再読のための覚え書き
海の牙
水上勉(1919-2004)
熊本県水潟市の漁村で相次ぐ奇病。化学工場が吐き出す汚水が原因らしく、水銀を含んだ魚を食べた動物や人間が苦しみながら死んでゆく。
その「水潟病」の調査に来た東京の保険医が、他殺死体として発見され、知らせを受けて東京から来た妻も行方不明となる。
地元の警察医の木田は、「水潟病」の患者の治療をしながら、勢良警部補とともに事件の真相を探ってゆく。
「そうだ、この海……この暗い海の底から、目に見えない何ものかが牙をむいて迫っている」
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水上勉が松本清張の「点と線」に触発されて書いたという社会派推理小説だが、水俣病の告発として作者の怒りが随所に垣間見える。
2022.3.24読了
海の牙
角川文庫
昭和33年9月10日初版発行
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