月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

8月の初秋、風はもうヒヤッと。

2013-08-28 11:01:48 | 春夏秋冬の風


秋になった。風が違う。
夜になるとコオロギが鳴くようになった。ナツ熱くなっていたアタマがクールダウンしていくような、ほっーとした日々が続いている。

秋。と、一番早くに気付いたのはお盆前の8月11日あたりからだった。

この日は実家に帰る前に、どうしても仕事部屋を整理したかった。
帰宅した時、きれいなところで、新たな気持ちで始めたかったのだ。
窓下に面した本棚を全部一度出して、机回りのあふれた書類を整理して、半日かかって半分以上も処分した。

過去の作品をみると当時の自分の情熱や関わった人々のことが、まざまざとよみがえってくる。
いつになく叱られた痛い一言などもチクリと胸を指したり。
面白い仕事だった~と眺めたり。

そうして、わたしはそこから何を学んだ?少しづつ成長した?
まさか退化したんじゃない?と胸に手をあてては、問うた。

自分の心の底の部分と向かい合うとき、どんなに大好きな友達がいても(家族がいても)、やはり孤独だ。

自分のダメさ加減(理想の自分になれないとこや、計画無視や肝心なとこに気付いていないふりをする弱さ)が浮き彫りになって…。
あかんなぁーと小さな希望のかけらさえ、もうこの際一緒にゴミ袋の中に捨ててしまいそうになる。

そんな絶望的な時刻
陽が斜めに長く差し込んできた頃だった。
「つくつくぼうし…、つくつくぼうし…」と近くの木に蝉がやってきて一斉に2匹のつくつくぼうしが輪唱をはじめた。お見事!パチパチ。
ミンミン蝉やアブラ蝉じゃなくて、
もうつくつくぼうしなんだと、暑さでぼーとしながらも思う。

5年ぶりに咲いた、ブーゲンビリアが青空に揺れている。





夏が終わる。一抹の寂しさがあった。


昨日、郵便局まで書類を出してにいく途中、赤トンボの集団飛行もみた。
昼は入道雲が出ていたけれど、6時半頃に見上げた空は、薄い真綿のような雲がかすれた線を描いていて、
空はだいぶん遠くに感じた。




今日は、風が強い。
朝夕は肌にあたる温度がヒヤッとする秋の風になっていた。
夜、ベランダの物干しの留め金に吊り下げてあった郷里からもらったタマネギが、1コ、ゴロッと落ちた。

初秋。嬉々としてこしらえる夕ごはんが妙においしい!
コーヒーと一緒にチョコを食べたくなる。うん。自分らしい感覚が戻ってきた。

せめて。
普段の仕事も、スピーディーに仕上げられる集中力がほしいなあ。

少しの時間を大事にできないやつは
少しのお金も大事にできないやつ。

昔読んだエッセイにこう書いていた。

みうらじゅんは、いろんな「マイブーム」を、ずうっと長いこと、飽きずに 続けてきている人なのだか、その秘訣を聞くと

「飽きていないふりをするだけです」と。

飽きたといっては止めてしまうのは素人。飽きていないふりをして続けていけるのがプロなのである。
やっているうちにまたまた愉しくなっちゃったなんて、よくあることだもの。



9月になるまでに、
持ち物をもっと整理して、
家も自分も身軽になって、新しい月を始めたい!