予想どうりというか、ええかっこしいの姑は
やって来た介護認定の調査員の前で
張りきって、手足を動かし、なんでも出来ると大見栄を切った。
「どのくらいの割合で転ばれますか?」
「う~んそうね?年に1、2回でしょうか?」
ほとんど毎週転んでいる報告を聞いている私は口あんぐり。
「お食事の時にむせられる事がありますか?」
「いいえ。まったくありません。」
食事に連れて行った時、少々でないむせ方を見ている。
極めつけは
「一人暮らしをしておられて、心配な事はありますか?」
「今のところ、まったくありません」
堂々ときっぱりと言い切った。
調査員の前で、いつもの掴まり歩きをやめて歩いてまでみせた。
寝返りも何も持たずにクルリ。
手足の動きでは元気いっぱいラジオ体操のごとく挙げて、広げて。
もう~ダメだわ。
最初から予想はついていたので、
こんど行く予定の近くのデイサービスへ助っ人を事前に頼んでおいた。
調査員にも、本人が居ない所でないと本当の事が言えないからとデイサービスへの移動も頼んでいおいた。
実際にまだ通っていないし、デイサービススタップも1度出会ったきりで発言力は弱い。
弱いが介護が必要な事実は多く調査員に披露した。
しかし、一人で暮らしている事実は曲がらない。
なんでもやって生きているのだ。
姑はすでに家事も難しくなっている懸念もわいた。
朝昼パンで夜は茶がゆを炊くと言っていたが、
もしかして炊飯器の水加減など分からなくなってはいないか?
買い物も惣菜が増えている。
それからそれから、土曜日に買い物へ1000円しか持っていなかった。
あれはどうなった?
帰りがけにお金はどうしたか?と聞いたら
「あそこに10万円。」
「ほら棚の上の水色の封筒。農協さんに持ってきてもらった。」
その部屋にはまだ立ち去らない調査員と今度ケアマネを受けてもらう同僚が居た。
その同僚が思わず制した。
「あっ!そ、それはおっしゃらない方が!」
その席に居る全員がうろたえた。
その封筒はよく見えるように棚の置き物を背に立て掛けてあったのだ。
総合判断力がまるで欠けている。
調査員の前で語った自己像は、思えば、歩行状態が悪くなる前の自分なのだ。
負けず嫌いでプライドは高い性格も功を奏して、過去の元気な自分で居る気になるのだ。
それは認知症がなせる技でもある。
調査員は通り一辺倒の項目に沿った答えだけを聞きとる。
姑の置かれている一人暮らしでは『なんでも出来ている』が目に見える。
充分ではないが間違いなく一人で生活している事実がある。
判定が低くでると使えないサービスが出てくる性格持つ介護保険。
いっぱいサービスを使って一人暮らしを維持させたいのに、それは困る。
判定におそらくなんらかの介護度は出ると思うが、
週3回はデイサービスへ行ってもらい生活改善へ結び付けるもくろみでは要介護1以上が欲しい。
調査員は「それは特記事項に書かせていただきます」とだけしか言わない。
実際に目でみて、自立判定の「できる」に○した項目は話だけでは動かない。
同僚と一番軽い要支援1、良くて要支援2との予測した。
判定が出るまでデイサービスは週1回利用で待つ事に決めた。
どっと疲れた。
姑にデイサービスグッズを揃えてやらねばならない。
上履きを買うから足のサイズを聞いたら
「22~23センチ」
自分の靴サイズも分からないらしい。
昔、「22センチ。私の足は小さいの」
と買ってやったSサンダルに嫌そうな顔をしたのを思い出したが
最近は、少し甲が腫れている。
店に連れて行くか、見本を持っている業者の手配か?
疲れることはまだまだ続く…