速報:国民の絶妙な選択――石破自民はダメ、立憲政権もダメ
石破自民はダメ、立憲政権もダメ
総選挙が終わりました。日本の有権者は「石破自民はダメ、さりとて立憲を中心とした政権もダメ」という実に絶妙な選択をしました。
まずは、選挙結果を共同通信の記事から(2024年10月28日 04時43分共同通信)
——第50回衆院選は28日未明、全465議席の当選者が確定した。自民、公明両党の与党は計215で、定数465の過半数(233)を割り込んだ。自民は公示前から65減らし191、公明は8減らし24だった。立憲民主党は公示前98から50増の148。日本維新の会(公示前43)は38、共産党(同10)は8で、それぞれ減らした。国民民主党は公示前の4倍となる28に躍進。れいわ新選組も3から9に伸ばした。
石破茂首相(自民総裁)は勝敗ラインを与党で過半数獲得と位置付けており、責任論に発展する可能性がある。閣僚経験者は「与党過半数割れは首相の責任だ」と指摘した。公明の石井啓一代表、牧原秀樹法相、小里泰弘農相が落選した。公明代表の落選は2009年以来、国政選での現職閣僚落選は16年参院選以来。女性の当選者は73人で過去最多となった。
社民党(公示前1)は1を確保。参政党は衆院選で初めて議席を獲得し3を得た。政治団体「日本保守党」は選挙区と比例代表で計3を獲得した。無所属は与党系6、野党系6の計12だった。――
石破首相は退陣せざるを得ない
石破茂首相はテレビ番組で、衆院選の結果を踏まえ、職責を全うするのかと問われたところ、「それはそういうことだ」と述べ、続投に意欲を示しつつ連立の相手を模索しているようですが、もう無理とあきらめた方がいい。選挙大敗の結果から、自民党内からは「石破降ろし」の風が吹くのは間違いなく、しかも、維新や国民民主に連立を提案しても断られるのは必至の情勢です。
事実、自公過半数割れの対応に、維新・馬場伸幸代表は「今の与党に協力する気は全くない」と述べ、国民民主党の玉木代表も「交渉に応じない。政策本位だ」と連立政権参加を否定しています。ただし、これらの発言を深読みすれば、「今の」石破自民党には協力しないという意味で、自民党の顔が変わったらどう転ぶかわかりません。これが政治の世界のややこしいところ。
石破首相はあがくでしょうが、彼が生き延びるための最後の手段は、立憲民主党と手を組むこと。立憲民主党に親和性のある石破首相ならやるかもしれません。政治の世界は、利害打算で動きますから常人の常識を超えます。かつて、自民党は天敵の社会党と連立を組んだこともあるのですから。そうなった場合、立憲民主党は消滅します。自民党の連立の歴史をみれば、カルトの公明党以外は、最終的にみんな呑み込んでいるのです。
立憲民主党政権にもNO
さて、立憲民主党も政権交代をめざしているようですが、メディアが大勝という割には勝っていません。野田代表は「少なくとも政権交代前夜という言葉は、間違いなくリアリティーが出てきたと思う。これからだ」と意気込んではいるのですが、2009年の政権奪取時の勢いはありません。
したがって、首班指名にこぎつけたければ、他の野党に接触するほかはありません。しかし、組めるところは、共産、れいわ、社民ぐらいしかなく、維新、国民民主は自党の政策を実現するためには自民党(但し石破ではない)とパーシャル連合を組んだ方がましだと思います。
その上、仮に立憲民主党が政権を奪取したとしても、参議院は自公が過半数をはるかにこえています。2022年の参議院選挙後の時点で、維新、国民民主党を含めた「改憲勢力」の議席数は、憲法改正発議に必要となる「3分の2」(166)を上回っています。
これでは、ねじれ国会となり、「裏金政治続ける自民政権か、根絶させる立民政権か」としか言えなかった立憲民主党に国会運営をする能力はありません。2009年の政権交代時からの「悪夢の民主党政権」を思い出せばだれでもわかることです。
だから、国民も、自民を程よく負けさせ、立憲民主を程よく勝たせて、しかも、政権交代までには向かわないように絶妙なバランスを取ったわけです。
さて、国会は、自民党内のごたごたと、連立政権あるいはパーシャル連合問題で混迷を深めると思いますが、首相指名選挙を行う特別国会は憲法の規定により30日以内に開く必要があり、政治日程に余裕はあまりありません。
その上、来週の11月5日(火)には米大統領選の投開票が実施されます。前回のような不正がない限りトランプ氏が勝つのは間違いなく、この結果に首相指名も影響される可能性は高い。
いずれにせよ、日本国民の「石破自民はダメ、さりとて立憲を中心とした政権もダメ」という絶妙なる選択のおかげで、多少の政治的混乱は起きそうですが、「日本の政治にもっと興味を持て」という天の啓示だと思って国会のありさまをよく見ることも必要ではないかと思います。