ゴールデンウィークのことで恐縮だが、面白いイベントに参加したので、その話しを。
ご近所の友人と篠山方面へドライブ。
若葉が出たばかりの新緑がさわさわと揺れる日で、
途中の河原には、遅咲きの桜がふわっふわっ、とまだ咲いているところがあって、なんだか平和な日だった。
友人は、山里のひなびた風景がとても気に入ったようで
「来年は絶対にここにお弁当持ってお花見しよう」と
張り切って宣言していた。
会場に着く前にちょっとだけ立ち寄ったのが、
「居七十七(いなとや)」
にしきトンネル西をくぐり鼓峠へ向かう途中の一軒家(業柄奥バス停)。
ほんのちょっとのつもりが、これがどんぴしゃに大当たり。
結局50分以上もの長居となった。
ご夫婦で工房兼ギャラリーを営まれていて、
ご主人は漆器・木工芸品など日々制作されている作家さんである。
シンプルな佇まいの2間に、漆器と木工品などがたっぷりとディスプレイされていた。
お皿や茶碗、スープ椀、ミニちゃぶ台、お箸やフォーク、御盆。
木もメープルやオーク材など様々で、手で持つと手の指に木の香りが移る。いい香りだ。
何がステキって、木肌の色。手ざわりというか肌ざわりがまるで吸い付くようだった。
カッティングのやさしさも素晴らしかった。
アジア雑貨でみるそれとは違い、持ち上げると手にどーんと木の重力がかかる。
ちょっと立ち寄ってみたにしては、本格的すぎるではないか。
少しびっくりしてしまった。
私達は、ご夫婦とおしゃべりして、
少しだけ売上げにも貢献。
小さな暖炉の「薪ストーブ」を見せてもらい、
青々とした山と田の景色を藤椅子に座ってぼーとしばらく見せてもらったりしながら、
ゆっくりと後にした。
それから岩茶房「ことり」で
開催された初夏のイベント、
南条好輝さんのひとり語り
「心中天の網島」(近松門左衛門の第24話作)を。
外は5月で新緑が萌え、
その鮮やかな緑の庭をガラス越しにみながらの、「近松」。
なんだか不思議な世界だった。
おいしい武夷岩茶を4煎もいただいた後、
古典の話りが滑り出したのである。
盛り上がりは、やはり「天満紙屋内の場」か。
水都・大阪に架かる橋を1つ1つ渡りながら、死に向かってひた歩く男女の情念。愛憎と裏切り、そして心中。
映像はまったくないので、
たよりは低い男性の声と、想像の翼だけ。
学生時代に、深夜ラジオを聞きながら目をパッチリと見開いてゾクゾクしながら聞いていた、
あの興奮と幸福をふと思い出す。