再読のための覚え書き
娼婦の部屋・不意の出来事
吉行淳之介(1924-1994)
「私」はいつも、娼婦の部屋の秋子を訪れる。秋子の部屋は「私」にとって安息の場所だった。
秋子は、娼婦の街の外に職を求め、街を出て行く。「私」は、秋子のいなくなった街を歩き回る。
そして秋子は、出て行く度に、再び娼婦の街に戻ってくるのだが、やがて、娼婦の街は「私」を必要としなくなり、「私」もまた、その街を必要としなくなる。
「私が秋子に感じた痛ましさは、その痛ましさに私が軀を寄添わせてゆく種類のものではなかった。私は一段高い、安全な場所に立って、その痛ましさを眺めているのであった。それに伴って、私とその町には落差ができてしまい、また、その町は私の眼の前で色褪せかかっていた。」
2022.1.15読了
娼婦の部屋・不意の出来事
新潮文庫
昭和41年1月10日初版発行
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