さらさらと流れる水の音から目覚める
山旅三日目。
テントを撤収し、出発しようとすると、農鳥岳の上の雲が赤く焼けている。この兆候は何を意味するのか。

熊の平を出発して30分。農鳥岳へのトラバース道に到着すると、仙丈ヶ岳に朝日が当たる。

ハイマツの海彼方に塩見岳が見える。
昨日の登頂が夢の様。

トラバース道はハイマツとダケカンバの中を進んでいく。段々と周りが明るくなってきた。

行く手は一昨日歩いた稜線の真下を行く。もしもでも、上の稜線を歩いて間ノ岳から農鳥岳へ、なんて考えたくない。

これから目指す農鳥岳がはるかにそびえる。この山を越えていかねばならないんだ、と改めて思う。

トラバース道の中間地点だろうか、水場がある。この源流が大井川となって太平洋へ流れる。なんて壮大なドラマなんだろう。

そんな流れが下る深い谷間も少しずつ明るくなってきた。山また山を縫って、遥かなる流れの旅を想うと気が遠くなる。

そしてトラバース道ももう少しで終わり。農鳥岳までもうちょっと、かと思う。

いやいや、まだそこに農鳥沢が控えている。

しかも約100 mぐらい一気に下る。しかもここにきて、強烈な吹き上げの風。

降り終えたら今度は一気に登らなければならない。

強い風に煽られながら、農鳥岳の基部に着く。さあ、これから登りが始まる。

耐風姿勢を取りながら登るが、油断をすると身体を持っていかれそうになる。

上空は青空が広がっているのが救い。
ただ強い西風で身体半分が寒い。

農鳥岳の北壁。雪崩で削られたかの滑らかさ。絶壁の怖さすら忘れる光景。

(続く)
山旅三日目。
テントを撤収し、出発しようとすると、農鳥岳の上の雲が赤く焼けている。この兆候は何を意味するのか。

熊の平を出発して30分。農鳥岳へのトラバース道に到着すると、仙丈ヶ岳に朝日が当たる。

ハイマツの海彼方に塩見岳が見える。
昨日の登頂が夢の様。

トラバース道はハイマツとダケカンバの中を進んでいく。段々と周りが明るくなってきた。

行く手は一昨日歩いた稜線の真下を行く。もしもでも、上の稜線を歩いて間ノ岳から農鳥岳へ、なんて考えたくない。

これから目指す農鳥岳がはるかにそびえる。この山を越えていかねばならないんだ、と改めて思う。

トラバース道の中間地点だろうか、水場がある。この源流が大井川となって太平洋へ流れる。なんて壮大なドラマなんだろう。

そんな流れが下る深い谷間も少しずつ明るくなってきた。山また山を縫って、遥かなる流れの旅を想うと気が遠くなる。

そしてトラバース道ももう少しで終わり。農鳥岳までもうちょっと、かと思う。

いやいや、まだそこに農鳥沢が控えている。

しかも約100 mぐらい一気に下る。しかもここにきて、強烈な吹き上げの風。

降り終えたら今度は一気に登らなければならない。

強い風に煽られながら、農鳥岳の基部に着く。さあ、これから登りが始まる。

耐風姿勢を取りながら登るが、油断をすると身体を持っていかれそうになる。

上空は青空が広がっているのが救い。
ただ強い西風で身体半分が寒い。

農鳥岳の北壁。雪崩で削られたかの滑らかさ。絶壁の怖さすら忘れる光景。

(続く)