雪がちらついてました。寒いですね。
いま、幹部会の真っ最中。これからの計画、現実の問題の解決に向けて話し合いの真っただなかです。ディレクターは夕方4時から、結局11時過ぎまで。
たまに、爆笑させてくれるジマやセトのギャグも炸裂しますが、今夜はいつになく真剣な、顔、顔。熱いディスカッションが飛び交っています。
昨日は、フナこと船台くんのスタリスト試験でした。
カットモデルさんに来ていただき、カウンセリングから、シャンプー、カット、ブローまでを時間内に完成させねばなりません。ディレクターふたりと私、3名で審査をさせていただきました。
まわりでは、自身の課題の自主レッスンをしながらも、ほかのスタッフが心配そうに見守ってくれていました。
フナは、今回で三回目。技術も必要なのは当然ですが、スタリストとしてお客様に全責任を負い、アシスタントを励まし、教育していける人であるかどうかを問われるのです。1年生のころから、掃除から始まり、サロンのシステムを覚え、シャンプーを学び、カラー、ワインディング、ブロー、セットアップと技術を進めて、ようやくカットに。
カットも、ウイッグ(人形)から、既定のすべてのスタイルをこなし、自由創作を経て、人頭モデルへ。これもすべて、先輩たちが指導し、修正し、試験まで。その苦労は、言葉ではいい表せません。順番に、それは繰り返され、伝統みたいなものになっていきます。体罰など決してありませんし、レッスンしろとも一切言いません。すべては、自分のためですから。
すでに、70名以上カットモデルさんをこなしているフナですが、最終試験において一番は人間力やコミュニケーション能力、場の空気を読んで自分を変化させる能力が求められているように思います。
技術は、方法を学び、自己でレッスンを繰り返し、そのうえで客観的な視点から必要なコツのようなものを学んでいき、場数をこなせば形になってきます。しかし、内面の人間力やセンスみたいなものは、教えようとしても、なかなか伝わりません。技術なら、その場である程度の段階へは、伸びが短時間で期待できても、センス・人間力は長い時間を要するのです。上の先輩たちも、そのあたり、自分の経験を踏まえて、懸命に指導してくれています。学ぶ方は、教えてもらって当たり前と考えがちですが、同じ時間残って後輩の面倒を見てくれている先輩たちの愛情は、なかなか伝わりにくいようです。
フナは、見た目は日本人離れした、ホリの深い2枚目で、やや強面ですが、すごく優しい子で、いまも後輩のレッスンを含めて、面倒をよくみてくれています。後輩の悩みの相談にのったり、率先して昨年末の忘年会でも、司会をかって出ていました。三田に行ったとき、夜のレッスンの際に、後輩にマクドナルドのハンバーガーを買ってきて、食べさせてあげている場面を1度といわず見ています。
若いころは、無条件に差し出された愛を、当然のごとく受け取り、意に介せずというのは、誰にもあることとはいえ、その苦労は先輩になり、自分も教える立場になって初めて痛感するのです。その小さな人間関係がいくつも重なり、集まって大きなコミュニティに。それらが無数に集合して社会や世の中が成り立っていると確信します。
そんな彼をよく知っているだけに、早く合格させてあげたい。
たくさんのお客様に支持されるスタイリストに育ってほしいと日夜、切に願っているのです。