月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

一通のハガキと、夏の風

2013-07-06 22:40:53 | ご機嫌な人たち



一昨晩も昨晩も、風が強い。
わたしの家は風が吹くと家の周囲を取り囲む植栽がものすごく激しくざわわ、ざわわと
音をたてるので、それが波音のように聞こえる。
寄せては返す、波音。夏に風が吹くと、波音(葉音)が激しくなるのが気持ちいい。

昨晩の雨風とうってかわって、今日の昼間は少しだけ蝉が鳴いた。
蝉はほんの1時間くらいだが、「ジー」と弱い声で夏を告げていた。
もう夏だ。風が新しい季節を連れてきた、と私は一昨晩あたりから折にふれて気付いていた。

そう考えたら、思考を切り替える意味でお風呂に入ろう!と思い立つ。
とりあえずお風呂だ!
そう、なんやかんやと理由をつけては、私はよくお風呂に入る。
特に、朝と夕方のお風呂、真夜中のお風呂は格別である。
外の窓を少しだけあけて、お風呂に入る。

今日はよい香りの石けんが欲しかったので、ついに開封したのは、これ。





イスラエルのガリラヤ地方の山岳部・ピキインという小さな村で、
それもドルーズ族という部族の一人の女性・ガミラさんという方の(誰よ、それ!)
秘密のレシピでつくられたという、美しい石けんをおろしてみた。
イタリアのアレッポの石けんに少し似ている色だが、もっともっと手触りも色もやわらかい。
「ガミラシークレット」というちょっと怪しい名前の石けんは、何種類もの厳選されたハーブと
ピュアオリーブオイル、シアバターなどをベースに、数日間釜焚きして、
何カ月も熟成させて仕込む上質なものみたい。
工程はともあれ、私は控えめでやわらかい(ほのかな)ゼラニウムの香りにやられて
衝動買いしてしまったのである。
専用の泡たてネットで、たっぷりあわあわ状態にして、
すこぶる気分よくいい香りに包まれてお風呂の時間を愉しむことができた。

お風呂からあがったら、その大切なものはちゃんとまだ存在していた。
当たり前のコトなんだけど、カタリとも動かず、
ダイニングテーブルの上できちんと自分の居場所を確保していた。

「何?」って…。
そう、大学時代の友達からの便りだ。中には絵ハガキが2通納められていた。
内容は書くのも勿体ないような大切なメッセージなので控えるが、
ものすごくうれしかった。

一通の絵ハガキは、ハワイかどこかのプールの中から顔をのぞかせて笑っているイルカと水のしじまを描き、
もう1通は8月の空と灼熱の砂地。カラフルなTシャツ(14枚)が風にピラピラとはためいている
構図のものだ。
夏らしいフォトをみるだけでリゾートな気分がいっぺんに降ってきた。

彼女は、わたしのこの拙いブログを愛読してくれているという(忙しいのにありがとう♪)

じぇじぇじぇ!びっくりした。
思ってもみなかったので
うれしかった。

一昨年夏から、子宮筋腫全摘出を経験し、その悩みの質やプロセスを
少しでも情報として共有してもらえたらいいなぁと
その思いだけで始めたブログであったが。
それも不定期で、全くプロの綴るものとは思えないような
超・個人的な行き当たりばったりの内容ばかりだが。

それでも、普段会えない少数派の大切な友達が、どうしているのかしら、などと気にして
覗いてくれていると思えば、それだけでものすご~く書く意味がある。

私は本当をいえば、実は自分の実験の一つとしてこのブログを始めた。
日々自分が何を感じ、どう思っているのか。
一瞬のかけがえのないものを、
かけがえのない存在を忘れないようにこの手(フィルター)で蘇らせたらいいな、と。
それらを少しずつだが、書きためられるというこのシステムが面白いなあとも思って始めた。

それはそれは、自身の人間力なんて微塵の自信もないけれど、飾らない「素」に近い自分というものを
他人にさらけだしてみるということもモノ書きとしてそろそろ必要なんじゃないかな、とも
思ってみたりして始めたのだ(そう、当初はね)。

その便りの人は、ここで宣言するのも変だけど
私のこれまで知り合った友達のなかで、
1・2を占めるほど面白く、愉しい人だ。
ユーモアのセンスが誰よりも自然でいてピカイチなので、(存在そのものがユーモアの結晶。
ネタ上手とか、笑いのセンスがあるという意味では決してない)
その特技をいかして高校時代からショートマンガや長編マンガを描いて仕事にしている。
(時々は随筆のようなものも書いているらしい)。


久しぶりに本棚から、彼女の作品を取り出しもういっぺん味わってみた。

やっぱり、どこまでも、おもしろいなあ。
作品をちょこっとずつ輪切りにして眺めたとしても、どこの切り口もみずみずしいし、彼女らしい。
それに登場人物を書く
(愛する)まなざしが日だまりみたいに、あったかい。
愛すべき作品のなかの人物がイキイキと生活しているのがいい。平和だね。
絶対にこの世に存在していると信じたくなるような信憑性というか信頼性が作品にはあふれている。
病気をせずに、どうぞ元気でいてほしいなあと節に願う。

ハガキひとつにしても思う。
プロの書き手(世の中で成功している人)の文章は短くても、
絶対に忘れない一文とか、光、みたいなものがちゃんとあるからすごいなあと。
とうてい近づけないけれど、
でも、いつ会ってもただの大学生の頃の、
よく飲み歩き、よく遊んでくれていた時の顔のままで、対面してくれるから、それもうれしい。
笑って、笑って。お腹の底から信じられないほど笑いあえる友達だ。

私は一人っ子なのできょうだいの存在というものに猛烈に憧れて生きてきたけれど。

その分、回りにいてくれる友達や仕事仲間、クライアントはユニークな人が多くて、
そう人に恵まれてこれまで生きてこられたのが、一番の財産なのかもしれない。
結構わがままな願いだが、誰一人として死なないで(変わっていくのはよい)
その人らしく生きていてほしい。
そして時に会いましょう!


(これは後日談。加筆である。マンガ世界に疎い私は便りの友の最新作品をみようとAmazonをクリックして、驚いた。
☆☆☆☆☆がほとんどではないか。さすが!
投稿者のコメントを読み、胸が熱くなった。よいファンを、がしっとつかんでいるなあと。
全く例えはよくないが、私が取材してきたほんとうに旨い、いい店には、
いい顧客が涼しい顔で、さりげなく店を愉しまれている。
ファンの存在は力であるだろう。私も、最新作品を迷わずクリック!!なのであった)

ガンバレ!友よ
















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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
かけがいのないもの (あさどらファン(^T^))
2013-07-07 09:47:27
パッケージもすごく素敵ですね!
いつまでも変わらずに(もちろん内面)ずっといたいものですね!
返信する
そうですね~ (アンデル)
2013-07-07 15:41:25
あさどらファンさん

はじめまして、ようこそ。
わたしも朝どらファンです。
毎日1日3回「ゲゲゲの女房」を観るようになって以来、朝15分の朝どらからは目が離せません!
小さい頃、母が観ていた頃は、自分がそんな風に朝どらファンになるなんて思いもしなかった…。
「あまちゃん」は1日1回しか観ませんが(笑)、
見損なった日には膝を叩いてくやしがるほどです!

変わっていくことは仕方ないけれど、
(生きるとはそういうこと)
新しい自分や人を、その時その時で
変わらずに愛せればなあと思います。
(生意気いってすいません)

来年春の朝どらは、翻訳家の村岡花子さんを描くそうですよ。(モンゴメリ等の翻訳で知られる人)
それも今から愉しみじゃないですか?




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赤毛のアンですね (あさどらファン(^T^))
2013-07-07 19:55:13
私も同じく朝ドラ歴はもっと古いかな~
鳩子の海、雲のじゅうたん、風見鶏(←これもう一度見たいです)幼稚園~小学校低学年から母が見ていたので同じく傍らで見ていました。
面白かったので良く覚えています。

途中は抜けてますが、「カーネーション」から
見出しました。
最近も見ていますが途中から話が作り手が変わったかのようになりますね。
いいんだか、よくないんだか…。

今度のは面白そうな予感がしますね☆☆☆
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全部知ってる(笑) (アンデル)
2013-07-08 11:44:07

鳩子の海、雲のじゅうたん、風見鶏ほか、書いていらっしゃるの全部知っていますよ(笑)
ほかには、マー姉ちゃん、おしん、澪つくし、純情きらりも。私も同じように母の傍らで、一人で、それとなくみていた記憶があります。

「カーネーション」大好きした。女の格好よさ、せつなさが交互にやってきて、時々、目を真っ赤にして観ました。

「あまちゃん」はエンタメとしてすごいよね。
支持の高い作品を編む、手法というか、
構成力みたいなところが、面白いなあと思います。

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