月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

台湾っぽさを食す ある日の外食日記

2020-08-31 23:41:00 | 大阪ごはん

        



6月24日(水曜日)

 きょうから、パパさんは出張なので私とNとお留守番だ。

午前中は仕事にあてる。

 お昼はNが卵焼きとビシソワーズ(じゃがいもスープ)、わたしが空心菜の味噌炒めをつくる。

 午後4時を過ぎたあたりで痺れを切らしたNが「もう閉まっちゃうわよ。お目当てのものは食べられないよ」と部屋に乱入、急いで用意して出かけた。

 

 自宅からJRに乗り、東梅田から谷町線にさらに乗り継いで天神町筋六丁目まで。歩いて10分の「南所豆花」。台湾スイーツの専門店へいく。

 台湾や香港、あるいはベトナムでのアジアスイーツには目がないのである。

 


 わたしは、南所豆花を、Nはレモン愛玉ゼリーを注文した。


(南所豆花)




 お好みのトッピングを4種類からチョイス。どれもおいしそうで迷うがこの日は緑豆、仙草ゼリー、ピーナッツ、タロ芋を選んだ。

 素朴で素糖のシロップ、蜜がさわやか。後味すっきり。ピーナッツは柔らかく煮てあり、仙草ゼリーは漢方薬やハーブの香りがさりげなく、舌の上にシンとした特有の芳香、ひんやりする。緑豆はカルシウム、鉄、ミネラル分も豊富だとか。

 

 Nのレモン愛玉ゼリーも、夏らしいのんびりとした味。愛玉子というイチヂク属の身を砕いて固めたプルプルのゼリーでレモンがいい仕事をしている。

 

 カウンターに陣取っていたので、ガラス張りで外をながめながら食べた。台湾のスイーツ。

 自転車にのって、流れていく小太りのおばちゃんや日に焼けた60歳くらいのおじさんがゆらゆらと転けそうになりながらゆっくりペダルを漕ぐ(脚をがに股にして)ところや、南国風に全く手いれされていないのび放題の荒れ果てた巨大な観葉植物などをみながら食べた。ここは、都会じゃない。不思議な拠点であるのだった。大きな倉庫のような会社から人が1人、2人と出てくる。

 遠く台南に想いを馳せる。

 

 再び、電車で梅田まで戻り、阪急百貨店や、ハービス界隈などをみて歩く。ベルギーブリュッセルのブランド、レザーメッシュのドラゴンの鞄を、再びみていた。熟練された職人による手編みの鞄。いいなぁ。高し。(6万くらい)

 

 帰り際。再び、台湾っぽさを味わいたくて「台北餃子帳記」で軽くたべることにした。台北の西門近くにある人気店。熱気むんむんで大にぎわい。すごく3密な空間。大丈夫か! 出ようとしたが、「大丈夫どうぞ」の声につられ、ほぼマスクを外さないで、器用にささーと食べる。あとは通路側の下を向いていた。

 オーダーには、張さんの、棒焼き餃子。水餃子。蒸し鶏のネギ塩まみれ。魯肉飯(ルーローハン)






 ライチ酒のレモンスカッシュをぐびぐびと飲みながら、手軽につまむ感じが、店の雰囲気に合う。ああ、台北に、台南に行きたい。

 ソーシャルディスタンスはなく、猥雑な空間で、心からくつろぐことはできなかったが、味はまずまず。このライチ酒の心地よさにいやされて、どれもおいしくいただけた。

 


 夜。最寄り駅へ。わざと遠回りをして、梅雨の晴れま、ひやっとした森っぽい夜の風と月を楽しみながら家路につく。

 

 



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