長島 潤 Sing a mindscape

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大佛次郎「帰郷」

2021-12-13 10:42:00 | 

再読のための覚え書き


帰郷

大佛次郎(1897-1973 


元海軍将校の守屋恭吾は、仲間との公金横領の罪を一人で被り、外国で逃走。妻子に行方も告げず、欧州各地を独りで放浪する。


十数年を経て、敗戦後の日本に帰国した恭吾が見たものは、変わり果てた日本の姿だった。


「軍の圧迫があったから戦争に協力したと今になってから言うのは、そう言えばなるほどそれに違いないが、人間として卑怯者だ。ただ、動いたのだ。気狂い染みた強い風に吹かれて動いたのだ。悲しい哉、動くように出来ていたともっと自分で気がついたら。ところで相も変わらず群動だけとはね。いつまでも根が地面に降りない。」


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恭吾以外の登場人物の一人一人を、敗戦後の日本の様々な姿の象徴として置き、恭吾の目を通して、著者の憤りを静かに表出している。



2021.12.12読了


帰郷

新潮文庫

昭和271030日初版発行

昭和4011526

旧仮名遣い


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