Frany's Yard

Frany's Yardはトリュフのスタッフたちが、アンティークの話、日常の中の嬉しい、可愛い、心地いいことを綴ったミニコラムです。

White Pepper Ice Cream

2009-01-22 15:47:05 | food
さてこの道具達、古いものではありません。ピンと来る方も多いでしょうが、見たこと無い方は何の道具だか見当も付かないかもしれませんね。単一用途の特殊な道具です。外国ならクイズになるレベル。

鉄のナスは糠床に入れると、茄子が色鮮やかに漬かると言うもの。陶器のドレイナーは、糠床に埋めて、余分な水分をためる為の物です。
そう、実はこの夏から何を思ったか糠床を作ってしまいまして、乳酸菌の世話に追われる日々を過ごしています。ご存知かもしれませんが、糠床は毎日1~2回はかき混ぜなければカビてしまう訳です。生まれたばかりの乳酸菌を残して旅行なんてできません。このところずっと外泊禁止な生活です。
sabaeです。
こんにちは。


あれはちょうど水茄子が出回っていた夏真っ盛りの頃、水茄子の糠漬けが食べたくて食べたくてつい勢いがついてしまった事を思い出します。暑さで頭ヤられてたのかも知れない。

早速煎り糠と、ほうろう容器を買ってきて、水と塩を入れてまぜまぜ。
子供の頃は動物やら虫やら飼ってたことはありますが、菌類ってのは初めて。目に見えないモノを育てるってのも妙な感覚です。

考えたら旅行どころか、外食後飲みに行って深夜に帰宅なんてのも危険な気がする。仕事が終われば寄り道せずに帰宅か。なんでこんなやっかいな物を飼うようになったんだろうと自分でも不思議です。両親があまり漬物を食べなかったので、実家の食卓に漬物が登ることさえ稀、必然的に食べる習慣もなかったのに。
一応糠らしくなった頃から、夏だったこともあり、念願の水茄子や、定番の胡瓜、瓜あたりから色々試してみたのですが、今ひとつ美味しい糠漬けの味というか、正解の味が良く分からない。食べつけてないからなぁ。

かくなる上はトライ&エラーで自ずから出した答えを正解とするしかない。つまり下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦。カモンまぐれ。

で、漬けました。漬けましたとも。目に付く野菜を片っ端から。シンクの三角コーナーかと見紛うばかりに。
茄子、胡瓜、瓜、オクラ、茗荷、人参、南瓜、万願寺唐辛子、長芋、パプリカ、ズッキーニ、セロリなどなど、時期的に安かったと言うだけで、食べるのが追いつかない勢いで試してみたけれど、とりあえずは全部食べられるものになったから不思議だ。いや別に不思議では無いのかもしれないけど、なにしろ初めてだったもので不覚にも感動してしまった。ひょっとして何入れても食べ物になるのか!?

とは言えいくらなんでも生ごみが食べられるようになる、なんてことは無いと思うので無茶はしないですよ。せいぜいブロッコリーの茎とかキャベツの芯ぐらいです。ってか、「ブロッコリーの茎の糠漬け」は相当美味しいのでお勧めです。漬ける前に皮は厚く剥いてね。

そんな糠床ライフも、寒さと共に醗酵速度が落ち、漬ける野菜の種類も蕪と大根ぐらいになって、ちょっと飽きてきました。もう少し下手な鉄砲を撃ってみるのもいいかと、ちょっと変わった物に挑戦する時期でしょうか。
どんなものが漬けられるのか、念の為に調べた掲示板などでは、結構皆さん無茶してますね。
干し椎茸や昆布は良いとして、ゆでたまご、スルメ、木綿豆腐、リンゴ、干し柿等々。牛肉や魚、魚卵なんかは、ヘシコと言ったほうが良いのでしょうか。しかし高野豆腐は凄いな。考えもしなかった。甘酸っぱい高野豆腐ってのはちと不思議。そんな先達の挑戦を見て思いついたのが、「ドライトマト」。

どうでしょうか。

そんなゲテモノ料理に関して、お伺いをたてられても困られるばかりだとは思いますが、騙されたと思って試してみて頂きたい。これが案外乙なものなんですよ。いや、騙してませんって。
ドライトマトの風味と塩味に、まろやかな酸味が加わり、まるで梅干のような味わいです。・・・梅干か。ドライトマトより値段が下った味にしてどうするんだ、と言う気もしますが、またちょっと違った風味でおいしいですよ。糠床の香も良くなる気がするし。一応私が調べた限りでは、誰もやっていなかったので、オリジナルのアイデアかとも思ったのですが、ひょっとしてこのブログをお読みの方で、既に試したことがある方がいらっしゃれば、ご一報下さい。これ読んで「試してみた!」って奇特な方もいらっしゃれば、是非に。 

sabae




never as good as the first time

2009-01-20 18:39:01 | Weblog
新年早々、不安定な天気が続き、昨年の世相を物語っているような京都です。
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
sabaeです。
昨年も年賀状を出さなかったら、今年ついに1枚も貰えませんでした。
皆やっと分かったみたいです。

年賀状もアレですが、ブログの更新の滞り方が気になっていた今日この頃、いやここ数年、このままでは年賀状同様誰も見てくれなくなるのでは、と不安になったので、少しは心を入れ替えようと心を洗いに寺社仏閣へ行ってきました。ついでにやる気を見せるために更新です。

実家も京都なので顔を出したついでに久しぶりの墓参り、アンド初詣、じゃなかった心の洗濯だ。1月2日の事なので、どちらも遅ればせながら感アリアリのまま先ずは寺(墓参り)から、父方の墓のある東山区(ほぼ伏見区だが)の東福寺へ。


東福寺といえば「通天橋の紅葉」と「方丈庭園」です。他にも国宝重文ザックザクですが、この二つを押さえておけば良いでしょう。私も他の物については全く知りませんし、家の墓がここにあることすら忘れかけていました。写真は以前観光で立ち寄った時に撮ったものですが、この時には墓の事は頭をカスリもしませんでした。さすがに写真は撮れなかったのですが、いかに臨済宗の大本山と言えど、墓地はフツーと言うか寺の規模からしたら小さな墓地で、当たり前ですが観光客も見られず、ゆっくりとお墓参りができました。心の白物を洗濯した気分で、次は色物を。徒歩で伏見稲荷大社へ。

今年はなんとなく初詣の人出も少ない気がしてましたが、さすがにお稲荷さんは2日とは言えそれなりに、ごった返してました。心の色物を洗濯するのにピッタリな色使いの鳥居や楼門を見つつ、拝殿へ。人の多さに、たどり着く前に気力が失せそうになりましたが、ここまで来たのだからと自分に言い聞かせて参拝。階段から人が落ちないように、数十人ずつ入れ替え制になっていましたがそれでも多いです。お賽銭を入れて鈴緒を引こうとしてもなかなか回ってきませんし、ようやく掴んだら、上に鈴が無かったりします。見てみると綱で鈴を横方向に繋ぎ、鈴の無い所からも鈴緒が下がっています。鈴の付いてない鈴緒(っていうか只の綱)を引いても鳴るようになっているようで、これで鈴緒倍増と言うわけです。人の数に比べて鈴が少なすぎる為、お正月のみこのような措置が採られているのでしょうが、他の神社でもやってるんでしょうか。初詣は稲荷にしか来た事が無いので分かりません。

尤も引いても鳴りやしませんが。
なんかもう、繋がっている上にあっちこっちで引き振り回しているものだから、鈴つきでも、ちょっとやそっと引っ張ったぐらいじゃ、鳴りやしません。かなり力づくでようやく鳴らして、「商売繁盛 商売繁盛 商売繁盛」と三回拝んで「それは流れ星の作法だ」とセルフで突っ込みつつ、ほうほうの体で退散してきました。こんなんでお稲荷さんに聞き届けて貰えるのだろうか。

珍しく正月らしい事をして、仕事への意気込みを新たにしつつ参道にて、お稲荷さん名物「スズメの焼き鳥」をいただいた。以前マルツに千松信也さんの「ぼくは猟師になった」と言う本を借りてから、「稲荷に行ったら絶対食べよう。」と思っていた物です。昔から気にはなっていたけれど、子供時分には食べさせて貰えなかったまま、この日まで過ぎてしまっていた憧れの食べ物。何しろもうどこからどう見ても「焼き鳥」としか言いようが無いルックス。コレに比べたら鶏のパーツが串に刺さった物なんて、焼き鳥とは呼べない。悔しかったら一羽丸ごと刺してみろ。さすがに写真はアレなので載せませんが、子供の私が食べたかったぐらいですから案外グロくないです。コンガリ焼けて食欲をそそりますよ。それでですね、こいつを頭からバリバリ齧るわけです。初めはタレの味しかしませんが、噛んでいるうちに癖の無い、いい味がしみ出てきます。肉がほとんど無い分、骨までいや頭蓋骨まで食べられます。食べてる人少なかったけど。
私は神社を出て、一番近い店に入りましたが、参道には他にも数件焼き鳥を売りにしている店があります。記憶ではもっと沢山あったように思っていたのですが、後日調べてみるとこの時点で3軒、三が日が済んでから内1軒が閉店したそうです。毎日新聞のweb版によると、材料不足が原因だそうで、スズメの減少と猟師の高齢化などで国産の収穫が激減した上、中国が野鳥の輸出を禁止したのがその理由とありました。もう2件しか残ってないのですが、名物なだけに、厳しいでしょうが頑張ってもらいたいものです。食の伝統を支える、千松さんのような若い猟師さんの存在をありがたく思います。
あ、千松さんの本に書いてありましたが、食べるなら必ず国産を。味が全然違うそうですから。尤も中国産は輸入できないし、冷凍の在庫も底を付いたらしいので、今は国産しか売ってないと思います。おいしいですよ~。

正月早々食べ物の話が長くて恐縮ですが、今年もどうぞよろしくお願いします。
皆様とご縁がありますように。

sabae