月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

「戸惑いの89歳 スマホデビュー!

2021-02-24 10:45:52 | 随筆(エッセイ)
 
 
 


 

 

「ただいま」

 

声をかけてみたが返事がない。玄関で靴をぬいで廊下を歩いて台所へ行き、居間、奥の仏間に入っても気配はなかった。あれ、どこへ? と思った瞬間に、レンガ色のセーターの背中がぬっとみえた。

 

縁側で、その人は、橙だいだいの木をみていた。冬の終わりの弱々しい日だまりの中にいた。

 

こんなに、小さな人だったっけ。

 

背中の小さなその人は、わたしの幼い頃と、とてもよく似た微笑み方で縁側からわたしのことを見上げていた。母のことだ。

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戸惑いの89歳、スマホデビュー!|みつながかずみ|writer|note

「ただいま」  声をかけてみたが返事がない。玄関で靴をぬいで廊下を歩いて台所へ行き、居間、奥の仏間に入っても気配はなかった。あれ、ど...

note(ノート)

 

 

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