再読のための覚え書き
春園
横光利一(1898-1947)
3年暮らしたフランスから日本に帰ってきた泰太郎は、友人の安藤から、一人の少女を紹介された。
それは、安藤の頼みで、泰太郎がかつて金銭の援助をしたことのある、身寄りのない美紀子だった。
安藤はしきりに美紀子の背景を隠したがるのだが、泰太郎は美紀子の世話をしながら、彼女の出自について気付いてゆく。
「あたしね、ほんとうはお父さんを知っちゃったの。でも、誰もあれがお前のお父さんだって、教えてくれた人がないんですのよ。矛盾してるでしょう。あたし、そんな人たちの勝手な真似の中から、生れて来たんだと思うと、そんならあたしも、どんなことがあったって、知ってやるものかと思っちゃいましたの」
2022.3.18読了
春園
新潮文庫
昭和24年6月10日初版発行
昭和42年2月15日21刷
旧仮名遣い
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