愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

民主連合政府樹立への展望をきりひらく建設的野党

2009年07月25日 20時42分08秒 | JCPの活動、国民運動、国内の政治・経済等
 日本共産党中央委員会は、今年の7月16日に幹部会声明を発表しました。この声明は、民主党中心の政権が成立する可能性がある情勢をふまえて、そういう政権が成立したときの日本共産党の基本的立場をあきらかにし、同時に人民の政治革新への要求を進めていくなかで、民主連合政府樹立(民主主義革命)への展望を現実のものにしようという、日本共産党の立場を党内外に示したものです。

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/20090716_kaisan_sousenkyo_kihon_tachiba.html

 声明のなかで提起されている「建設的野党」「行動する是々非々」ということが注目を集めていますが、マスコミの報道をネット上で見るだけでも不正確というより間違いだらけの報道が散見します。

 例えば、時事ドットコムの報道で「志位氏は『自公が与党でまず責任を問われる。(自民、民主両党を)同列にするのは適切ではない』と述べ、今後は民主党への批判は弱める姿勢を示した」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200907/2009071600866
ということが書かれていますが、これは、政府・与党が行なった反人民的な政治への政治責任の問題であって民主党の路線や政治体質のことの問題を語っている文脈ではありません。国政において政府・与党としての執行者としての責任をという意味で自公政治の責任を総選挙で問い、自公政治終わりの審判を下そうとということであります。そういった場合に、民主党は国政においては野党ですから、消費税増税、憲法9条改悪、衆議院比例定数削減など本質的な政治姿勢が自民党と民主党とで同質であっても、与党としての責任を問いただす相手ではないということ意味で自民党と民主党とを同列に扱うのは適切でないと、日本共産党は述べているのであって民主党への批判を弱めようということではありません。

 産経新聞社のネット配信のニュースもお粗末なものです(このお粗末さこそ産経らしい?)。ニュースでは、「東京都議選で選挙前の13議席を維持できなかった結果を踏まえ、「自民・公明の連立政権と民主党は同質同類」と批判一辺倒だった民主党への対応方針を転換した。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090716/stt0907162230021-n1.htm
と書かれていますが、批判一辺倒という認識そのものが間違いです。日本共産党が建設的や党の立場を打ち出しているのは、東京都議会議員選挙で民主党が大きく議席を伸ばした背景に、人民の自公政治への怒り、そして自公政権を一日も早く終わらせたいという要求が根強いことを2年前の参議院選挙の状況とつき合わせて検証したことによるのであって、わが党の議席の増減は本質的問題ではありません。今回の都議選でわが党の議席が増えた場合でもやはり、民主党中心の政権成立に関して建設的野党としての日本共産党の立場が問われることに変わりはないわけです。また、国政などでは基本的な政治路線、姿勢の違いがあっても日本共産党は一致できるところでは民主党とも共同行動をとってきました。国政では、後期高齢者医療制度(姥捨て法)廃止法案を参議院で共同提出するということなどをしてきました。民主党が本質的な政治姿勢に、自民党と同質的な要素を持っているという、日本共産党の認識が変わっているわけではありません。

 建設的野党という立場は、国会において民主党相手であっても一致できるところでは共同してきました。また、自公政権に対してでも、賛成できるところには協力してきました。例えば、現在は事態が膠着しているとはいえ、北朝鮮と外交ルートを作るきっかけになった平壌宣言に際して、日本共産党は自らの経験(朝鮮労働党による日本共産党への悪罵など)をふまえながら必要な提案や協力をしてきました。この点に関して、日本共産党は政治姿勢の相容れない小泉首相からも立場を越えて国会で感謝されました。

 では、自公政権のもとで、一致できるところに日本共産党が協力してきたようなことと、自公政権が崩壊して民主党中心の政権が成立したときの一致できるところに日本共産党が協力するというような「行動する是々非々」「建設的野党」とでどのような違いがあるでしょうか。自公政権のもとでは、是々非々といってもこれは、人民の立場に立って悪性に対して防波堤として立ちはだかりながら施策の改善にあたるものには賛成して現状の枠内での改良をはかる意味合いのことです。しかし、総選挙の後に民主党中心の政権が成立した場合、民主党中心の政権は人民の「自公政治退散せよ」という政治変革の要求に基づいて成立したという点が自公政権と根本的に違うことです。確かに、民主党には自民と本質的なところで同質性を有しているとはいえ、人民の要求の問題とは区別して考えるべきことです。このようなことを考えた場合、新政権の行動で人民の利益になることには賛成し協力しながら消費税増税など人民の利益を害する行動には阻止するべく立ちはだかる役割を日本共産党が果たすことは、現行の枠組みの改良にとどまらず政治の中身としても自公政権を本当に終わらせ、日本の政治革新を進める意義があります。ここに、「建設的野党」という立場を明確に打ち出した日本共産党の固有の存在意義があります。

 日本共産党は、いままで「確かな野党」「政治の中身を変える」打ち出してきました。現在日本共産党は「建設的野党、行動する是々非々」というスローガンを打ち出しています。「確かな野党」も「政治の中身を変える」というのも将来の日本を大局的に見据えて活動する、日本共産党の革命政党として現状の自公政権には一切馴れ合わない立場を訴えたものです。自公政権の下で、自公政治に馴れ合わない「確かな野党」だからこそ綱領に基づき「政治の中身を変える」ということを人民に日本共産党が対話できるのでありますし、現状の局面で総選挙後に新政権が成立した後に「建設的野党」としての最も確かな変革者の立場をとることができるのであります。

 一言、民主党中心の政権といった場合、総選挙後に日本共産党が前進した状況でのことか、後退した状況のことでかでは日本の行く末が大きく違ってきます。日本共産党が総選挙で前進してこそ、いかなる形の(自民党と民主党との)「大連立」を許さず、日本の政治革新の第一歩が確実なものとなり、民主党政権が人民に不利益な方向への「暴走」(消費税増税など)をさせない確かな力となります。同時にこれが、政治の中身としての自公政治退場の力となります。

 日本共産党は、21世紀の早い時期の民主連合政府樹立を展望しています。人民の「自公政治にとって代わる新しい政治プロセス」への探求と模索の時代にふさわしく、総選挙において日本共産党が勝利し、大きく前進してこそ本当の意味での民主連合政府樹立、すなわち民主主義革命への展望を現実的にきりひらいていくことができます。今後は情勢の動き方によってはいままでの10年に相当することが1年間にひとまとめにやってくる可能性があります。社会・政治変革のスピードは等速で進むわけではありません。日本共産党が前進すればそれだけ、社会・政治変革が加速度的に進んできます。

 このたび行なわれる総選挙を、政治革新の第一歩となるようにしていきましょう。そのためには、

「比例は日本共産党」です




追記

 東京都議会議員選挙では、日本共産党は「日本共産党かオール与党(民主党含む)か」ということを打ち出してきました。これ自体は都議会の政党状況にそくして考えれば適切なものです。国会での政党状況(国政では民主党は野党)を、都議会の政党状況への検証をしないで機械的に都議会の状況に当てはめて都政においても民主党を野党としてテレビや新聞などで商業マスコミが取り扱い報じたのは実態から大きく外れた間違った報道です。あえて言えば、都議会議員選挙の政党状況でのマスコミの報じ方は虚偽報道といっても差し支えありません。都議会で民主党は、石原都政の施策の99.3%に賛成してきました。新銀行東京の立ち上げには「夢とロマンがある」と民主党は賛成してきました。築地市場の移転問題で民主党はやはり石原と知事側に賛成してきました。都立小児病院の統廃合を石原都政と一緒になって進めようとしている勢力の一つに民主党は入っていました。都議会の実態に即して言えば、民主党は国政における場合とは違い紛れもない与党であります。だから、都議選で民主党に対して石原都政を推進してきた片割れとして自民党と同質の立場として、日本共産党が批判するのは当然のことです。石原都政の害悪(都営住宅の問題、シルバーパス、都立病院存続などの問題)に対して、自民党、公明党、民主党は推進者の勢力としての政治責任が当然問われるのであります。実態がどういうものであれ、民主党は石原都政批判をしてにわかや党のポーズをとることによって議席を獲得してきた以上は、今後都政において選挙中の言動が厳しく問われます。


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