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池永 陽さんの本との出会いは『ひらひら』『走るジイサン』。
こっけいで哀しい年人たちが描かれていた。
続いて、『コンビニ・ララバイ』『ゆらゆら端から』
中高年が登場する話はばかり読んだ気がする。
この小説は若い男女の話から始まる。
自分の前から姿を消して故郷で自殺してしまったであろう
恋人の足取りを追うちょっとミステリー仕立てで
今まで読んだ作品とは毛色が違っていた。
どこまでも底抜けに明るい沖縄の
悲惨すぎる民間人まで巻き込んだ戦争が生々しかった。
沖縄の民間人が怖かったのは米軍だけでなく、
ヤマトの人間日本兵と言う事実。
日本は朝鮮半島でも中国でもアジア諸国でも、
戦時中は優等民族として、
差別意識を持って残忍行為をした民族である事を忘れてはいけないと思う。
戦争と自国民だけが優れて入るという錯覚とが日本だけでなく
各国でセットになっている。
有色人種の国だから原爆は投下されたのではと言う声も聞く。
今、復活しつつある愛国心とはなんだろう?
線の無い地球に国という線を引いて、他より己の国を愛せと言うのだろうか?
地球人として地球を愛するという
『人類愛』を学ぶことの方が重要ではないだろうか。
米軍から隠れた壕の中で、外にも出れず
内では日本兵の残虐性に怯えた沖縄の人々の恐怖の時間。
戦後は米兵との間に生まれたウチンチュウからのアメラジアンへの差別。
沖縄の伝統文化や独特の宗教もあいまった構成で描かれていて
読後、ほぉ~とためいきが出た。
藤田嗣治のアッツ島の玉砕の絵を観たばかりで、
どこまでも残虐になれる人間の本質を
平和の仮面の下に持っている私たちなのかとゾッともした。