兵庫県加東市の青山医院の日記です!

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低体温症

2020年12月13日 | 病気

昨今のコロナ感染症の影響で、ご自身の体温を測る機会が昨年の今頃に比べてぐっと増えた人が多いのではないでしょうか。

子供たちの幼稚園でも毎朝、体温測定を記録し、体調を親が記載して登園をしています。会社でも毎朝の測定が決められているところも多いようです。

いつも脇の下やオデコなどで熱を測定すると思いますが、これは深部体温というものを測定(もしくは予測)するものになります。

 

例えば、冬に外を外出していて手袋をしていなかったら手の表面は冷たくなります。そして部屋に入るといつの間にか手の表面が暖かくなっているのに気が付きますか?このように体の表面の温度は外気温によって多少左右され、これを皮膚体温 といいます。

一方、私たちの身体は冬であろうと夏であろうと同じように機能しなければ、日常生活は営めません。このため、内臓や脳などの大切な臓器を守るために、身体の中心部の温度は常に一定に保たれています。この体温が深部体温と呼ばれるものです。

 

外来をやっているときに「いつも体温を測ると35度台で病気じゃないか?」とかおっしゃる人が割と多くいますが、低体温症とは平熱の低い方のことではありません。熱中症の逆のイメージで 熱中症は体内の内臓の熱が上がりすぎて機能不全となり、最悪の場合に死に至ることのある症候群です。

低体温症は反対に体温が下がりすぎて内臓を維持するための熱=エネルギーが作れない状態になって、機能不全になるものです。

山などで遭難して凍死と表現されますが、これが低体温症による死ということです。

もう一つは屋外でのスポーツなどでもリスクがあります。激しい運動で熱が上がり、深部体温を一定にするために汗が大量に出る。その後、運動を終えても汗がすぐにひかない。汗を拭かずにそのまま屋外にいると汗で熱がさらに奪われて、体温が下がるというサイクルが起こります。

 

気温の低い季節だけでなく、風が吹いている場所などでも体を冷やすため、出た汗で体温はどんどん奪われます。こうした状況で低体温症は発生します。

 

低体温症は体温が35度以下に低下すると診断されます。日常生活では気温の低い日に、十分な暖かさのない部屋で寝ていたり、体を動かさないでいると体温が保てなくなり、低体温症になります。これは高齢者に特に陥りやすいケースです。

先日、外来に見えた高齢者の方が、石油ストーブは危なくて使えないし、エアコンは風が嫌だから使わない。こたつも持ってないから、あったかい服を着てじっとしているんだ とお話ししていました。これから来週にかけてさらに気温が低くなると予報が出ていることが頭をよぎり、危険だなと思いました。

軽度の場合は暖かくする、温かい飲み物を飲む、身体のエネルギー源となる甘いものを食べるなどして体を内外から温めて様子を見る必要があります。

 

今年はずいぶん暖冬のような気がしますが、寒さはこれからが本番です。

頻度的には低いのかもしれませんが、先日のお年寄りとのやり取りがあったため低体温症について書いてみました。

どなたかの参考にでもなれば幸いです。

 


 

コメント (2)
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