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私達が設計・監理する住まいは、一人ひとり違う住まい手の要望を元にしていますので様々な規模、仕上げ、形をしています。
つくる場所も工場ではなく、現場です。
そんな一品生産の住宅の施工品質をどう保てば良いのでしょうか。
(1)規格的なものしかつくらない?
(2)強権的に現場の工事担当者に接する?
(3)現場に毎日通う?
どれも方法としてはあるのかもしれませんが、私達がとっている方法は違います。
(1)では、一人ひとり違う住まい手の要望に対応できません
(2)では、実際の施工品質を保つことはできません
(3)では、現場に通う以外の仕事ができなくなってしまいます
答えは、図面化するときに「住まい手の多様な要望を活かしながら、なるべく現場での品質が高くなるようなつくりやすくなるように心がける」です。
例えば上の写真は断熱気密施工が終わった段階の見学会の写真ですが、この段階では内部に間仕切り壁がなく外壁と屋根の室内側の気密シートが全部見えています。このように、耐震と断熱・気密の役割をする外壁と屋根を先につくり、その後内部の部屋を仕切る間仕切り壁をつくることで、断熱・気密工事がかなりしやすくなります。
また、室内の電気配線などもこの段階では終わっていません。室内の電気配線は、気密シートの室内側に3cm厚の配線スペースを確保して通します。
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こうすることで、電気配線と断熱工事を一緒にしなくてよくなり、工期も短くなりますし断熱部分を配線・コンセントカバーで欠損せずにすみます。
このようなつくりをすることで、気密性能はC値0.3~0.5程度を安定して確保できます。(C値0.5は玄関が引戸の場合)
住まい手の要望を聞き、住みやすさだけでなく、断熱・気密、構造・雨仕舞い等の施工まで考慮して図面化をすることが設計事務所の役割の一つだと考えています。
他にもいろいろ工夫はありますが、まずは断熱・気密に関しての施工品質の確保をするための設計上の工夫についてご紹介しました。