再読のための覚え書き
犀星王朝小品集
室生犀星(1889-1962)
《津の国人》
伊勢物語の中の「梓弓」を基にして書かれた短編小説。
平安時代、困窮した生活を送る夫婦がいた。
夫は念願の宮仕えが決まり、都に行くことになった。妻の筒井は、1年後に夫が迎えに来るのを、田舎で働きながら待つ決心だ。
筒井が働くのは、ある役人の家だったが、間もなくその家の青年に結婚を申し込まれる。
月日は流れるが、夫からの便りは来ず、迎えにも来てくれない。青年の申し出を保留して、既に3年が経とうとしていた……。
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平安王朝時代の女性たちを描くものの、史実に反し、時代考証が雑なことで知られる犀星の王朝小品集。しかし、だからこそ描けた女性たちの生き方が、より純粋な美しさを伴って、現代の我々の心を揺さぶるのかもしれない。
2022.3.28読了
犀星王朝小品集
岩波文庫
1984年3月16日初版発行
1985年9月20日2刷
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