月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

日記 数カ月ぶりの打ち合わせで大阪へ

2020-08-05 23:10:00 | コロナ禍日記 2020

 

 

6月12日(金曜日)

 

朝7時に起きる。

 朝フランのシリアルに干し柿やレーズンをいれ、牛乳をかける。野菜サラダ。朝ドラをみながら朝食を食べ、パパさんを駅まで送迎する。

 

帰宅後にヨガ、瞑想10分。

 

 カフェオレをいれて、原稿をもう一度チェック、校正、推敲、、、。ちょっと違うのではないかという箇所がみつかる。インタビューの言葉をもとに想像でかいているが、真実はもっと奥にあるのではないかという気がして、テープおこしをした原稿に戻って読み、訂正した。ほか数カ所、小さな発見もあって、1時半後に2本だす。

 コロナ禍の中、社会のニーズを感じて立ち上がった老舗企業。社長の気概など原稿にできたことで、わたしもほんの1ミリでも役に立てたかと、感じた。企業の広報部やクリエーターを志す方が主要読者の専門誌なので、書くテーマが面白くいつも刺激をもらう。

 

昨日のスープの中に中華麺をいれて、味を調整し、5分でお腹のなかにいれて、シャワーを浴び、大急ぎで外出準備。坂道を走って駆け下りる。

 

 4時から、梅田で打ち合わせ。ちょうど2ヶ月ぶりに電車にのるが、コロナ前とさほど変わらない。

 ヒルトン大阪の喫茶室。人は多い。最初、マスクをしたまま話していたが、周囲をみわたすと、ほぼ誰もしていない。ディレクターもマスクなし。途中でマスクを外すが、少し距離のある話し方になってしまう。40分もすると、離れていた時間が徐々に薄まってきて2時間を過ぎたあたりから、普段の関係性に戻っての打ち合わせとなった。

 

 外にでると、街が新しくみえた。ヒルトンイーストから西梅田あたり。阪急梅田の改装後のビルなど。夕方の光の紗による魔法だろうか。美しく完成された彫刻みたいなビルに夜の照明が灯りはじめたばかり。数メートル先では、恐竜みたいな工事現場の中の機器が、ゆっくり、恐る恐る動いていた。

 

 ヒルトンハービスエントの「アンジェ」で文具をみて、食器をみて、ホームウエアをみる。購入欲を押しとどめて、書棚のコーナーへ。5冊ほど本を手にしていて、結局、ジュンパ・ラヒリ「べつの言葉で」、雑誌「トランジェスタ」を購入。

 神戸の好きな店「フランジュール」で、水牛の皮を用いたレザーバッグが気に入って、もう少しで5万円もの大金をはたくところだったが、「少しだけ考えてみます」といって、きょうのところは諦めた。久しぶりのひとり外出に、最寄りの駅についた頃はすでに8時近くになっていた。

 

 薄曇りで鬱蒼とした緑が連なる湿気の中を歩き、あぁリゾートっぽいこの街にかえってきたと思いきや、どしゃぶりの洗礼を浴びる。こんなの久し振り! 頭から肩から、重たい水をどんどん浴びせられ、周囲は高い木々に溢れているのに、わたしの通り道にはなくて、ちっともかばってもらえず、真っ暗な大雨の中をずぶぬれの犬の気分で駆け出すみたいにして帰る。

 

 帰宅後、シャワー。着ている洋服をすべて洗面台のボールにいれて、液体洗剤をいれた。きょうはパパさん出張である。

 サラダと、トマトのスープだけつくって、デパートで買ったささやかな和風弁当。しかし……、楽しみにしていたのに、なんて味気ない。かぼちゃをたべても、海老フライもきんぴら……、どれも似たような味。口がへの字に曲がってしまいそうだ。

 

 そこでジントニックを1杯だけつくり、映画をみながら、ごまかして食べることにした。

 

「男と女 人生最良の日々」 男戸女の53年ぶりの再会。

 



 クロード・ルルーシュ監督が1966年に手がけた「男と女」のスタッフ&キャストが再結集した続編。前作主演のアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが同じ役柄を演じ、53年後の2人の物語を過去の映像を散りばめつつ描いた作品だ。

 クロード・ルルーシュ監督の衰えない台詞のうまさに、あっという間に世界観に連れ戻される。女優、アヌーク・エーメは最高。コロナ禍からよみがえるパリの美しさ。道路から霧がたちのぼる夜明け前。凱旋門からコンコルド広場と、朝のパリの街を走りまわる車のシーンが特にすばらしかった。彷彿とする。

 

 満点の星空の中、洗濯物を干し、11時に就寝。