月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ひとり時間の、つぶやきみたいなもの

2020-09-11 13:04:24 | コロナ禍日記 2020
 
 


 

 

 

7月1日(水曜日)

 

朝5時におきる。ベッドの中で少しネットをみて、ベランダにヨガマットを広げてヨガ10分。瞑想20分。そっと目をひらいて飛び込んできたのが、水色の空に雲がながれる清々しさ。

さらさらと海か川のようなせせらぎの音を私に運んでくれる大きなケヤキだ。木は、動かないが、きっと目があるんじゃないかと常々思う。視線を感じて真後ろをふりかえった時に、ばっちり目が合ったのを感じたから。(少なくとも霊感はあると思う)

気持ちが通じたといえるだろうか。一瞬、音が消え、時がシンと止まった。

 

昨日は一日中、どしゃぶりで風もピューピュー !ゴーゴー! とすごい音を響かせて、近所の木々の枝も折れるほどの勢いだった。今朝には混沌とした濁りが一層されて美しい朝がはじまったようだ。

 

お昼ごはんには、ゆでたコーン。グリーンサラダ。塩さばを焼き、味噌汁。

 

Nを最寄り駅まで車で送迎(東京に帰る)その足で、近くのケーキ屋でビクトリアサンドイッチのケーキ、リュバーブのジャム、ココナッツチョコのクッキーを買う。

 

帰宅後すぐ、紅茶(ダージリン)を丁寧にいれて、親指と日差し指でツンとはさみ、リュバーブのビクトリアサンドイッチのケーキを食べる。

きび砂糖だけのやわらかい甘さに、リュバーブの酸味があい、とたんに気分のよくなるデザートだ。もう、飛行機は羽田に到着した頃だろうか。

Nのことは、頭から離し、遠いかなたまで飛ばしてしまおう、と念じる。

 

3時から、夜の12時まで仕事をして過ごす。2本、交互に書き進める。

 

静かだ。

Nは、わたしがポメラを叩いていようと、仕事部屋でパソコンを開いて、うんうん、イライラしていてもお構いなし。コトリともさせないで現れて、わたしの隣に堂々と立つ(集中してると心臓が止まるかと)あるいは、側でごろごろとして雑誌のページをめくるか、スマホをいじっている。遠慮など、知らんよという顔。

 

まるで猫のようなしたたかさで、ひょいひょいと現れて、共にまみれようよ、遊ぼう! と誘惑する。幼い頃からそうだったが、15年経ってもちっとも変わらない。むしろ、小・中学生時代は、おとなしくリビングで電気もつけず、眠って待っていたりしたけれど。いまは、東京、兵庫と離れているので、全く容赦なく、近くにやってくる。

それが、お風呂の中だろうと、堂々とにっこりとかわいい顔をして笑って入ってきて、わたしを笑いの渦に誘い込もうとする。不思議な娘だ。ことし26歳。

「 いや、わざとサービスしてくるているんだよ」(パパさん談)

 

深夜1時。そんなことを想いながら、お風呂の中でポメラのキーボードもたたかずにいて、湯気の中で、思いを巡らせていた。あがって軽く筋トレをして2時過ぎに就寝。本はほとんど読めていない。