2016年度の[本屋大賞]の作品です。宮下奈都を読むのは初めてだ。ストーリーの予備知識もなく、読みすすめる。調律師と双子の姉妹の非日常が時の流れに漂っている。音楽には無知な拙者だが、ピアノの調律の雰囲気は、分かったような気にさせてくれる。
文中に、原民喜のこんなくだりがある。「明るく静かに懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにしたたかな文章」主人公が調律の目指しているころを言い表している。
何か詩集を読んでいるような錯覚に陥る文体には感服するばかりだ。きっとクラッシックを聞きながら読むと良いのだが、拙者には何がよいのか選曲できないでいる。
静か気持ちになりたいとき読んでみては如何か。書名の解は、最終章で遭遇する。