月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

終いの鍋

2021-04-12 01:09:00 | コロナ禍日記 2021







 

2021年3月14日(日曜日

 

 夕方の便で、Nが帰省してきた。最寄り駅よりも、ひとつむこうの駅まで車で迎えに行く。ついでに阪急百貨店で食材を調達。宝塚牛乳で、瓶入りのプリンとシフォンケーキを買う。1月以来なので、随分と会わなかった気がする(仕事で東京へ出向いて以来)

 

 今晩はあんこう鍋にした。あんこうの肝をだし汁にといて、滋養たっぷりにしたスープで、身がほろっと崩れるやわらかい白身の魚をふーふーっといいながら口に運ぶ。

 「おいしい。たらよりもずっといい」。鮮魚の鍋にするなら、くえ鍋かあんこう鍋がいい。うまいなーといいがら、また口に運ぶ。あんこうの身は淡白なうえ、骨がおもちゃの骨みたいに透きとおって美しい。口にいれた時に身離れもきれいで、ほろっと剥がれて、吸うとちょっと骨がしなるところも気に入っている。今回も奈良吉野の葛きりを入れたのがよかった。夏の冷夏となるほどの純な口当たり良さ。鍋でもいい仕事をしてくれる。

 ほんのちょっと原稿を残していたので、滋賀県の純米吟醸(萩の露。里山)に少し炭酸をいれて軽く飲む。今回のNの滞在は6日間だという。