はそればかりじゃないんですけど、土地利用規正法が成立した経緯もあって、成田空港についても周辺の土地が買い占められる可能性が十分あるため、既に買い占められているかもしれません。


そういった恐れがあるために、新千歳空港と同様、早期の指定が求められます。本当は利用規正ではなく所有 規正しなきやいけないんですよ。それがWTOに内国民待遇に反する云々と言ってい すけれども、それは「外国は」とやるからであって、日本人もだめと一緒にやれば別に 差別したことにならないから、WTO法違反にならないんですけれども、それはまたの機 会があればお話ししたいと思います。

【中国の利益に反しているから反対派も必死】

ちなみに、この中止区域というのは2つあるんですね。土地利用規正法には中止区域と 特別中止区域。まず中止区域というのは、重要施設の敷地の概ね1キロメートルの区域内 及び国境離島などの区域内の区域で、土地建物が重要施設や国境離島などの機能を阻害す る行為に利用されることを防止する。

ちよつと内閣府のホームページから引つ張ってきた説明だから、回りくどい言い方になりましたけれども、要は、重要施設の1キロ以内はだめだよということなんですね。利用制限、中止しますよということなんです。

私は、別に 重要施設1キロじゃ足りないと思いますけどもね。それはそうとしまして、今度は特別中止区域。より厳しいというのが分かると思います。防衛施設や原発施設などの特に重要な 区域について、指定したエリアを指します。仮に成田空港が新千歳空港と同様に、周辺の土地を中国人に買い占められているとするならば、それは今申し上げたような戦略的な悪 意のある意図を持って、中国が国家戦略として計画的・組織的に買い占めていることへの 懸念が消えません。日本政府は国の責任で、県や地方自治体の協力を得ながら、実態調査に乗り出さなければなりません。

買われてしまったら、二度と土地の所有者が手放そうと翻意しない限り、気が変わらない限り、取り戻すことは不可能なのです。だから利用制限だけではなくて、所有制限しな ければだめだと私が言っているのは、そういったところに理由があるんです。本来であれば、土地利用制限ではなく、欧米諸国のように土地所有禁止法にすべきところなんですけれども、公明党などの反対で法案が骨抜きにされて、せいぜいが土地の利用規制にとど まっているというのは、残念としか言いようがありません。

土地の調査は、決して優先順位を後回しにしていい話ではありません。日本政府は今すぐ取りかかる案件だと言えます。

(つづく)

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⑧中国のロビー活動の実態——日本中枢に入り込むチャイナマネー その2

2024-12-12 00:00:00 | 政治見解
⑧中国のロビー活動の実態
——日本中枢に入り込むチャイナマネー その2




続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)


この2万円出して宏池会のパーティーに参加すれば何を見ることができるのかという記事。この記者がパーティーに出席するわけです。その記事の内容は次のとおりです。

「パーティー券は1枚2万円かかる。記者のパー券は日本の企業経営者から送られた。島国にある自民党の宏池会の」この島国という枕言葉が鬱陶しいですね。要らないですよね。

「島国にある自民党の宏池会のパーティーでは、中国人にとって想像もつかないようなことが普通に行われていた。」私も信じられないですよ。「パーティーは有料で、中国人団体も喜んでパーティーに参加していた」というんですからね。北京の中南海とかで釣魚台で日本人がそんなことできるわけないじゃないですか。アメリカでもそうです。

記事を続けます。「記者は多くの中国人を発見したが、日本の過去と現在の政治家に会うために2万円を使うのはかなり高額だ。ただ、地位がどれほど高くても低くても、経歴や職業を尋ねられることはないし、提出する書類もない。セキュリティーチェックもないから、2万円さえ出せば誰だって宏池会のパーティーに参加できるのだ」。



どうでしょうか。中国と契約を結んだ日本のロビー会社と契約するという、回りくどいことをするよりも、現金でパー券を購入して出席して、あとになって脅しすかししながら彼らの要望を通す、これは道筋を宏池会が自ら与えちやっているんですよ。それも総理総裁派閥がですよ。

日本の政界と大手メディアは示し合わせたように、中国に乗つ取られたかのような派閥パーティーの実態を、見て見ぬふりをしています。報道しない自由の発動ですよね。 ネットでは「マスゴミ」なんて言われていますけれども、当たらずとも遠からずだと思います。ネット民を馬鹿にしてはいけません。ネット民と言ったって有権者、国民ですからね。



先の通常国会、1月から6月までやった通常国会では、連日、裏金、裏金の大合唱ですね。環流した金の不記載という政治資金規正法違反なので、それはそれで問題なんですけれども、記載しないから裏金なんて言われるのであって、環流金、ただの還付金ですからね。

問題は問題なんだけれども、中国人によるパー券購入のほうがもっと問題なんですよ。国会議員だって、知らないはずはないんです。こっちのほうが問題ということを。それを許すということは、中国の政治介入を許すことに他ならないんですよ。だから外国人 からの献金寄附は、政治資金規正法で禁止されているんです。

にもかかわらずパー券の購入。寄附と同じですよ。許されている。これは日本と日本人を裏切る行為であることを、 自民党の議員は自覚すべきです。私は何も反自民党でもなければ親中でも親自民党でもないんですけれども、これは党派を超えて一日本人として、非常に許しがたい、そう感じています。

派閥の政治資金パーティー収入の不記載、裏金事件と言っていますけれども、自民党はひとまず党規約などの改正案を整えて、国民向けに何かやった感を出しています。政治団体の会計責任者はかわいそうですね。いわゆるトカゲの尻尾切りですよ。政治家の言われるままにやっただけですから。政治資金規正法違反で逮捕もしくは起訴されれば、議員本人に対してももっとも重い場合でも離党勧告を行える内容を、今回は改正して盛り込んだということでございます。

不記載となった金は裏金と化して、場合によっては所得税法違反の疑いが生じるのですから、議員本人の責任を問うのは当然です。でも、繰り返しますが、何度でも繰り返しますが、それ以上に問題なのが今さんざんっぱら申し上げたとおり、中国人らによるパー ティー券購入の問題なのです。



岸田政権の中枢をむしばみ、真っ先に除去しなければならない深刻な問題が置き去りにされたままなんですよ。党規約を改正しましたなんて言っていますけれども、ポイントはそこではないんです。彼ら個人や団体が中国共産党の意を汲んだ対日工作の実働部隊として、政権与党の自民党が中国に有利な政治決定をするように、政治的な意図を持って購入しているというのは明らかです。

つきあいで、「いや、口出しませんよ。世話になってるから購入しますよ」って、そんなわけないじゃないですか。あの国が。

これは、今お話ししてきたクリントン大統領らやオルブライト元国務長官らが、チャイナマネーに籠絡されたように、アメリカの例を見るまでもありません。

習近平政権は友好 の仮面をかぶりながら、ニコニコしながら、charm offensiveなんていう言葉もありますけれども、本音では日本を華夷秩序に取り込んで——華夷秩序、中華の「華」と夷狄の 「夷」——、西戎、北狄、南蛮、中華・中原にいる漢人のまわりにいる人々はみんな蛮族であると、そういうことですよ。だからしもべであると。それが華夷秩序と言うんですけどね。

勝手に言ってろという話ですけれども、日本の政財界中枢への浸透をもくろんでいるということも、日本の政界は分からないんでしょうかね。お人好しじゃないですよ、彼らは。戦前、八路軍——中共軍の前身ですけれども、この八路軍を率いた毛沢東以来、プロパガンダにたけた政治宣伝ですね。

プロパガンダにたけた中国共産党のことです。政治的な狙いがあると見て排除するのは当然なのです。もっともパーティー収入の不記載とは違って、外国人によるパー券購入は、政治資金規正法違反ではないんです。合法なんですね。

ならば、ただちに違法とするべく国会の責任で政治資金規正法を改正すべきなんですよ。現行の政治資金規正法では、パー券の購入は20万円以下であれば購入者を明らかにする必要はないとなっていまして、それを自公とか与野党を含めて5万円なんてことをやっていますけれども、そんな額の問題じゃないんですよ。



外国人が買うこと、中国人が買うことが問題なんですね。何万円だから公開してもいい、何万円だから公開しなくてもいいという、そういう問題じやないんです。いずれにしても、匿名での購入がまかり通っているんです。5万以下だったら5万円以下に小口に分けて、いっぱい買わせればいいじゃないですか。私が中国人だったらそうします。これが外国勢力、中国勢力による資金提供の温床になっているんですね。

企業・団体による献金というのは、政党に対してだけ認められています。ですけれども、パー券の購入であれば、政党以外の政治団体からも可能なんですね。国の補助金を受けた法人や赤字法人、外国人、外国法人の寄附は禁じられているにもかかわらずパー券 購入は何の制約もなく、抜け穴になっているわけでございます。

こうした事実を国民の多くは知らないままでいます。知らなければ問題意識を持ちようがないし、政治に対する批判の目を向けることもありません。それが政治家個人の政治活動に対する責任に帰するものであるならまだしも、国のかじ取りを担う政権の屋台骨に影響が及ぶものだから、問題は深刻なのです。

宏池会のパーティーは、日本の政権中枢が根っこから腐り始めていることを如実に示しております。中国ロビーの影響どころではありませな。政治資金規正収支報告書の公開は、要旨を公表して3年を経過すれば削除できるんですね。今はネットで見られますけれども、3年たったらもう削除していいんです。

見られなくなる。なかったことになるんです。中国人がパー券を買って参加したことを、 なかったことになるんです。

岸田さんは、中国のパー券購入問題がこのまま闇から闇に消えて、国民の目にさらされ ないで済むのであれば、やったやったと御の字とでも思っているんじやないでしょうか。 だから政治倫理審査会にもいくらでも出席するよ、派閥だっていくらでも解散するよと、 そういう心境じやないんでしょうか。



さて、随分時間もたちました。本講座はこのあたりで終わりにしたいと思いますけれど も、アメリカにおける中国ロビーの活動実態、その裏返しで中国におけるアメリカのロビー活動の実態、日本における中国ロビー活動の様子は概略、お分かりいただけたでしょうか。

(質疑応答へつづく)

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⑦中国のロビー活動の実態——日本中枢に入り込むチャイナマネー その1

2024-12-11 00:00:00 | 政治見解
⑦中国のロビー活動の実態
——日本中枢に入り込むチャイナマネー その1





(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)

昨年、2023年、ワシントンにある駐米日本大使館、これはロビー活動やアドバイザリー業務などを手がけるアメリカの会社3社と新たに契約を結んでいるんですね。

ここで 先ほどから申し上げている外国代理人登録法に基づいて、日本大使館が契約を結んだ3社 というのは、まず1つ、トランプ大統領と親しいBallard Partners社。また、黒人議員らの集まりであるThe Group DCOこれはワシントンDCという意味ですね。District of Columbiaoもう1つは保険をかけるように民主党系ですね。クリントン元大統領のスピーチライターらが立ち上げたWest Wing Writersという民主党系のロビー団体。こういったところの3社と新たに契約しております。

この3社だけかというとそうではなくて、この3社を加えることによって、現在日本政府が契約しているアメリカのロビー会社というのは、合計で20社になると、そういうことで ございます。

Ballard Partnersの代表というのは、トランプ大統領と30年近くの交流があって、アメリカの政治サイトのポリティコ、これは私もよく読んでいたんですけれども、ポリティコ はトランプ政権でもっとも強力なロビイストと言っているんですね。



TikTokでは中国がアメリカのロビイスト会社を使って懸命に、このTikTok使用禁止法案の成立阻止に向けた動きを活発化させていたんですけれども、日本も日本製鉄が2023年の12月、去年の12月、 アメリカの鉄鋼大手のUSスチールを約140億円で買収しようとした際に、アメリカのロ ビー会社を使ってアメリカ国内の反発、反対世論の懐柔というのを図っているんですね。 中国だけではなくて日本も、ロビー活動でいろいろやっているということなんですけれど も。

この日本製鉄による買収計画というのは、今年の4月にUSスチールの株主総会で承認されたものの、鉄鋼業界の労働組合とかUSW (全米鉄鋼労働組合)がこの計画に一貫して 反対しているんですね。日本製鉄はトランプ政権で国務長官だったポンペオ氏を、アドバイザーとして雇うなど、強力なロビー活動を展開しています。なかなか日本製鉄もやりますよね。

最近の円安というのは、こうした日本政府のロビー活動を直撃しているんです。円安ですから、金がかかってしょうがない。トランプ系のBallade Partnersには、月額2万5,000 ドル、約390万円を支払って、他のロビー会社には月額1万5,000ドル、約232万円を支払っており、金銭的な負担が増しております。これがロビー活動の弱体化につながりかねない 懸念が生じています。

円安で支払う金がないからロビー活動できないようでは、困っちゃうわけですね。だからそういったところも日本政府は、金の使い方をもっといろいろ考え たほうがいいと思います。やはりワシントンというのは、外交の一番の激戦地ですからね。もうちょっと日本政府もワシントンに目を向けたほうがよかろうと思っております。

次に、日本国内における中国ロビー活動はどうなっているのだろうかということについ て、お話ししたいと思います。届け出制もなくてロビー会社を使うまでもなく、やりたい放題というのが実態なんですね。

とはいえ、ロビー団体に準じられている 団体を一応列挙すると、中国関連の団体として日中友好7団体というのが挙げられるんですね。

読み上げます。公益社団法人日本中国友好協会、日本国際貿易促進協会。これは冒頭申し上げた河野洋平さんが会長をされている組織です。これは7団体の中で一番力があります。

一般財団法人日中経済協会。4 つ目が一般社団法人日中協会。公益財団法人日中友好会館というのがあるんですね。この他に国会議員らによる日中友好議連というのがございます。林芳正官房長官が外務大臣になるまで会長を務めていた、実態のないこの口利き団体というのが日中友好議連なんですね。



メンバーは公表されていませんから、怪しいじゃありませんか。当時は林会長の口添えがなければ、中国本上でのビジネス展開に支障を来すと言われていたほどでありまして、それなりの見返りが林さんサイドに入っていたと見るのが自然でしょう。

さて、この7団体の中でも悪名高いのが、先ほどから申し上げている河野洋平が会長を務める国貿促、日本国際貿易促進協会です。日中友好議連と並んで中国ビジネスの関所になっていまして、河野サイドに旨みが転がり込む仕組みとなっているとされております。 これら7団体が、日本では中国のロビーの中核となってうごめいているのです。

とはいえ、日本ではアメリカと違って、外国人による政治団体への献金は禁じられています。政治家への献金が上限つきながら認められているアメリカに対して、日本では政治 資金規正法で外国人からの寄附を禁止されているからなんですね。

アメリカのクリントン政権が中国ロビーに食い物にされたように、日本の政界が外国勢力によって政治活動や選挙に影響を与えられて、国益を損なうのを防ぐのが狙いなんですね。何の狙いかというと、政治資金規正法で外国人からの献金、寄附を禁止するということですね。それの狙いは政治活動や選挙に影響を与えられて、国益を損なうことを防ぐため、そういうことなんですね。

故意に献金を受けた政治団体の担当者は、罪が確定すれば3年以下の禁錮か50万円以下 の罰金が科されて、公民権停止となります。アメリカに比べて外国人の政治への影響力行使に厳しいように見える日本なんですけれども、抜け道があるんですね。それが政治資金集めを目的とした政治資金パーティーです。


これは岸田派パーティー、パー券購入とあります。中国人や中国団体にとって、それ以上に有効活用されているのが7団体などを通じ たパーティー券の購入なんですね。困ってしまいます。

外国人、日本の場合はそのほとんどが中国人なんですけれども、政治家個人や自民党の派閥などのパーティー券をバンバン 購入してもらっているんですから、もう本当に開いた口がふさがらないです。金は出すけど口は出さないという奇特な人を見つけ出すのは、この世知辛い世の中、砂のまさごから一粒の砂を見つけ出す、それより難しいと思われます。



手元に中国系の東亜信息網というものがあります。これは東アジア情報ネットワークと訳すのでしょうか、昨年2023年5月18日付の記事と動画があるんですね。関心のある方は ぜひ見てください。

もう一度申し上げます。中国系の東亜信息網、東アジア情報ネット ワークですね。2023年5月18日付。これは、この時点で削除されているかどうか分かりませんけれども、たぶん見れると思います。動画は約7分間で、画面の左上には香港日報、 右下には東亜信息網という文字とともに、日中両国の国旗が見えるんですね。

動画は 2023年5月17日の夜、東京都港区にあるホテルで開催された「宏池会と語る会」。受付の 様子から終了まで、在日中国人らがたくさん出席している模様を、鮮明に映し出しています。宏池会というのは、皆さまご存じのとおり岸田派のことですね。

パーティー開始前、入口付近にある金屏風の前に立って参加者を出迎えた林芳正官 房長官、当時は無役でしたけれども、在日中国人の一人一人と親しげに挨拶を交わして名 刺交換をしている姿が映っています。パーティーに出席した在日中国人らが仲間内で記念 撮影したシーンも、動画で流されておりまして、中国人の美人らと一緒に、呉江浩駐日中国大使が笑顔で映っていたのがご愛嬌ですね。

その前の年、2022年5月19日電子版にも、「宏池会と語る会」の現場レポートが同じ信息網に載っております。注目したいのは、以下のくだりなんですね。

記事を読み上げます。「岸田首相の就任後、初めて開催されたパーティー会場はほぼ満席で、例年より明らかに多くの在日中国人が集まり、初めてパーティーに参加したグループも見られた。」
グループで来ているんですね。

「中でも、名古屋在住の中国人グループがわざわざ会場に来 て、とても美しい光景となった。名古屋在住グループの主催者の女性は、『今年は中日友好50周年であるから、皆で参加した』、こう述べた。パーティーに参加することで、中国を宣伝したいという希望を示すものであり、日中関係はよりよい方向に発展している。中 は在日中国人なら誰でも知っている中国人も来ており、豪華絢爛な顔ぶれとなった」。

私から言わせれば、あちこちで見かける怪しげな人も、いっぱい映っていました。いっぱいというか、数人ですけれどもね。

記事の続きを読みます。「今年の宏池会のパーティーが例年と違うのは、なぜか学校教育推進コーナーがあって」なんでですかね。「宏池会と語る会」なのにね。「中国人関係者が登壇して挨拶している点が特徴的だ」というんですね。

「参加者の誰かが」これは名古屋のグループのことを言っているんですけれども、「参加者の誰かが宏池会のスポンサーに違いないと冗談を飛ばしていたけれども、この記事を書いた中国人記者が取材したら、本当の話だった」というんですね。

「首相や重要閣僚が集まるパーティーである。相当高額なパー券を購入したに違いない」と、この記事は結んでいるんですね。いやいや、 大丈夫かな日本という感じですね。岸田さん、しっかりしてください。

次いで2019年5月16日、ちょっと古くなりますけれども、これはコロナ前ですね。また 同じ東亜信息網の電子版の記事です。見出しは「2万円出して宏池会のパーティーに参加すれば、何を見ることができるのか」。

ちみに関心のある方は見てくださいと、私、申し上げましたけれども、全部中国語です。でも心配には及びません。Googleの翻訳、そしてディープウェルというアプリでかなり正確に日本語に翻訳できます。

私も人様にこうして伝える以上は、そういったアプリだけで伝えるわけにいかないので、知り合いの本物の中国人、これは全然共産党と関係ないですよ。信用できる中国人に見せまして、「ああ、当たってます」「これは違います」という話でちゃんチェックした上で、こうしてご紹 介しているわけでございます。 

(つづく)



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⑥中国のロビー活動の実態————移民の力 その2

2024-12-10 00:00:00 | 政治見解
⑥中国のロビー活動の実態——移民の力 その2




(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)


IT企業の集まるカリフォルニアのシリコンバレー、インテルをはじめ多くの大企業のトップがアメリカ連邦議会議員に訴えようとした主張というのは明解でした。中国への輸出増加というのは、アメリカに数億ドルの追加収入と新規の雇用をもたらすだろう。こういうものなんですね。

だから我々——インテルやIT企業——が中国で儲ければ、アメリカの利益にもなるんだよと、そういうことを言っているわけですね。だから中国でも商売しやすいようにしてくれと、アメリカ企業自身がアメリカ議会に働きかけていた。

もちろん北京側でも働きかけるわけですけれども、このIT関係団体というのがハイテク開発に協力する人々を支援すると宣言しまして、中国市場に関心を持つ企業の声に耳を傾ける議員らを支 援しますと、こう宣言する、明言するんですね。

これは、中国との関係改善を進める議員には票を集めるけれども、そうでない議員には票を回さないぞという、半分恫喝、脅しにもなっていたんですね。だから議員側も考えますよね。

ロビイストのキャンペーンというのはマスメディアを籠絡して、貿易障壁の撤廃、そして中国との貿易発展を支持する記事を量産するんですね。同時にハイテク企業の何千人もの従業員が間接的なロビー活動に参加しまして、議員に手紙を送り始めたりしているわけです。

事実上のロビイストの先生が結成されているわけですね。これは民主党や共和党と 何の関係もなく、超党派だった点が注目されるわけです。もう金儲け、金儲けです。

アメリカの商工会議所も、中国に対する制裁解除を求めるロビイスト運動や、米中ビジネスの促進を主張し、これに影響を受けた上下両院の連邦議員は、アメリカ製品の中国への販売促進は中国の民主化を進めるものだという主張が、幅を利かせるようになったので す。

この結果、中国のロビー活動の様子は劇的に変化しました。中国ロビーがワシントンで 活動を活発化させるのと表裏一体で、この時期同時にアメリカのロビー会社は、逆に中国政府内に浸透していったのであります。

例えばGE (General Electric)社は企業リーダーシッププログラムというものを開始しまして、毎年25人の中国の高級管理職をアメリカに招きました。GEのトップ自身が認め たように、このプログラムの目的はGEが生産する航空機エンジンや風力発電所を、巨大な中国市場に展開することだったんですね。既に200人以上の中国高級専門家が中国共産 党中央統一戦線工作部——統線部ですね――との合意に基づきまして、このプログラムの 下で試用期間を終え、中国企業に採用されております。

中国へのロビー活動を行った結果として、アメリカ企業にもたらされる魅力は、中国当局の利益を考慮しない外国企業は、中国共産党の容赦ない制裁に直面する一方、中国当局の意に沿う企業活動を行っていれば大きな利益をもたらしてくれるという点です。

中国が国有企業を奨励し、市場への自由なアクセスを制限するとともに、アメリカの利益のためのロビー活動は収益率の高い巨大なビジネスとなっております。アメリカのロビイストや コンサルティング会社は、アメリカの顧客が中国の権力中枢内でうまく立ち回れるよう支援するため、中国での活動を拡大しております。

例えば、クリントン政権時代に国務長官だったマデレーン・オルブライト、それとアメリカの元大統領、国家安全保障担当問題担 当大統領補佐官のサンディー・バーガーというのがいたんですけれども、これが率いる才 ルブライト・ストーン・ブリッジ・グループというのがあるんですね。これは最大10人の 元中国政府高官を、自分の会社の北京事務所で雇用しております。皆、中共の統線部の工作員か、その監視下にある従業員とみて間違いないでしょう。

GE社は、北京事務所に最大30人のロビイストを抱えております。中国人です。オルブライト・ストーン・ブリッジは、中国商務省の元有力者を引き入れたおかげで、クライアントであるアメリカのファーストソーラー社のために、内モンゴルに——南モンゴルですね――世界最大の太陽光パネル生産工場を建設する交渉で、前向きな結果を確保することができたというんですね。あれあれ、ですよね。

ウィグルで採掘される太陽光パネルの原料となるシリカゲルや、それを元に生産されるソーラーパネルも、これはアメリカ企業の関与を調べたほうがいいかもしれません。

なぜなら、採掘現場でウィグル人が中国共産党 に強制労働させられているという人権問題について、アメリカ政府の動きが今一つ鈍いん じゃないかと、私はそう見ているんですけれども、その鈍いのは、中国におけるこうした アメリカ企業のロビー活動と、アメリカにおける中国サイドのロビー活動が何らかの影響を与えている可能性があるんじゃないかと思うからなんですね。

中国の権力の中枢でのロビー活動に、オルブライトのようなアメリカ政府の重鎮、元高官を引き入れたというやり方は、中国の巧妙なアプローチの手法だと言えるのではないで しようか。中国に融和的なクリントン政権時代、現職の国務長官として北朝鮮を訪問し、 例の有名なマスゲームを見て感動して褒めそやしてしまった、案外軽い人物なんですね、

オルブライトさん。籠絡しやすい人物として、中国に格好のターゲットにされてしまったんじゃないでしょうか。同盟国日本の存在は、もう全然目に入らなかったみたいですね、 オルブライトさん。

中国当局は、イデオロギー抜きで経済的利益だけを考えておりまして、アメリカの良きビジネスパートナーになれると振る舞っているんですね。老猶なイギリスやフランスなどと違って、欧州大陸という嬲魅魅魅の世界でもまれたことのない、ある意味、単細胞と言ったら怒られますけれども、単純なアメリカは、外交上の経験の浅い。政府も企業もそれを信じて——それというのは、中国が言うことですよね。「アメリカの良いビジネス パートナーになれますよ」ということ。それを信じて、ワシントンと北京という両方で中 国にのめり込んでしまったんですね。

北京のアメリカのロビイストの一般的なアプローチ方法は、中国当局の目標、これは政治的、経済的、個人的なこういったものを吟味したプロジェクトを提示することであります。今、アメリカにおける中国ロビー活動の実態や、中国における アメリカのロビー活動の実態を見てきました。オルブライトの会社みたいに。では、今後の日本はどうなんでしょうか。

日本政府は2024年11月のアメリカ大統領選挙、バイデン大統領の選挙戦からの撤退で、トランプ前大統領が再選する可能性が高まったということでございまして、これまで 以上にロビー活動の強化に乗り出しております。

ちなみに、アメリカ大統領選というのは 2012年、私が直接取材したオバマ対共和党のロムニー候補というのもいたんですけれども、結局誰が出てこようが51:49みたいになってくるんですよ。それまでの支持率なんて、はっきり言ってどうでもいい。

他のどっちが強いという分析材料というのはありますけれども、それはここのテーマとは関係がないので、また別の機会があればお話ししたいと思いますが、そういう情勢の変化、バイデンが引っ込んで今度はトランプvsカマラ・ ハリスという、そういう情勢の変化もあったので、これはアメリカの日本大使館もロビー 活動を本格化させていると。

(つづく)

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⑤中国のロビー活動の実態——移民の力 その1

2024-12-09 00:00:00 | 政治見解
⑤中国のロビー活動の実態——移民の力 その1



(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)

このペロシの変節とも言える発言の背景には、これはそもそも分かっていたことなんですけれども、彼女の選挙区であるカリフォルニア州のサンフランシスコが、アメリカで最大かつもっとも影響力のある中国系移民の居住地であるということが報道されたりもしました。

アメリカの選挙運動における中国系移民の影響というのは、中国が自分の国の利益のためにロビー活動を行う主な手段となっているんですね。アメリカ国勢調査局のデータ によりますと、約10年前の2013年のアメリカ在住中国人というのは、ちょっと古い数字 なのですがすみません、430万人。

これは全人口のわずか1.3%です。主な居住地区は、カリフォルニア州が43%、ニューヨーク州が13%、テキサス州が7%となっております。アメリカ在住の台湾系移民の約55%も、カリフォルニア州に住んでおりまして、ニューヨー ク州では約 20% が中国本土出身者となっております。

サンフランシスコ、ロサンゼルス、ボストン、シカゴといった大きな街には、中国系移民のかなりの部分が居住しているだけではなくて、他の大都市にもだいたい大なり小なり、チャイナタウンがあるんですね。アメリカにおける華人は、=フリトカジン=、中華の華ですね。移住した先でアメリカ国籍を取った帰化中国人を華人と言うんですけれど も、これはほとんどの華人は1980年以降にアメリカに移住しまして、この傾向は今も続い ております。

中国当局は、積極的にこれら華人と連携しているんですね。華人とは今申し上げたとおり、中国以外の海外に移住して、その国の国籍を取得した元中国人のことを言いますけれども、似たような言葉に華僑というのがあります。これは海外に移住はしまし たけれども、国籍は中国のままの人のことを言います。

中国と帰化中国人という差はありますけれども、どちらも祖国に忠誠心を持ち続けている点は共通します。帰化中国人、すなわち華人のすべてがすべて、そうだとは申し上げませんが、その傾向は他のどの民族よりも強いのは、各国で中華街を作って集住している姿を見れば、これは明らかです。アメリカに移住した日系人が、アメリカ社会に溶け込もうと努力するのに比べて、華人のそれはもう本当に対照的なんですね。

このように、在米華人には祖国への忠誠、心の団結、偉大な中華民族の復興を目指し、 祖国への誇りを賭け、アメリカ国内で祖国中国に奉仕する腹づもり、意向があるんですね。

中国国外で生まれた人々のために、北京は歴史的ルーツへの回帰というプログラムを実施するんですね。祖国中国への旅行を計画して、みんなを連れていく、感化させる。2008 年には5,000人以上が中国本土を訪れました。北京とワシントンの関係が話題になるたびに、中国側は中国とアメリカの間の自由な旅行、文化交流だとか研究交流といったことに 言及しております。

もう一つの影響力の手段は、アメリカにおける選挙運動への中国の隠れた資金提供なんですね。これが初めて明らかになったのが1996年のいわゆるチャイナゲート事件に関連してであります。当時、疑惑はビル・クリントン大統領に向けられていました。彼はコーネ ル大学で講演する予定だった当時の台湾総統、李登輝さんへのビザ発給問題で、議会から 圧力をかけられましたが、後に屈服せざるを得ませんでしたけれども、その後すぐに中国系企業から多額の金額を受け取っていたことが判明しております。これらは、外国のエージェントによる選挙運動への違法な資金提供とされました。

チャイナゲート事件のもう一つのエピソードは、民主党政権がアメリカのスプートニク技術を中国軍に売却することに、目をつぶっていたという非難でした。特徴的なのは、ア メリカにおける中国系移民の継続的な増加が、よく組織化されたものであるということで す。中国当局は、政治家の選挙資金への寄附を通じて、効果的な影響力行使の手段を手に入れています。

アメリカでは個人から候補者またはその支援委員会への寄附は、2,700ド ル、約41万8,000円までと厳しく制限されております。現金での寄附は100ドル、約1万 5,000円までですけれども、つまり北京の意向をよく聞く在米の中国系移民というのは、北京にとって有利な立場を支援するアメリカの政治家を支援するための、理想的なツー ル、歯車になっているわけです。

とどのつまり、アメリカにおける中国のロビー活動の成功を決定づける要因にまず上げられるのは、アメリカ経済が中国資本に強く依存していることです。加えて、中国共産党の中央統一戦線工作部、統線部と言いますけれども、これが運営する組織化された在米の 中国人移民、共和党と民主党の政治闘争の利用、元アメリカ政府高官、彼らや中国にいる親族のビジネスに有利な条件でのビジネスの提示などがございます。

アメリカにおける中国への輸出の主な受益者というのは、ハイテク機器、輸送機械、農産物、電子部品、化学製品の生産者なんですね。

こういったものをアメリカから中国へ輸出すればするほど、儲かる。儲かっている人はいっぱいいるということですね。冶金 や繊維産業は人民元の不当な為替ルートで利益を大きく損なっておりますけれども、今あげた親中国系企業の収益の大きさと、それに伴う発言力の大きさとは比較にならないんですね。

対中貿易で不満を言う人たちというのは、声が小さいんですね。だから、いくら反中国を唱えても、アメリカ連邦議会の上下両院の政治家たちが、対中貿易で利益を上げる、地元選挙区の企業の声に押されるゆえんであって、中国に雇われたロビー会社が活躍 する背景となっているのでございます。アメリカにおける中国系移民の増加は、選挙運動の過程で議員にかかわる圧力を高めているんですね。

一方、中国のロビー活動の弱点もあるんですね。中国の利益は、必ずしもアメリカの利益に合致しない点、これが中国のロビー活動の弱点です。これは、たとえて言うならば、イスラエルのロビー活動とは対照的でございまして、イスラエルの国益はアメリカの国益に直結するという同盟国の強みがあるんですね。

これは同じ同盟国の日本にも言えることでございまして、中国のロビー活動がいかに盛んでも、安全保障上の観点からいえば、最後は日本との連携こそがアメリカにとって、経済上も重要のことだと働きかけることがで きるメリットが、日本側にはイスラエルと同じようにあることを忘れてはなりません。

さて、今までアメリカにおける中国のロビー活動を見てきましたけれども、ここでは逆に中国におけるアメリカ企業のロビー活動を見ていきたいと思います。

これは本講座のメインテーマではございませんけれども、避けて通らないほうがいいかなと思うので、手短にお伝えしたいと思います。アメリカにおける中国のロビー活動は、 中国におけるアメリカのロビー活動と、一衣帯水の関係になっているからなんですね。中 国共産党政権の好きなWin-Winの関係、これがそこにあるんです。

日本の安全保障への懸念など、どこ吹く風とばかり、アメリカ企業の中国への浸透は、すさまじいものがあります。ワシントンでの中国のロビー活動というのは、何となく活発なんだろうな、うごめい てるんだろうなと思いますけれども、実は中国においてもアメリカ企業のロビー活動というのは、結構やっているんですよ。

これはもっともアメリカ側に言わせればー一言ってませんけれども、心の声ですねーー 天安門事件のあと、天皇陛下を訪中させたりして最初に西側の経済制裁の輪を破ったのは 日本じゃないかと。どの口が言うんだというのが、心の声として聞こえてくるんですけれども、日本の対中外交の失敗が、この天皇陛下を訪中させてしまった。私は失敗だと思っていますけれども、経済制裁の輪を乱したということですね。穴を開けてしまった。

この外交的な失敗が、結果として同盟国アメリカの企業の暴走を許し、巡り巡って日本の首を 絞める結果となった。これは否めないと思います。1970年代以降、アメリカには2つの中国ロビイストグループが存在しました。これは少し戻るんですけれども、アメリカの話、しかも2010年前の話です。

ーつは台湾の利益のために活動する国民党政権の支持者です。もう一つは、北京とつながりがあるグループですね。しかし、21世紀になってから、北京グループのロビー活動は台湾ロビーを凌駕するまでに急拡大します。

中国を支持する最初のロビイストの中心は、ハイテク分野で活動する アメリカ企業なんですね。彼らは貿易障壁を撤廃し、広大な中国市場に参入することに関心を持ったからなんですね。IT企業、中国で儲けるぞと。中国におけるアメリカのロ ビー活動が活発化する背景ですね。

彼らこそが、アメリカ議会で中国との貿易関係正常化 に関する法律を採択するように、アメリカ政府に強制し、強力にプッシュして、実際クリ ントン大統領が2000年11月11日にそういった法律に署名しております。米中の正常な貿易関係導入というのが、実際には1989年の天安門事件後に発動された北京に対する経済 制裁の放棄を意味することになりました。

(つづく)

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④中国のロビー活動の実態——パンダロビー

2024-12-08 00:00:00 | 政治見解
④中国のロビー活動の実態 ——パンダロビー 




(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)


アメリカ議会で法案を通す一つのテクニックは、まったく関係のない法案の付帯決議として盛り込ませることなんですね。例えば、アメリカ連邦政府の予算案の付帯決議とし て、台湾に最新型のF16を売らなければならないという一文を、さらりと加えるんですね。

日本でもいろいろな重要法案、対決法案なんていうのがありますけれども、野党を説 得する時に、付帯決議に「3年後に見直さなければならない」みたいな一文を入れること によって、反対する相手側をだまらせて賛成に取り込むなんていうことは、よくあることなんですね。

アメリカのように、まったく関係のない法案の付帯決議として、この実現したい施策を盛り込むという高等テクニックというのは、日々議会の動きを細かくフォローしていなければ、なかなか気づかないものなんですね。だから、議会のルールに精通したプロでなければ、こうした動きを察知し、阻止できないために、ロビー会社が重宝されるわけなんです。

中国共産党政権がワシントンでのロビー活動を活発化させている現在、中国共産党政権のロビー会社、Kストリートのパットン・ボッグス社は、アメリカの国益の尊重は当たり前なんですけれども、台湾へのF16売却阻止に動いたりするあたり、巨額の金銭目当ての行動というのは、「パンダロビー」と呼ばれても仕方が無いのではないでしょうか。

この 「パンダロビー」というのは、私が勝手に作ったんですけどね。親中派のことをパンダ派がパンダを抱っこするという、そういう意味なんです。パンダロビーというのは私が名付けたんです。 

ワシントンにおける中国のロビー活動は、先ほど2010年頃から活発化し始めたと申し 上げましたが、ではそれ以前はどうだったのか。21世紀、2000年以降の動きを、アメリカの中国・ ロシア専門サイトのイースト・ビュープレスを参考に、具体的な例を引きなが ら、2010年前を振り返ってみたいと思います。

アメリカ通商代表部の中国事務所のストラトフォードという方がいらっしゃるんですけれども、ストラトフォード氏は2008年、ちょうど北京オリンピックの時ですね。北京に 事務所を開設した最大手のアメリカのロビー会社、Covington & Burlingのスタッフに加 わっているんですね。

同社の顧客の一つというのが、チャイナアメリカ、中国アメリカ交流財団でした。上院情報委員会のアシスタントとしてキャリアを始めた、このロビイスト のエンゴールド氏は、1993年から1995年にかけて、アメリカ上院の常任委員会の一つで 人事サービスを率いておったんですけれども、2009年から2015年までの間、この中国アメリカ交流基金、アメリカでのロビー活動に合計265万9,000ドル、約3億9,600万円を注ぎ込んでおります。

アメリカのロビイストの中国顧客リストには、主にアメリカ中国商工会議所、中国石油天然気集団、中国鉄鋼協会、中国海洋石油総公司などの企業組織が名を 連ねております。

2009年まで、Hogan & Hartsonという民間企業は、中国の公式顧客が取引するロビイスト企業の一つでした。2007年から2008年にかけて、同社は中国政府からサービス料と して66万4,000ドル、約1億円を受け取っておりました。まったくやっていなかったわけじゃないんですね。中国と2010年の前。

このHogan & Hartsonの活動に関する報告書に は、同社がアメリカの議会・政府、その他の政治機関が中国の利益に影響を与えたり関係したりできるかどうかについて、協議を行っていたということが記されております。 ちょっとこれだけだと、実際にどういうことを協議していたのか分かりづらいんですけれども。

ワシントンにおける中国ロビーの活動を語る上で、もうーつ申し上げたいのは中国系移民の存在。これも忘れてはなりません。ディアスポラとも呼ばれる、昔のユダヤの民ですけれどね。散り散りになっていろいろな所に住んでいるディアスポラ、移民ですよね。在米華人らがアメリカ中央政界に対し、陰に日向にロビー団体の役割、圧力団体の役割を果たしているから、無視できないと申し上げているわけでございます。

2000年頃に始まったワシントンにおける中国ロビー活動に、質的な変化が起きるんですけれども、これが活発化した2010年頃のことになります。中国サイドはアメリカのロビー会社に頼るには限度があることに気づいたんですね。2000年代。

いかに経済的に Win-Winの関係といっても、そこは共産党独裁の全体主義国家と、自由と民主主義のリー ダーであるアメリカですから、うまくいくはずがありません。中国にとっての大きな問題の一つは、自由の保護、そして天安門事件の参加者の迫害、そして現在の反体制派の問題。これは常にアメリカ側と議論しなければならない。これが彼らのとっての大きなストレスだったんですね。

1986年に起きました天安門事件に関して、実際アメリカ議会は共産党政権の残虐な対 応を非難する決議を、79採択しました。天安門で逮捕された人々を含む両親の囚人、政治犯の解放を求め、平和的な抗議者の殺害を非難しました。アメリカの議員らはまた、死刑 執行後に人体の臓器を利用する慣行、そして裁判も期限もなしに拘留すること、再教育の ための労働収容所を維持することを非難しました。

これらの決議は、武器禁輸を含む貿易制裁から、例えば国際オリンピック委員会に 2008年の夏のオリンピックを、北京から別の場所に移すよう求めるなどの政治制裁まで、さまざまな制裁措置を講じるよう、アメリカ大統領に求めるものでございました。アメリ カ議会ですね。天安門の関係でわーわーやっているわけです。いいことです。

アメリカ議会でもっとも積極的に中国の全体主義と戦った議員の一人とされるのが、ナンシー・ペロシ元下院議長です。2022年、台湾を夏に訪問した際、中国は怒り狂ってミサイルをバンバン飛ばして、日本の排他的経済水域(EEZ)にも5発、狙ったように飛ばしてきましたね。着弾しています。

彼女は中国のWTO (世界貿易機関)加盟にも反対し、これは日本は逆に外務省は入れろと言っていたんですよ。入れることが中国を国際慣行になじませて、民主化を進めることになるなんて日本政府は言っていましたけれども、なりませんでしたね。

それは置いておきまして、1990年、アメリカとの貿易における中国から 最恵国待遇を剥奪したほか、天安門事件の参加者や他の反体制派に対する迫害を非難する 決議を、ペロシさんはいくつか提出しているんですね。ペロシさんは、ここでは頑張っているんですけれども、トランプ前大統領の天敵でもございました。

下院議長となったペロシ氏は、反中国決議を支持し続けます。そして人権活動家やチベット、ウィグルの少数民族代表に対する迫害への報復として、アメリカ政府に北京オリ ンピックのボイコットを求めた議会の要請は、中国にとって大変な痛手になったんですね。

ペロシ氏はジョージ・ブッシュ大統領、子ブッシュですね、オリンピックの開会式に北京に行かないよう、勧告しています。彼女はインドで=前=仏教徒の精神的指導者であるダライ・ラマを訪問し、チベットで弾圧と迫害が続いていることを強く世界に印象づけました。

そこで動いたのが、ワシントンにおける中国ロビー最大手の、先ほどから何度も出てきているパットン・ボッグス社です。同社は2008年、アメリカ駐米中国大使館のために、ペロシ氏や上院民主党多数派のリーダーであるHリード、Jクライバーン、Hバーマン、 Hawk、ホイヤー、クローリーといった議員に影響力のあるアメリカ下院議員との会合を、たびたび手がけております。

そんなロビー活動も奏功しまして、ジョージ・ブッシュ 大統領はオリンピック開会式に北京を訪れました。

ただ、中国によるロビー活動の勝利かどうか、これはペロシ氏は2009年5月に中国を訪問しておりますけれども、ペロシ氏は人権侵害については一言も語っていないんですね。さらに彼女は、気候変動に関する会議で、地球温暖化はアメリカと中国が世界のルールを決めていくみたいな発言をして、皆を驚かせているんですね。あの対中強硬派だったペロシはどこに行ったんだという話なんですね。

(つづく)

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③中国のロビー活動の実態——釧路と苫小牧は目をつけられている

2024-12-07 00:00:00 | 政治見解
③中国のロビー活動の実態
——釧路と苫小牧は目をつけられている





(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)


釧路と苫小牧は中国に目をつけられている

中国海運最大手、中国海洋運輸集団、COSCOグループというのがあるんですけれども、これは日本にもよく来ています。

そこの会長が中国がワシントンでのロビー活動を活発化させた頃、北京の中米投資協力フォーラムに集まった中国人経営者らを前に、「アメリカで事業を成功させようと思ったら、現地の商習慣と法律を理解する必要がある。我が社はアメリカで2社のロビー企業と契約を結んでいる」と、この手の内を明かしているんですね。明かすというよりも、先に述べたアメリカ国内のロビー活動公開法により、そしてこの外国代理人登録法により衆目の知るところになっておって、今さら隠す必要もなかったためだと思われます。

このCOSCOグループは、日本だと北海道の釧路と苫小牧に目をつけているから、これは実は大変なことなのです。なぜ大変かというと、中国が進める巨大経済圏構想、一帯一 路というのがありますね。One Belt One Way。この東の拠点とするためんなんですね。

最近ではこの一帯一路、高利貸しのように途上国を借金漬けにして、重要インフラ、港湾 とか道路、電力施設、こういったものを債務のかたに取るなどして、この評判の悪さから もう一帯一路を使おうとしないんですね。

中国のネットで検索しても。これを隠しているわけですけれども、釧路と苫小牧を一帯一路の拠点、北極圏に抜ける氷上のシルクロード 中国側は行ってるんですが、そこの重要拠点として、中国共産党の先兵としてCOSCO グループを使って租界化を図っているんです。

実際のところ。どれだけ在京の中国大使館、札幌領事館は釧路市長以下、そして苫小牧市長以下、面会に来てあれしろこれしろ言っていることか、ここではちよつと話が逸れるので深入りしませんけれども、これは大変なことなんです。

津軽海峡というのは狭いんですけれども、あそこは公海になっていまして、そこを北朝鮮の清津、羅津という、長期借りきっている北朝鮮の港から、中国は津軽海峡を抜けて苫小牧、釧路で一服していろいろ燃料なりを取り込んで、北極海に抜けていくと。そうすればマラッカ海峡とか南ルートよりもチョークポイントを超えなくて済みますし、3分の1ぐらいの距離で金も4分の1ぐらいに抑えられるというので、北極ルート、氷上のシルクロー ドと彼らは言っているんですけれども、非常に有効活用できるということから、この COSCOグループを使って釧路と苫小牧が狙われているというのは、そういうことなんですね。


Kストリート

話が若干逸れましたけれども、アメリカのロビー会社が集まるホワイトハウスの北側 に、Kストリートというのがあるんですね。この中でも最大手として一目置かれているの が、パットンボックス社です。ワシントンは東西に走る通りにはアルファベットの名前が つけられていまして、東から12ストリート、13、14ストリートとなっていて、アルファベッ卜のほうは下のほうからABCDEFGとなっていくんですね。斜めに走る通りというのは、 日本大使館などがひしめき合うマサチューセッツ通りとか、コネチカット通りとか、州の名前がつけられているんですね。1回覚えてしまうと覚えやすい町なのでございます。 

話は本題から逸れますけれども、ワシントン特派員として私がいたナショナルプレスクラブというのがあるんですけれども、ナショナルプレス・ビルディング、これは40KFストリートと言って、タクシーに乗る時は「40KF Please」でそこへ連れていってもらえるという、非常に便利な住所になっています。

東西に走るKストリート、ホワイトハウスのやや北側にある所です。パットン・ボッグス社。中国のロビー。ちなみに、パックスストラテジーズ社というのが台湾系なんですね。この2つはF16戦闘機の台湾への売却をめぐって火 花を散らすわけですけれども、このパットン・ボッグス社、Webサイトの顧客リストには 在米中国大使館や中国商務省、国務院、新聞弁公室などが並んでおります。

アメリカの司法省の公開資料によりますと、中国大使館はパットン社に月額3万5,000ドル、約540万 円、月額ですよ。こういった顧問料を支払っていることが分かっております。

このパットン・ボッグス社は中国金属、鉱物、化学商会にサービスを提供し、アメリカ の上院と下院の合同税務委員会に食い込むとともに、中国機械、電子製品、輸出入商会は 2010年に税務委員会のほか、上院の財政委員会で影響力を行使していることが分かっております。

中国は長らく冷戦時代などの国際情勢もあって、ワシントン独特の風習であるロビー活動と距離を置いてきたんですね。だから本格化したのが2010年というわけなんですけれども。議会や政府のOBが退職後にロビー会社に就職しまして、人脈を生かして古い友人らに働きかけるという人脈文化。

これは中国共産党政権も同じなんですけれども、先の大戦中の中国国民政府から現在の台湾政府のようなロビー活動の経験も、中国共産党政権にはございません。ロビー会社を契約を結んで顧問料を払って、堂々と圧力をかけてもらうという、そういう文化になじまなかったことも背景にあるんですね。

これに対して台湾当局は、早くからロビーの重要性に気づき、Kストリートの9社以上の 顧問契約を結んでいます。

中国がロビー活動に積極的に乗り出すきっかけとなったのは、 アメリカの台湾への武器売却問題です。これは先ほど申し上げたF16戦闘機の関係です ね。まさに私が特派員としてワシントンにいて、アメリカと中国のG2などと浮かれていた オバマ政権時代、この台湾に最先端の戦闘機F16を売るかどうかの判断を迫られて、オバ マ政権というのはフラフラと煮え切らない態度を取り続けるんですね。結局売らないことで決着している。

何をやってるんだと、私は思いました。売らないというこの決断に至るまでの半年の間、中国ロビーと台湾ロビーの水面下の戦いというのが、激しく繰り広げられたわけなんですね。

中国の軍拡で中台両岸の軍事力がバランスを欠いて、これが台湾併呑という中国の野心を播き立てかねないということから、最新の改良型F16戦闘機を売却すべきだという台湾の主張に対しまして、中国側は「台湾問題は中国の内政問題であり、台湾へのF16売却は まかりならん」という強硬姿勢を取り続けました。

中台を下支えしていたのが、中国側が先のパットン・ボッグス社やホーガンロベルズという会社、そして台湾側がオリオンストラテジ一社、パークストラテジー社の2社が中心になるわけです。台湾ロビーの先頭に立ったのは、ダマト元上院議員が率いるロビー会社 でパークストラテジ一社です。

私自身、守備範囲のホワイトハウスのほか、国防総省というアメリカ政府を主に取材しておりましたので、こういったロビイストの活動については 正直、手が回らなかったので、このF16をめぐるロビー活動に詳しい日経新聞の記事を抜粋しながら紹介します。

ダマト氏というのは、かつての同僚に手紙を書いて、大使館に相当するんですけれども、台北経済文化代表処という、事実上の台湾のアメリカ大使館が企画する台湾施設ツアーに参加することを促していたということです。台湾に行ってくれ、 ぜひ台湾を見てほしいということですね。

このダマト氏が日系のダニエル・イノウエ氏、これは亡くなってしまいましたけれど も、昔の日系人部隊ですね。先の大戦の時のイタリア戦線で大活躍しました。この上院議員に宛てた手紙の内容なんですけれども、「上院議員時代、あなたは」、あなたというのは、ダニエル・イノウエ氏ですね。「あなたは、私のもっとも親愛なる友人の一人だった。 もしこの視察ツアーに参加していただければ、非常に私は恩義に感じるだろう」というものだったそうです。

台湾と足並みを揃えてF16の購入や売却を訴えたのは、戦闘機の製造元であるロッキー ド・マーチン社のロビイストです。さらにF16の工場があるテキサス州選出の上下両院の 議員らも加わって、コーニン上院議員というのは新型F16を台湾に売れば、テキサスに2 万3,000人の雇用を生み出すと訴えました。この「雇用が増える」というのは、アメリカ ではいろいろな局面で、かなりの殺し文句になってくるんですね。

台湾ロビーはあわせて181人の下院議員、45人の上院議員、ほぼ半数ですね。この署名を集めてオバマ大統領に届けております。高額のロビー活動費に見合う活動だったといえるでしょう。オバマさんはうんと言いませんでしたけどもね。

これに対して、中国ロビーのパットン・ボッグス社。これは米中関係の重要性と、売却 が実現した際の米中経済に与える悪影響について、説いて回ったということです。これ、米中経済関係だけじゃないですね。政治もおかしくなりますよね。

(つづく)

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②中国のロビー活動の実態——オバマ政権下でのロビー活動

2024-12-06 00:00:00 | 政治見解
②中国のロビー活動の実態
——オバマ政権下でのロビー活動




(続きです——本講演録は、特別に許可を頂いて公表いたしております。)


チャイナ覇権の拡大——オバマ政権下でのロビー活動の急成長

さて、本題に入ります。アメリカにおける中国共産党のロビー活動。この2ですね。D.C. というのはDistrict of Columbia、アメリカの首都ワシントンのことを言う。ここにおける中国共産党政権のロビー活動について。21世紀、2000年に始まったこの中国の政府企 業による、アメリカの首都ワシントンにおけるロビー活動が本格化したのは、オバマ政権 1期目の後半、だいたい2010年頃からなんですね。

比較的最近だなと思う方が多いかもしれません。実際そうなんですね。私が2010年、すなわちオバマ政権1期目の発足から2年目を迎えた時期で、私は2010年元旦付でワシントン支局長を命じられたわけなんですけ れども、ちょうどこの時期に当たるんですね。中国のアメリカにおけるロビー活動が活発化する時期に、ちょうど当たったわけです。

当時はG2なんていう言葉がもてはやされておりました。今ではG2という言葉は死語になっていますけれども、当時は主要先進国のグループ7、G7なんてありましたけれども、アメリカではG2、すなわち世界はアメリカと中国の二大国、グループ2が動かしていくんだという、そういう誤った認識というかムードが、中国側だけでなくてオバマ政権側にも ありまして、これが中国を増長させる種をまいていたという時期に当たります。

この機に応じたのが、まさに中国共産党、習近平政権でございまして、アメリカの首都 シントンでロビー活動に大量の資金を投入し始めたのが、彼らの主張をより強くアメリカ政治に反映させる狙いがあったからだと思われます。

ワシントンにおける中国のロビー活動は、2010年頃からアメリカの大手ロビー企業と高額な専属契約を結ぶ動きを活発化させております。先の大戦前から、アメリカ国内における政界工作と言えば、日中戦争を戦っていた蒋介石総統率いる中華民国、現在の台湾のお家芸だったんですね。

中国の前例のない攻勢で、新たにこの中国ロビーが2010年以降 台頭してきたというわけでございます。それまでは長い冷戦時代だったりして、実は中国共産党政府によるワシントンでのロビー活動は、アメリカ捜査当局の厳しい監視の目もあって、なかなかしづらい状況にあったのです。

それが今申し上げたように、オバマ政権の間違った対中融和政策によって、中国ロビーが活発化し始めたのでございます。

中国政府は同時に、ワシントン北部に巨大な大使館を建造し、大量の外交官とメディア、あるいはメディアを偽装する工作員を送り込んできたのであります。例えば、中国国有石油大手の中国海洋石油総公司——CNOOCと言いますけれども――これがカナダのエ ネルギー大手のネクセンという会社を151億ドル、当時の額で約1兆1,800億円で買収する直前、中国当局はワシントンの中堅ロビー会社のウエックスラー ・アンド・ウォーカーと、 大手のヒル・アンド・ノウルトンと、それぞれ顧問契約を結んでおります。

カナダのエネルギー大手のネクセンは、ニューヨーク証券取引所に上場しておりまして、アメリカの石油権益を保有しているだけに、この買収後に予想されるアメリカ議会の激しい抵抗に備えるためのロビー契約は、合法的な懐柔工作とみられます。 

このCNOOC (中国海洋石油総公司)、これが2005年にアメリカ石油大手のユノカルの買収を試みた際には、アメリカ議会カヾ安全保障上の問題があると阻止した経緯があるほど です。最近では、動画共有アプリTikTokの運営会社や、衣料品ネット販売のSHEINなど が、巨額のロビー活動費を投入し、ワシントン界隈で話題となっております。これもロビイング・ディスクロージャー ・アクト、情報ロビー活動公開法があるから明らかになった ものであります。

とりわけ、TikTokの運営会社であるバイトダンスは、秘密性からアメリカ議会の風当たりが強く、応援団としてのロビー会社の必要性を中国側は感じていたのでありましょう。

アメリカで2024年、今年なんですけれども、4月下旬に成立したTikTok利用禁止法は、運営元のこのバイトダンスカヾ、最長でも1年以内にアメリカ事業を売却しなければ、アメリカ国内での利用を禁止するという内容となっています。

アメリカ国内には1億1,000万人の TikTok利用者がおりまして、この影響力は無視できないことを懸念した結果とみられます。下院では賛成352、それでも反対は65もあったんですね。中国側を支持する反対の65 票には、中国共産党と契約したアメリカの中共ロビーの強力な働きかけがあったとみられます。

トランプ前大統領がTikTokとの提携を禁じるこの大統領令に署名した2020年には、中国はロビイストを10人に増やし、今は14人を登録しております。2021年、TikTokを運営 するバイトダンスは、2019年の10倍にあたる261万ドル、約4億円をロビー活動に投入しているということでございます。

ネット大手のアリババ集団も、2割増の316万ドル、4億9,000万円を投入しております。2020年夏にアメリカで正式にロビー活動を始めたテンセントは、125万ドル、約2億 4,000万円。これに対し、通信機器大手のファーウェイ、これは2019年よりも逆に8割も 減らしているんですね。

ファーウェイの製品にはバツクドアと呼ばれる情報の抜き取り チップの存在が指摘されておりまして、安全保障上重大な懸念を持つことからアメリカで 叩かれまくって、これも形勢不利でロビー会社を今さら雇ったところでもうこれは逆転不 可能であると。ロビー会社と契約するだけ無駄だと考えたんじやないでしょうか。

でなけ れば、8割も減らすというのは、ちょっと考えにくいことでございます。元アメリカ海兵隊の情報将校で共和党のマイク・ギャラガーという下院議員がいらっしゃるんですけれど も、彼は、「現在の所有形態が続く限り、TikTokの脅威は大きいと言わざるを得ない」と語っているんですね。

脅威の根拠とされるのは、先ほど私はバックドアと言いましたけれども、TikTokのア ルゴリズムの能力にもあるんですね。どの動画を優先的に表示するのかを決める、このアルゴリズムの詳細は非公開で、バイトダンスが中国共産党の意向を受けて、TikTokを使っ てアメリカ国民の世論に自国の有利になるような影響を行使している、と見ているためで す。

アメリカの若者の間で反ユダヤ主義が急拡大し、パレスチナ寄りの投稿がイスラエル寄りの投稿の数十倍もあったと。そんなことがあったり、香港の民主化や天安門広場などの キーワードが出てこない、この異様な状態ですね。これがやはりTikTokは危ないだろうという、そういう法律の成立を後押しした経緯がございます。 

衣料品ネット販売のSHEINですけれども、これは2023年、前年の7倍以上にのぼる212 万ドル、約3億3,000万円をロビー活動に費やし、アメリカ通商代表部(USTR)の在籍経験者、USTRの元職員をロビイストとして起用し、自分の会社に有利になるような働きかけをアメリカ政府に強力に行ってきたということです。

(つづく)

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①中国のロビー活動の実態——アメリカにおけるロビー活動

2024-12-05 00:00:00 | 政治見解
①中国のロビー活動の実態
——アメリカにおけるロビー活動




今日から11回にわたり、中国によるロビー活動の実態をインテリジェンスの専門家によりお話いただきます。もはや日米の政治家の大半が中国に篭絡されていることがわかると思います。

とくに、第6回以降には、日本の政治家に対するあからさまな工作と岸田前首相、林芳正官房長官、河野洋平・太郎の実名入りの解説もあり、読者は激怒することになると思います。これを一読された良識ある日本人が一人でも立ち上がることを望みます。

本講演録は、特別に許可を頂いて公表いて公表いたしております。


アメリカ政界への深い影響力

私は、大学では主にインテリジェンスという分野を研究しています。「インテリジェンス」という言葉は幅広い意味を持っているのですが、私の場合は主にカウンターインテリ ジェンスと呼ばれる防諜や、外国で積極的な情報収集に乗り出すアクティブメジャーズと呼ばれる諜報活動について、研究しています。

さて、本講座では中国の日本とアメリカにおけるロビー活動の実態について、お話ししてまいりたいと思います。そもそもロビー活動というのは、どういう活動を意味するのでしょうか。この講座をお聞きになられている方は、ある程度の知識はお持ちかと思いますけれども、今一度どういう活動なのかを振り返り、その上で中国による具体的なロビー活動とその影響を見てまいりたいと思います。

まず;①ロビー活動とは。これは一言で言えば、議会への陳情や働きかけのことです。 日本もアメリカもともに憲法に定められた請願権の行使に当たります。ロビー活動には、それを依頼する自分たちの利権のために、政治に働きかけるネガティブなイメージと、情報提供により建設的な政策提言につなげるというポジティブなイメ ージの両面があります。ここでは、中国のことでございますから、もっぱら負の側面しかないだろうということで、そうした面について焦点を当ててお話をしていきたいと思います。

ロビー活動は、特にアメリカでは活発で、首都のワシントンでは石を投げればロビイス卜に当たると言われるほどでございまして、アメリカの調査サイト「オープンシークレッツ」によりますと、アメリカではロビー会社は約2,000社もあり、1万2,000人以上がロビイストとして登録しています。

この外国代理人登録法というのがあって、ロビー活動をする時には登録しなければならない、そういう規定があります。

このロビイストの周辺人材を含めますと、ロビー活動をしている人は実際にはもっと多く、その数は2人から3万人、さらにその倍ぐらいはいるのではないかと見られています。上下両院議員の1人につき、だいたい24〜25人のロビイストがいるという計算になります。

ロビー会社に支払われた顧問料の総額は、10年前の数字でちょっと古いんですけれ ども、約35億ドル。日本円にして5,425億円払われているんですね。議会が開会中の日割りだと、当時の日本円でざっと1日15億円のロビー料が支払われている勘定になります。

参考までに、日本政府の2021年のロビー活動費は4,000万ドル、約62億円でした。昨年 2023年は少し増えまして、4,934万ドル、約74億円。昨年比で13.4%増えています。中国 は2021年現在で、日本は4,000万ドルでしたけれども、中国は6,850万ドル、約106億円 となっています。

経済成長率や軍事費の統計を詐称することなど朝飯前の中国共産党政権、彼らがワシン トンでロビー活動に本格的に乗り出して跳梁跋扈している現在、届け出ている数字とは別 に、その額は2倍3倍に跳ね上がっていると見てよいでしょう。

この登録制度ですけれども、欧州連合(EU)でもロビー活動をする団体の透明性登録簿というものがありまして、企業関係者らがいつどこで誰と何をテーマに面会したのかと いった情報が、事細かくホームページで公開されております。

日本国内では中国政府関係者がたくさんうごめいておりまして、その活動実態に少しでも透明性を持たせるために、 例えば当代きっての親中媚中派でならす河野洋平元衆議院議長が会長を務める日中国際貿易促進協会ーーこれは国貿促と言うんですけれども、こういった団体など、日中友好7団 体と言われるような団体に対して、同じようなロビイスト登録制度を導入すべきだと思います。一番最後の部分ですね。

共産党独裁というかの国のことですから——中国ですね——中国ビジネスで儲けて、内心は親中派や媚中派でも、他人にそれを指摘されると否定したり怒ったりする人が結構少なくないものですけれども、この河野洋平さんとか福田康夫元総理などはあきれたことに、そう言われて逆に喜ぶというのだから、救いがたいものがありますよね。


ワシントンDC.のパワーゲームと中国ロビー

さて、ワシントンには連邦議会議員とそのスタッフ、弁護士などの法律家、マスコミ関係者、ロビイストの4種類の職業従事者が幅を利かせていると言われます。この4種類しかワシントンにはいない、などとも言われていましたけれども、実際のところ、そういう人たちが多いです。

アメリカではこの外国代理人登録法の他に、その前提としてロビー活動公 開法(Lobbying Disclosure Act)というものがあるんですけれども、これによってロビイストの活動や、その依頼者が誰なのか、細かな情報をすべて公開する義務がありまして、開かれた形でロビー活動が行われています。

特に外国法人や個人の場合、アメリカ以外の外国に利益となる不当な情報操作を防ぐために、自国政府を代弁する広報活動を行う 代理人として、今申し上げたこの外国代理人登録法というのが義務づけられております。

アメリカでは、ロビー活動公開法により、これは外国関係なく自国アメリカでもそうです。議会に身分登録する必要があるんですね。企業などがロビイストを雇って議員や政府高官に政策立案を働きかけるのが一般的なんですけれども、各社は四半期ごとにロビー活 動の内容や報酬額などを、アメリカ議会に報告することが義務づけられております。

一口にロビイストと言ってもさまざまで、だいたい4つのタイプに分けられるというんですね。これは新日本パブリック・アフェアーズという会社がありまして、そこの代表取締をやられている小原さんという方が『広報会議』という冊子で見解を述べられて、4つに分類しているんですけれども、言い得て妙だ なということで、正確にというので私もここで紹介させていただきたいと思います。

1つ目はPR会社、あるいは広告会社系のロビイスト。一般大衆に広く訴えかけることに よって、政府機関を動かすタイプでありまして、例えば乳がんの早期発見・治療の大切さ を訴えるピンクリボン活動というのがございますね。これなんかはこのPR系のタイプのロ ビー活動によって広まったとされています。

2つ目は政府高官、連邦機関の関係者、そして専門分野に強い官僚出身者などでございます。例えば、運輸省の自動車担当をしていた経験を生かし、専門領域で政策を誘導していくタイプがこれに当たります。私がワシントン特派員の時に近所のパブによく行っていたんですけれども、そこで知り合ったアメリカ運輸省の高官もその1人なんですね。今は もうリタイアしていますけれども、彼は幼い頃、東京にあるアメリカ軍の横田基地で育つ たという、自分も空軍になりまして、元佐官でございまして、運輸省の独立捜査官という 役職を経てアメリカの自動車メーカーに雇われ、トヨタ対策のロビーイングを行っておりました。

3つ目は、閣僚を辞めたり引退した大物議員です。あとでお話しするアメリカクリントン政権時代のオルブライト元国務長官などですね。議員時代の人脈の広さに加えて、政治の駆け引きに精通しているため、困難な目標も政治力でねじ伏せていくことができるのであります。 

4つ目は、法律事務所や会計局事務所系のロビイストです。法律や税務に精通しているため、新しい法律を作って成立させる際、日本でもパブコメと言われるパブリックコメン 卜に対して精査を行い、専門的な意見を提出したりします。

こういったロビイストのタイプは日本にも共通する部分がありますけれども、アメリカはより組織的で、規模も日本と違ってとてつもなく大きいのが特徴です。さらには日本やイギリスのような議員内閣制ではなく、アメリカの場合は大統領制という政治の仕組みもありまして、2つ目で紹介した政府高官や連邦機関の関係者などの場合、大統領が替わるたびにポリティカルアポインティ――日本語では政治任用と言うんですけれども――このポリティカルアポイントで局長級以上がごそっと入れ替わるのも特徴なんですね。

人呼んで「回転ドア」と言われています。政府と民間を行ったり来たりしながら、専門性を武器に依頼者の要求実現に向けた立法府、すなわち連邦議会への働きかけを強めていく役割 があるために、「回転ドア」と呼ばれております。メディアとのパイプも彼らの強みでございまして、場合によっては企業のスポークスマ ンになることもあります。

(つづく)

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速報:トランプ新政権の動向と心もとない石破政権

2024-12-04 00:00:00 | 政治見解
速報:トランプ新政権の動向と心もとない石破政権




トランプ政権の新人事についていろいろ報道されるようになりましたが、まだどういう政策を取るのかについての情報は少ないのが現状です。

一方、日本の石破政権はどうも頓珍漢で、「アジア版NATO構想」や、11月中旬の南米歴訪で本格的な外交デビューでは、各国首脳への対応が批判を浴びる場面も少なくありませんでした。どうも考え方が浅はかで、日本の国をこのようにしたいという展望を持っていない人だと思います。

これは極めて危険なことで、明確な国家観の持主である米トランプ大統領からバカにされる可能性をものがたっています。

その危険度については、本ブログおなじみの国際政治学者が激しく警告しておりますので、速報版としてお届けします。詳細については、後日、改めてお伝えします。それでは、取り急ぎ。


反トランプの英日政権

石破政権は、対米自立を目指すと同時に中国やイギリスとの連携を強化し、トランプ氏の政策に対抗する姿勢を見せています。APECでは日中関係の改善が模索され、G20では日英「2+2」協議の提案が行われました。イギリスのTPP参加は象徴的な意味合いが強く、自由貿易を強調する一方で、保護主義を非難する構図が形成されています。

スターマー英首相は労働党の選挙勝利を背景にアメリカ民主党との関係を強化し、ハリス氏支援のための派遣活動を実施しました。この行動は選挙法違反の可能性もあり、トランプ陣営から批判されています。

また、石破氏の親中・反トランプ路線が日米関係を緊張させ、トランプ政権は石破政権に対して厳しい態度を取る可能性があります。

トランプ氏は自主防衛を求め、日本が自国の防衛体制を確立する必要性を主張しており、これが日本の国益に資するとの見方もあります。

一方で、グローバリズムの弊害が顕在化する中、自由貿易と保護主義を状況に応じて使い分ける柔軟な政策が求められています。現在の日本の政策は、アメリカとの対立を深めるリスクを孕んでおり、日米関係の再構築と自主防衛の実現が重要課題となっています。

このような「良い圧力」を受け入れつつ、真の独立国家として国際社会での地位を確立することが求められています。


二酸化炭素神話の崩壊と電力・ エネルギーの行方

トランプ氏の当選を契機に、CO2排出による地球温暖化の理論や、これに基づく政策の妥当性が問われ始めています。いわゆる「CO2神話」に基づいた環境商法や排出権取引、水素燃料推進などの施策は、技術的な困難やコスト面での非効率性が指摘されています。

特に水素燃料は管理が難しく、原子力発電を利用した製造も非現実的です。また、洋上風力発電や新型原子炉も採算性や安全性の課題から実現性が低いとされています。

一方、再生可能エネルギーとして注目される太陽光や風力発電はコストの低下が進んでいるものの、中国製品への依存による安全保障上のリスクが高まっています。こうしたリスクを回避するため、日本国内での製造と利用を進めるべきだとされています。

原発推進については、老朽化した原子炉の延命措置や廃棄物の処理が未解決であり、短期的な利益を優先する刹那的な政策との批判があります。また、AI社会の到来に伴う電力需要の増加を理由に原発を推進する動きも見られますが、これには再生可能エネルギーや他の発電方法で対応可能との見解もあります。

さらに、CO2削減の議論は市場や政治に影響を与え、電力コストの上昇やロシア産エネルギー依存の問題も浮き彫りになっています。

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続・財務省解体論(第二回)——賃金上昇を妨害する財務省の工作

2024-12-03 00:00:00 | 政治見解
続・財務省解体論(第二回)——賃金上昇を妨害する財務省の工作




昨日の続きです。特別に許可を頂いて掲載しています。(なお、本講演録は岸田首相在任期間に収録されたものです。)


その一方で、岸田政権は何を言っているのかというと、継続的・持続的賃上げですよ。持続的な賃上げ、どうやってやるんですかね、これを。経済成長も望めないような状況の中で、持続的な賃上げを実現していくというのを今年の「骨太の方針」、つまり「骨太の方針2024」で高らかに歌い上げているんです。 

要するに、「骨太の方針2024」の最大のポイントは、この持続的な賃上げです。一番の大きなポイントは。そのために何をやるのか。本当にそれが実現できるのかというところを考えてみた時に、まったく具体的な中身がない。それをうたっているだけ。うたっているだけじゃないにしても、大企業を中心に政府主導でケツを引っぱたいて、賃上げし ろ、賃上げしろと言っているに過ぎない。

では、その一方で中小零細企業はどうするのか、小規模事業者はどうするのかという具体的な処方箋がまったく描けていないという中で、持続的な賃上げをうたいあげたとし て、それはただ単純に「絵に描いた餅」になってしまうのではないのかなと、私は思いま す。

ですから、そういった良い非常に評価すべき目標があるにもかかわらず,その上台の部分で——上台の部分というのは、いわゆるこのデフレ脱却をどう進めていくのか、景気経済をどう良くしていくのかというところが、非常に空っぽなんです。本来やるべきことが 何もできない。


財務省のサボタージュ

財務省の、あえて言わせていただくと、サボタージュと妨害工作によって 何もできないという状況、そういう縛りをかけておいて、結果的に景気を良くして、言ってみれば持続的な賃上げを実現していくという。はっきり言って「絵に描いた餅」という 状況になってしまっているわけなんですね。

ただ、そのあたりも財務官僚のよくやるところなんですけれども、どうなんですかね。 じゃあ岸田政権がいつまでもつのかと考えてみた時に、今年の「骨太の方針」はやりたい放題だったのかなと。

はっきり申し上げて、無理難題みたいな、無茶な形で取りまとめた としても、将来的にですよ。つまり、首相の首のすげ替えが起こったあと、新首相が来た としても、それは前任者の問題だから責任は岸田首相が負うべきであって、後任としては 知らぬ存ぜぬになるでしょう。

いや、そして事務方、つまり財務省サイドも「いや、前任 の首相がこういう方向で臨みたいと言ったので、こうなりました」みたいなところで、また言い出すのでしょう。

となると、やりたい放題になるのです。政権が弱体化してくる。つまり、岸田政権が風 前のともしび、いつ総理の首がすげ替えられてもおかしくないような、今そういう状況で すよね。

そういう状況の中で決められた「骨太の方針」だからこそ、財務省もやりたい放題というか、意向のままに、何の修正も行われることなく、考えたとおりのものが反映されてしまったという。我々にとってみると非常についていない状況になってしまいました よね。

ただ、このついていないということだけでは、事は済まされません。このことによつ て、少なくとも先ほど来から申し上げているような財政出動、景気を何とか安定させていくためにも、景気を拡大していくためにも公的セクターに一部分担ってほしいところではあるのですが、それが期待できない以上、民間セクターが頑張らざるを得ないという状況になってしまった。

そういった意味で言うと、今後の景気動向もあまり大きく期待はでき ないところですけれども、その中で民間がどう動いていくのかというところに大いに期待 をするにしても、じゃあこれから3年縛り、その後どうなっていくのか。この積極財政派 と緊縮財政派のバトルは、はたしてどうなっていくのかというところが注目になっていくんですけれども。 

ただ、今回どうですかね。やはり積極財政派が大きな力を発揮できなかったというところも、やはり安倍首相が亡くなったということも大きな影響をもたらしているのではないか。これは間違いなく大きな影響はあります。やはりその最大の後ろ盾だったのが、安倍元首相ですからね。

この安倍さんですら、3年間の1,000億円縛り【※1】というのは知りませんで した。総理時代には気づくことはありませんでした。あの安倍さんですら気づくことがで なかったわけですから、ポスト岸田さんに誰が就くのか分かりませんけれども、そこは 言ってみればあるべき方向にそれを誘導することができるのか、期待する私たちとして は、その新首相に期待することができるのかというと、それもまた難しいところではない のかなと、そう思います。

【※1】3年間の縛り2015年の骨太の方針以来、財務省はその骨太の方針の中に「非社保障費の純増は、3年間で1000億円以内」という3年縛りを、それとは分からないような形でひそかに潜り込ませていた。この縛りによって、例えば教育無償化の拡充、国土強靭化といった政策を進めようとしても、政策的選択の幅がまったくなくなった。これがバレたのは7年後の2022年6月3日の政務調査会。なお、今年6月に策定された「骨太の方針2025」にも、「非社保障費の純増は、3年間で1000億円以内」という3年縛りは継続された。


財務省解体の方策

ですから、財務省の上限キャップ問題というのをやはり正しく理解して、声を上げていく、あるいは、それに対して異論を差し挟んでいる、あるいはそれに対して抵抗している、そういう国会議員を支援していくこと以外に、この構造を覆していく、壊していくと いうことは不可能なのではないかと。

ただ、幸いなことに、自民党の中にも積極財政派に属する議員は100名を超えております。しかし、残念なことに、当選回数が若い方、当選回数 が少ない方が中心です。せいぜいいっても当選回数4回とか、5回の方がほとんどです。

ほとんどの方はもっと若手の議員によって占められているわけなのですが、党内において影響力があまり大きくない。党内においてあまり影響力が大きくないということは、メディアのほうも軽く見て、あまりそういった人たちの主張であるとか指摘について、報じられる こともありません。

ですから、皆さん方の目に触れるチャンスもないと思うんですけれども、今日話をさせていただいたキーワードを基に、新聞とかテレビは期待できないので、皆さん方ご自身が 自ら動くことによって情報を検索していただきたいなと。

それによって気が付くこともあ ろうかと思いますので。こういったところに気が付かないと、いつのまにかこの日本経済 というのは、とんでもないところに連れて行かれてしまうのではないか。

また新たな3年 間、1,000億円のキャップというのがほぼほぼ決まったということが、一体何をもたら すのか。非常に大きなマイナスの影響をもたらすことは間違いありません。それをこの 3年間でひっくり返すということは、不可能です。はっきり申し上げて、おそらく不可能 です。

では、将来的にまた4年後の話をするというのも、また私としては忍びないことなんですけれども、これを繰り返さないためにはどうしたらいいのか。あるいは、本当にこの3 年間の!,000億円キャップを、もうこの3年間にわたって引つ繰り返すことはできないのか、どうなのか。これをやるためにはどうしたらいいのか。

相当なエネルギーは必要だけ れども、何をやったらいいのかというところも、今後の課題として出てくるのではないのかなと、そんなふうに思います。

とりあえず、今日はこの3年間で1,000億円のキャップについて、そしてそのもたらす影響についてお話しさせていただきました。加えて大きな構造としては、予算編成作業がー 体どういう形で行われて、そこに財務省はどういう形で関わっているのかについても、お話しさせていただきました。

(了)

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