Frany's Yard

Frany's Yardはトリュフのスタッフたちが、アンティークの話、日常の中の嬉しい、可愛い、心地いいことを綴ったミニコラムです。

when i goose step

2005-08-31 20:01:58 | Weblog
ここ2日程残暑も穏やかになって来て、「もう夏も終わりかぁ。」などと感じているsabaeです。こんにちは。一昨日は残暑が最後の力を振り絞ったような暑さでしたが。力尽きたか、残暑。

今年の夏はいろいろ思い出できましたか?今頃は皆さん夏の思い出を反芻されている頃ではないでしょうか。私は夏、特にお盆に休みが取れない生活を長く続けていましたが、今年は3日も盆休みが取れました!内1日は元々休みの曜日なので実質2日ですが、気分が違います。そうです気分です。8/17のエントリと話が前後しますが、sabaeの夏の思い出話です。

そんなやっとの思いで手に入れた盆休み、夏休みの小学生のように異常な早起きをしてテンション上げ上げで張り切って出かけました!出かけました!・・・トリュフへ。
いや、裏庭の植物に水を遣らないとないといけないし。バラの元気が無いので手入れもしなくては。まぁこれはこれでお休みを満喫しましたよ。脚立に上ったり。楽しかったです。
その帰り道、トリュフから御所(京都御苑)の中を通りつつ、烏丸通沿いにある時々覗く喫茶店に顔を出しました。まぁ御所の西向かいです(範囲広すぎ)。その店はおばあさんが一人で切り盛りしている、小ぢんまりした、コーヒーの美味しい店です。
京都には観光地らしく喫茶店が多いようで、老舗と呼ばれるような喫茶店も多いのですが、その店はあまり観光客も入ってこない地元密着型の喫茶店です。内装も80年代に改装しているので、レトロ感が微妙なのもポイント高いですね。初めからクリーム(関西ではフレッシュ)が入っていたりもしません(京都の老舗系喫茶店にはデフォルトでクリーム入っている店が結構あります)。そんな店なので、ゆっくりコーヒーを味わいながら物思いに耽るのに持って来いの店のようですが、そーは行かないのがその店の良い所だったりします。

おばあちゃんしゃべるしゃべる。

私も今までに何度か、本持参で読書を試みた事もありましたが、完遂できませんでした。無理です。おばあちゃんの言葉は無視できませんし、一度乗ってしまったら、其処からは無限ループです。そんな店と言うかおばあちゃんなので、今ではおばあちゃんとの会話を楽しみに通ってます。そんなある日(つまり私の盆休み中)の事でした。

いつものように私とおばあちゃんが雑談(郵政民営化関連法案の話とかしてた。)を交わしている店に、見るからに観光と言うか、放浪と言うか、旅の途中に見える若者が入ってきました。
真面目そうな学生さんと言う感じでした。その店は滅多にメニューを出さないのですが、若者は勇敢にも「メニューありますか?」とかましやがった!おおっ!スゲエ!俺まだメニュー見た事ないよ!4時過ぎてからばーちゃんにフードメニュー頼む勇気が君にはあるのか!?年寄りに疲れる事させるんじゃないぞ!空気読めよ!
とか思っていたら、「レモンスカッシュ。」ですと。
焦らすなよ。
丁度その日、フードメニューが大量に出た(勿論昼ごはん時にいっぺんに)と言う話を聞いていたので、ちょっと心配してしまった。いくら元気だとは言え、80近いおばあちゃんなので、あまり仕事をさせるのは気が引けてしまう。おばあちゃんも内心ホッとしていたのでは。
暫くは静かな時間が過ぎた店内でしたが、やにわにおばあちゃんが沈黙を破ったのはお約束。一瞬で若人の名前、出身、現住所、バイト先、所属大学、時給迄詳らかに晒してしまいました。そこまで行ったら私もフォロー入れない訳にはいかないので、会話に参加。子供の頃から聞き上手との評価を得ていた実力全開で若人の現在の生活をほぼ完璧に聞き出しました。彼女の有無とか。ってか無とか。
その若人は東北の方から青春18切符で、かねてから一度来て見たかった京都に夜行列車で一泊二日で来ていたらしいです。強行軍ですな。若いっていいな。俺だったらそんな暇あったら寝てるよ。それでも流石に若人は好奇心旺盛で、どこそこの銭湯とか、どこやらの寺やら、お守りを買うには何処の寺社がいいかとか訊いてました。私とおばあちゃんには良い暇つぶしになっていた若人ですが、彼にしてみれば、初めてで右も左も分からない状態で「ふと」入った喫茶店で親切に色々な(主に寺だが)場所を紹介してくれた、親切なおばあちゃんと客みたいになっていたのではないでしょうか?だとしたらオッケーです。望むべくもないことです。正に本懐です。そーやって、若い人がバイトの合間に偶々京都にやって来て、でもそんなにガイドブックで下調べもしてないままに京都の町を(レンタル自転車で)彷徨った挙句に、ふらっと入った喫茶店でなにやらおせっかいな現地の人と会話を交わした事が、いつか彼の思い出にでもなればこんなに嬉しい事はありません。いつかまた、年を取ってからでも、愛する人と再び京都に来たときに、懐かしい思い出として私のことを思い出してくれれば、私にとって最高の贈り物になることでしょう。その頃には喫茶店なくなってると思うけど。あと、だから彼女つくりや。な?

とまぁ、こんな楽しい思い出がこの夏できました。よくよく考えてみたら私の思い出じゃないような気もしますが、いいんです!いいんです!盆休みだから!


写真は文中に出てきた喫茶店で分けてもらっている、コーヒー豆です。種類はブレンド。何をブレンドしたのかは分かりませんが、味のバランスがいいので普段飲みに使ってます。あ、楽しいお店なので気が向いたら探してみてください。


sabae


古本まつり

2005-08-17 03:13:17 | books
トリュフの裏庭に水遣りに行ったら、途中で「下賀茂神社古本まつり」に出くわしました。数年前から、通勤途中に見かけ、「行きたいなぁ。」と思いつつ遣り過ごして来た祭です。お盆に休みなんてありえない環境に長く身を置いていたもので。仕事に遅刻しそうだったから。

ガキンチョの頃から古本屋大好きでしたから、行きたいことは行きたかったんですけどね。ある意味そんなイベント行かなくても近所に幾らでも古本屋あるんですが。でもまぁ、偶にはそのテのイベントに参加した方がいいかなぁ、と思いまして。現在の私の仕事的に、そのテのイベントにお客様が来てくれないと商売にならないもので。立場を入れ替えてみないとお客様の気持ちが分からないんじゃないかと思って行ってみるか。ヨッシャー!いくぜいくぜいくぜー!!!!

ホントは雑誌のバックナンバー目当てだったのですが、いまいち欲しい物がない。「DOLL」とか「FOOLS MATE」の18年ぐらい前のが欲しかったんですけどね。しょーがない、なんかてきとーなもん買ってくか。

で、コレ買ってみました。

博物研究会出版部発行「全植物図鑑」

おいおいえらくデカク出たな。いくらなんでも全部は無理だろ。905ページ×4しか載ってないし。植物ってもっと一杯あるよ?ま、当時の日本に自生してる植物をできるだけ網羅したってことでしょうね。イラストは恐らく全て書き下ろしなので、それだけでもたいした物なんですがね。んで、写真のページの赤線(確認出来るでしょうか?)がいいなぁ、と。何故に「ニンニク」に赤線!?あと「ノビル」って。恐らくこの本の前の持ち主は、この本で自給自足生活を充実させようと考えていた模様。いいな。昭和10年で既にスローライフ実践してたんだ。ハヤすぎ。<根本的に間違い

古本を買う醍醐味って、前の持ち主の書き込みだと思うのですが、どうでしょうか?そりゃま、古本的価値は減ずるでしょうけど、しかし、前の持ち主がどのようにこの本を利用してたか、何をこの本から学んだか、を垣間見ることが出来る(と思う)と言うことが私が古書籍を買う理由です。

これってアンティークのキズや汚れを愛しむ感覚と同じだと思います。

全てのヒトは自分が生きてきた足跡を、次の世代に残しているのだと思いつつ。
ちなみにこの本200円でした。「安っ!」って思ったら定価は3円50銭だそうで。昭和10年で。それは高いな。やっぱり古いものを買うのは値打ちがある事だと思いました。

sabae


HEAVY TRASH"HEAVY TRASH"


Mr.know it all

2005-08-17 01:44:47 | Weblog
今日、(あ、既に昨日ですね)は大文字でした。所謂「五山の送り火」です。所謂とゆーか正式名称ですね。しかしながら、京都の人間にはあまり馴染みの無い言葉だというのも事実なんです。物心ついた頃から「大文字」と言う言葉しか、会話の中では、使ったことが無い事に気付きました。確かに昔から「大文字焼き」と言う人は京都の人ではない、と認識していましたね。「そんな言葉があるんだ。」と思っていました。それでちょっとネットで調べてみましたら、wikipediaによると、京都人は「大文字焼き」と言う言葉に嫌悪感を抱くらしいです。私はそこまでの感情はありませんでしたが、まぁ、私は京都に住んで3代目なので、先祖代々京都に住まう京都人の感情までは分かりかねます。

裏庭に庭弄りに行った帰り、出町辺りを通ったら、凄まじいまでの人出でした。6時頃だったのに。点火は8時ですよ?「気合入ってんなー。」と言うのが正直な感想です。

正直私にとって「大文字」ってのは、毎年ある、わざわざ見に行くような行事ではなかったので。鳥居以外は家から見えるものでした。ってか普通家で見るものだと思ってました。結構でっかい行事だったんですね。ちょっとびっくりしました。

しかし、大文字って結構マヌケな絵面だと思うのですが、どうでしょうか?昔から、精霊を送り返す行事なのに、その字が「大」って、と。意味が分かりません。「妙法」とか「船」とか「鳥居」はわかりますが、「大」って何の宗教的意味があるのか分かりませんでした。多分、山に字を書くにあたり、「でっかいから、大、でいいじゃん?」とかいって大にしたんだろう、と思っていました。で、調べてみたら、その起源には諸説あるようです。空海とか足利とか近衛とか。権威付けに思えてならないんですが。多分でっかい字だから「大文字」が正しいと思います。

写真は「幸楽屋」さんのお菓子です。夏らしく。

sabae