★茶道資料館 サイト
『近代の博覧会と茶の湯』 ※3月29日(日)まで 後期:2月28日(金)~3月29日(日)
時々、明治時代以降の茶道にスポットを当てた展覧会が掛かる。
前回は5年前の春だけど、、、感想記をまとめてなかった。
今回は前半の会記切れ間際(1月31日)に訪問した。
明治以降のお道具に加え、明治5年に開かれた第1回京都博覧会で出品されたものも含まれているらしいという。
まずは田中宗慶の三彩獅子香炉。これがあるということは、これが博覧会に出品されたということ?
2006年の三井記念美術館で開かれた「赤と黒の芸術 楽茶碗」展で初めて見た。
2017年に京都と東京で開催された「茶碗の中の宇宙 楽家一子相伝の芸術」でも再見した。
田中宗慶は長らくその存在さえ埋もれて、存在が明らかになった今も長次郎と常慶の間で影が薄い印象があるけれど、
それでもこの三彩獅子はカラフルで大きくて堂々としているから、
日本の陶芸技術をアピールするにはよかったんだろうなぁ。
資料類も難しいけど、興味深かった。
府藩県往復はすごいものなのだろうけど、すごさが実感できず。
楽美術館所蔵の常慶のことを「天下一 茶わん」と書いて書状は「以前、楽さんの講演で聴いたなぁ」と思い出した。
玄々斎が考案した立礼之図記は面白かった。
点茶盤と喫架と円椅の設計図。それを表装してある。
まぁ、この通りに製作されたものが脈々と150年受け継がれているからねぇ。これが原本かぁ。。。とちょっと感動した。
(見学後に呈茶いただいた時も、喫架と円椅ではない席に座り、客観的にしげしげと眺めてしまった)
夕顔台子のお道具セットも見応えあった。
でも、肝心の夕顔台子そのものがコンディション重視で展示が最初の1週間のみだったそうで、写真パネルのみ。残念。
でも、2年前の茶釜の展覧会で夕顔台子は見たけどね。
7代浄益作の夕顔真塗風炉の上にのってる夕顔釜が浄雪の作。だけど、寒雉の唐犬釜とおんなじ形に見える~
ちなみに、皆具も7代浄益。
旦入作の黒楽天目茶碗と赤楽天目茶碗がすごかった。楽茶碗なのに、楽茶碗に見えない。ほんと、天目茶碗の形~
7代の中村宗哲の夕顔天目台も楽茶碗の天目をしっかり受けとめていてよかった。(認得斎好)
海外博覧会に出品された永楽得全の茶道具も展示されていた。
赤地金襴手の桜文香炉に紫交趾の牡丹文双耳花入、どちらもインパクトがあるというか、派手で豪華。
色絵金襴手玩具尽文茶碗なんて、内側まで模様あって、実際にお茶を点てるには気が引けそう。
このくらいド派手豪華にしないと海外にアピールしたことにならなかったのかなぁ。
近代工芸のコーナーにはちょっと興味が持てず、ほぼスルー。
最後の女性と茶の湯は「当世風俗通 茶の湯」と「幻燈写心競 茶の湯」「茶の湯日々草」
明治20年代から30年代に描かれたというが、浮世絵みたいで描かれている女性も着物に日本髪だから
明治時代という気がしなかったけれど、数人で稽古をつけてもらっているところは明治からの流れということなのだろう。
2階の展示室は印籠展。印籠と根付って、取り合わせが着物と帯くらいに密接でほぼセットなのだろうなぁと初めて知った。
象牙に十二支を彫り込んでいる根付がグロ迫力があったなぁ。
トーハク本館の2階に故高円宮様がコレクションした根付を展示した部屋があるけれど、
印籠がなかったような気がする。だから、根付が独り歩きしている誤解があるけれど、
これからは印籠も含めた工芸で理解し、鑑賞できたらなぁと思った。
印籠といえば水戸黄門の「この紋所が目に入らぬか~!」が印象として強いのので、
肝心の印籠が薬入れだという用途について、すっかり失念していた。
遡っていくと、こういう大事なもの入れる小ぶりの容器がルーツなわけで、
片や平べったくなり持ち運ぶ薬を入れる携帯容器、つまり印籠になり、
携帯用ではなく卓上用になったのが茶入や茶器になったワケね。
(君台観左右帳記まで参考資料として出ていたのにはびっくりした)
原羊遊斎作の印籠も拝見できてよかった。
今月末から後期が始まるけど、たぶんパスかなー。
★茶道資料館バックナンバーリスト
2019年10月『三冊名物記 -知られざる江戸の茶道具図鑑-』
2019年6月『裏千家所蔵の優品』
2019年1月 『旅する茶道具』
2018年10月 『酒飯論絵巻-ようこそ中世日本の宴の席へ-』
2018年5月 『むしあげ 岡山に花開いた京の焼物』
2018年1月 『茶の湯釜とその周辺-裏千家歴代の好み物』
2017年10月 『仏教儀礼と茶 ―仙薬からはじまった―』
2017年1月 新春展『描かれた茶の湯』
2016年10月 秋季特別展『私の一碗 -六十五碗それぞれの想い-』
2016年5月 春季展『文様ことはじめ―茶道具の文様と意匠―』
2015年5月 春季展『錦絵にみる茶の湯 -今日庵文庫所蔵 明治期の作品を中心に』(前期) ※感想まとめず
2015年3月 新春展『茶箱を楽しむ』 併設展『季節の取り合わせ』3期
2015年2月 新春展『茶箱を楽しむ』2期 併設展『季節の取り合わせ』
2014年11月 開館35周年秋季特別展『茶の湯の名碗』
2014年7月 夏季展『茶道入門 抹茶を知ろう、茶道具を知ろう』
2014年5月 春季特別展『光悦・等伯ゆかりの寺 本法寺の名宝』
2014年2月 新春展『新春を寿ぐ―酒の器―』 併設展『新春の茶道具』
2013年11月 秋季特別展『佐賀県立九州陶磁文化館名品展『華やぎの九州陶磁』
2013年9月 特別展『少庵四百年忌記念 千少庵』
2013年4月 春季特別展『永青文庫所蔵 香道具展』 併設展『入門 茶の湯と香道具』
2013年1月 新春展『大松コレクション名品選 -近代絵画と茶道具-』
2012年11月 秋季特別展「-茶会記に見る茶道具-姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」(後期)
2012年10月 秋季特別展「-茶会記に見る茶道具-姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」
2012年8月 「京三条せともの屋町」
2012年5月 「四季の画賛と待合のしつらえ」
2012年2月 新春展「新春の取り合わせ」
2011年10月 肥後松井家の名品「武家と茶」
2011年8月「鵬雲斎千玄室の茶」(後期)
2011年5月「鵬雲斎千玄室の茶」(前期)
2011年2月「近代茶道の先駆者 玄々斎と又日庵 」
2010年11月「東京国立博物館蔵 広田不孤斎コレクション 茶の湯の名品」
2010年9月「千家茶道の継承 裏千家十三代 圓能斎鉄中宗室」
2010年5月「茶書にみる茶の湯の歴史」
2009年11月「わび茶の誕生-珠光から利休まで-」
2009年3月「春に笑む」
2008年10月「鎌倉時代の喫茶文化」
2008年8月「涼を求めて 染付磁器の魅力」
2007年11月「千宗旦」
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