Frany's Yard

Frany's Yardはトリュフのスタッフたちが、アンティークの話、日常の中の嬉しい、可愛い、心地いいことを綴ったミニコラムです。

旅行記 飛騨 その2

2006-08-27 00:01:37 | 旅行記
今年の甲子園は熱かった。そして暑かったらしい。何よりも各チームの選手たちの信頼の厚さが心に沁みた。
皆さんあついですか?
sabaeです。今晩は。
冷房の効いた部屋でテレビ観てて、何言ってるんでしょうか。


しかし飛騨もまた暑かった。
京都となにが違うというのか。
そもそも高山市などは、小京都と渾名される町である。
京都に生まれ、京都に育った私が、時間やお金をかけて見に行く必要などあったのか?
と、前日いきなり後悔するぐらいの灼熱ぶりを見せてくれた飛騨。
2日目は白川郷で1日ぶらぶらする予定で御座います。そしてここでも灼熱。

早朝ラジオ体操の音声に叩き起こされたのは、何十年ぶりの事でしょうか。こんなおっさんにまで、夏休み気分を分けてくれてありがとう。
早めに目が覚めたので、朝食の時間までぼんやり過ごした。朝日の柔らかい光に浮かぶ部屋の柱や梁を見たり、用水路の水音や蝉の声を聴いたり。
朝食のメニューは前日の晩御飯とあんまりかわらないような・・・。動物性たんぱく質が植物性になったぐらいか?豆うまかった。そして遂に出た朴葉味噌焼き(野菜焼き)。

白川郷で2泊したが、旅館2軒に1泊ずつなので、チェックアウト。大女将、ていうかおばあちゃんが対応してくれたのだが、・・・かわいい(赤面)。
部屋に置いてあった「思い出帳」に、おばあちゃんについて書かれた書き込みが多かったのはこういうことか。おばあちゃん、ありがとうございました。
チェックアウトしてすぐ、別の、でも似たような旅館に移動して荷物を預かってもらった。ら、ここにもおばあちゃんが!
なにか?この辺の旅館ではおばあちゃん標準装備か?
おねーちゃんには弱いがおばあちゃんには更に弱い俺をどーしよーってんだ?
普段の3倍ぐらい愛想のいい人になりつつ荷物を預け、快晴の白川郷散策に出発。暑い。


先ずは展望台から白川郷全体を見渡そうと山を目指す。山の麓までは大した距離ではなかったが、流石にこの陽気ではキツイ。途中、蓮の咲き乱れる池を見て疲れを癒すも、暑さは誤魔化せず。
ダラダラ汗を掻きながら山を登っていると、山肌を滔々と流れ落ちる水が。山のどこかから湧き水が小さな滝のように流れ落ちているようだった。手を触れてみると冷たくて、心地いい。マイナスイオンとかいっぱい出てそうな心地よさ。
そういえば、舗装された山道の脇を水が流れているなーと思っていたが、恐らくこの湧き水を町の用水路に引いているんだろう。
なんだか上の方からどんどこ水流れてきてるんですが。かなり長い距離で「小さな滝」が無数に発生していた。ちょっと歩いては水触って、を繰り返し、一口掬って飲んでみたがうまかった。

展望台から見下ろす白川郷は、山間の少しばかりの平地に、家々が身を寄せ合って冬に備えているようにも見えた。藁葺き屋根は決して多くなく、6割方瓦屋根のように思った。
冬は一面雪一色で見事な景色だろうが、夏の緑も悪くない。大体冬にこんな山登る気になんかなれない。<遭難するかも

山を下りて、一般に公開されている合掌造り建築が何件かあるので見に行った。昼前ぐらいの白川郷は、多からず少なからずいい感じの観光客の入り。
のどかな田舎道をぶらぶら歩き、国の重文指定を受けている、最大の合掌造り建築を目指した。ら、住居兼土産物屋の前の水路にいきなり50cm級のニジマスが何匹も。なぜニジマス。このへんニジマス獲れるの?琵琶湖のブラックバスみたいに繁殖してる?
これまでも水路に鯉を泳がせてる所はあったのだが、ニジマスって。しかもでかっ。数も多いし、ひょっとしてこの店で養殖してんのか?ちょうど家の幅で水路を仕切り、逃げられないようになってるし。
さらに別の仕切りにはウナギまで。いやだからあの、これ商品ですか?私物?商品なら加工してから売るのか、それとも生で?と、店の人と思しき女性が。

「すいませーん、この魚何ですか?」
「ニジマスです!」
「・・・すいません。」

女性のキッパリした口調に、本命の質問を断念してしまった。てか訊いてはいけない質問だったような気がして。
いや、この世には謎のまま残したほうが良い事だってあるさ。これもそんな謎の一つなんだろう。と強引に自分を納得させ重文見学へ。
流石に重文だけあって、全て伝統的な建築素材と技法で保存してある。間違ってもウォシュレットなんか有りそうも無い。電気もギリギリ引いている感じ。
町一番のでかい家だけあって、展示してある道具類も良い物が多かった。塗りの道具も慶事と弔事で使い分けるから、色違いで揃えないといけないんですね。
3階(だだっ広い屋根裏みたいな感じ)の養蚕スペースは、藁葺き屋根を内側から見られたのが嬉しかった。葺き替え作業の映像を見た方なら分かるでしょうが、これだけの物を維持するのには凄まじいエネルギーが必要な筈。
実際写真では、人が屋根に鈴生りの状態で作業している。しかも近所(町全体が近所みたいなもんだろう)の人々のボランティアだそうだ。そうやって、近所同士で持ち回りで手伝い合って、この町の伝統を守っているらしい。
この助け合いの繋がりを「結い」と呼ぶそうだ。
藁の屋根を結うことで、人と人の繋がりも、より太く結い上げることになるのだろう。


書き出しにうまくリンク出来て、きれいにまとまった気になったものの、まだ昼です。
前日の飛騨牛食べてから、一度も空腹感を感じていなかったのですが、とりあえず蕎麦位なら食べられそうな気がして蕎麦屋へ。
いかにも観光地の食事処って感じの、テイクアウトでソフトクリームもやってるような店。三つ巴を染めた暖簾をくぐると、カウンターのみの店内を観光客が入れ代わり立ち代わり、と繁盛している様子だが、店自体があんまり無い場所なので当然だろう。
何も期待せず、盛りとビールを注文。
一口食べてちょっと驚いた。うまいっス。もっと田舎っぽい物を想像していたが、バランスの良い洗練された蕎麦。
適度なコシに微妙なツブ感がナイス。のど越し良く、ご飯のような(他に喩えを思いつかない)良い香がしてました。出汁も文句なし。
カウンター内では黙々と蕎麦を打つご主人と、くるくる良く動く奥さん、それに中学生位の女の子(夏休みにご苦労様です)が忙しそうにしていて、なんともアットホームな雰囲気に和みました。さらっとした蕎麦湯もお店の雰囲気に合ってたしね。
旅先でおいしい物に出会う喜びを噛み締めつつ、店を後に。

さてまたしても満腹になってしまった訳ですが、晩御飯までにはお腹を空かせておかなければ。特に目的も無く、全ての通り、畦道を制覇する勢いで、小さな町をぐるぐる回る。


青々とした稲が風に揺られる様子は、何故か喜びを感じる風景で、これは農耕民族の遺伝子に組み込まれたものなのでしょうか。そんな事を口走ってしまうほど、田んぼがやたら嬉しい。
稲の株元に張り付くカエルや、畦道を横切るヘビを見つけて危うくはしゃぎかけた。ヤバイ。小学生に退行しそうな勢いだ。
気持ちを落ち着かせるべく、ちょっと離れた(白川郷の中心から離れた)神社に向かった。名水が涌いてるらしいので。
国内のしかも田舎に旅行したら最低、水、米、酒、醤油、味噌位はチェックしたいもの。そのチェック項目第1位の水だ。
なんでも「麝香松の水」とかなんとか呼ばれる水らしく、湧き水が松の根の間を通る為に、香が着いてそのように呼ばれているらしかった。
「ゴタクはいいから飲ませろや!」とばかりに、ちょろちょろ流れている水を掬って飲んだら、冷え冷えで美味しいし。ゴタクじゃなくて、事細かな解説有難うと石碑に感謝。道中に買ったお茶のペットボトル(捨てられずに持っていた。)に汲むだけでは飽き足らず、顔洗ったり、足を浸したり。
散策に疲れた私の体をすっかりリフレッシュしてくれた、こんな名水の涌いている場所なのに誰も来ないよ。白川郷に(夏に)行ったら是非味わって貰いたい物の一つです。
「麝香松の水」。売りださねーかな。<そんなに涌かないと思う


疲れては癒され、疲れては癒され、まるで私の人生の様な散策を切り上げて、前述の宿にチェックイン。
つかれたー。結局全然お腹は減ってないんですけど、食事は6時。
前日の宿では家のすみっこの部屋に通されたので、気楽な感じだったのですが、今回はほぼ家の中心、囲炉裏のある部屋(食事する部屋、ってか広間)の真隣。
ごろごろしてたら配膳の音が聞こえてきて、なんか正座しなきゃいけないような気がしましたよ。
それでも、家の中心に近いだけあって、梁や柱の太さ、すすけ具合(囲炉裏近いしね)を見て、言葉にならないような感動を覚えた。
いよいよ6時。食事の時間ですが、全然お腹減ってません。
献立は、前日の宿と同じ。白川郷全体、季節によって献立が決まってるんでしょうか?
ただ、飽きたとは思わないし、同じ献立だけに、それぞれの微妙な違いが分かって楽しかった。
個人的な感想ですが、料理は昨日の宿、建物は今日の宿が良かったです。

そして、例によって用水路で冷やした酒を飲んで寝ました。

続く。


sabae


corinne bailey rae "corinne bailey rae"






旅行記 飛騨 その1

2006-08-21 00:59:02 | 旅行記
太陽の恵みにすら悪態をつく程の、暑さが続く今日この頃、如何お過ごしでしょうか。
暑い。暑すぎ。sabaeです。今日は。

大抵の方は、夏休みなり盆休みを、楽しんだり楽しまれたと思います。
去年までの私なら、それこそ骨休みが関の山の夏休み。一昨年までの私ならいや言うまい。
が、今年は去年よりパワーアップ!6日もあるよ!飛び飛びに!
飛び飛びってのが気になりますが、なにこれなんのサプライズ?俺に旅行でもさせて旅行記でも書けってことか?なぁ?

んで、行ってきたのですが。
言っておきますが、連休は最大3日なので、2泊3日の旅行です。

行き先は岐阜ってか、飛騨高山と白川郷だから飛騨旅行と言った方がいいですね。人生初の岐阜行です。

初日:京都>高山(昼食)>白川郷(宿泊)
2日目:白川郷(散策、昼食、宿泊)
3日目:白川郷>高山(散策)>京都
大体こんなざっくりした予定でGO!



初日、京都駅に朝っぱら来たわけですが、無論頭の中は飛騨牛100%です。
利用する「ワイドビュー飛騨」はグッドデザイン賞を受賞した、キハ85系車両を使用しているらしいですが興味ありません。
早起きして眠いし、とっとと高山まで連れてってくれ、てな感じだったのですが、トイレが自動ドアだったのにはビビッた。
目が覚めました。しかもドアなんか円いし。宇宙船のトイレかと思いましたよ。
また宮川、神通川沿いで、飛水峡など車窓からの景観も美しく、4時間近い電車の旅を楽しむことができました。
ありがとう「ワイドビュー飛騨」。この辺の事は今調べたのですが。行く前に調べとけよな>俺

そして高山に着いた時には良い感じに昼食時。牛です。しかもただの牛ではありません。

飛騨牛です。

こればっかりはしっかり調べて予約しておいた、ステーキ屋さんへ。
ついてみたら行列ですよ。前日あわてて(<精一杯のしっかり)予約しておいて良かった!
飛騨牛待ちの15~20人を横目に、優越感すら味わいながらテーブルに通されると、待合室めっちゃ近い。
なんかドアのガラス越しの視線を感じつつ、なんかゴージャスな名前のついたランチセットをオーダー。
「うまっ!!」
ってそれはサラダです。サラダからしてかなりのゴージャスさを醸し出している。いやが上にも期待は高まるというもの。
そして遂にステーキ(ヒレ)がテーブルに。「THEステーキ」と呼びたくなるほどの威容でした。厚い。
脂の多い濃厚な味で、調味料は塩胡椒だけで十分な旨み。あっさりめのワインの味が良くなった気すらした。
ソースボートに入ってたソースはまったく使わず。いらないな。
付け合せも色々あって、どれもおいしかったけど何食べたか忘れた。それぐらい飛騨牛は旨かった。
飛騨に着いたばかりなのに「また来よう。」と心に誓いました。


その日は偶然にも、さんまち通りで「我楽多市」が行われていたので、バスの時間まで露天を覗くことに。
快晴で暑いと言うか痛い程の日差しの中、和菓子の型とか、大工道具が安く売られていたので、危うく買いそうになるが、初日から荷物を増やす気にならなかったので見て回るだけにしました。
あのあたりは骨董屋の多い地域らしいので、3日目にゆっくり散策することにしてバス停に。


途中雨、いや豪雨に降られずぶぬれの状態でバスに乗り込み白川郷へと向かう。山の天気は変わりやすいってのは本当ですね。バス乗ったらすぐ晴れやがった。
のんびりバスに揺られつつ、世界文化遺産、白川郷に着くと案外観光地化しててちょっと萎えた。お土産屋さん多いなぁ。
今日はとっとと宿に行って飯食って風呂入って寝よう。ってことで、予約した宿を探していると、村を縦横に流れる農業用水路や、田んぼの畦道に癒される。
昔はウチの近所にもこんな風景だったなぁ、いやさすがに藁葺き屋根はなかったですが。これか、これが文化遺産合掌造りか。

宿も合掌造りや囲炉裏を保存したまま旅館にリフォームした建物で、新しい部分を古い部分にうまく合わせてありました。
木材や畳の匂いに包まれているだけでも気持ちが落ち着くものですね。ちょうど部屋の障子を開けると用水路が流れてて、せせらぎを聞きながら寝転んでいたら案の定寝た。落ち着きすぎ和みすぎ。
気がつけば食事の時間で。いや晩飯6時って早過ぎない?まだ胃の中の飛騨牛消化しきれてなかったのですが・・・。
尤も昼とは打って変わって、低カロリーなお食事で胃の負担は軽そう。
塩味で頂く山菜の天麩羅、御浸し、小ジャガイモを甘辛いタレにからめたもの、固豆腐、牛肉と野菜の陶板焼き、岩魚の塩焼き、他なんかあったような・・・。
もうくえねえ。どれもこれもおいしくて、本当に毎日こういうものを食べたいと思っているのですが、量多いです。
なんとか完食したころには、おいしくて嬉しいんだか、悲しいんだか分からなかった。ご飯もおいしくておかわりしたかったのですが、そいつは無理な相談でした。

食後散歩がてら温泉施設行って、用水路で冷やしておいた「鬼殺し 怒髪衝天(高山で買った)」を飲みながらのんびりと1日目終了。


飛騨の感動を濃縮したらだらだらと長くなって、しかも飲み食いの事ばっかりになりましたが、この日はほんと飲み食いしかしてなかったから・・・。


続く。


sabae



Kirsty MAcColl "TITANIC DAYS"