再読のための覚え書き
今ひとたびの
高見順(1907-1965)
「私」は、劇団の舞台に立つ「その人」の美に心を打たれた。それが初めての出会いだった。
しかし、左翼運動に身を投じていたための投獄、「その人」の結婚、戦争への徴兵によって、幾たびも二人の距離は隔たってしまう。
哀切のこもる恋愛小説。
「清純な恋。私はダンテのベアトリチェに対する愛を思うのであった。さらにかの悲しい姿の騎士ドン・キホーテの、その恋人ドゥルチネーヤに対する悲しく清純な恋を思った。その生涯を通じて変わらなかった純愛は、思うにともにその恋を現実のものにしようなどと考えなかったところに、その愛の純粋と誠実と熱烈とが保たれたのではなかったのか。」
2022.2.2読了
今ひとたびの
角川文庫
昭和31年4月15日初版発行
昭和47年8月30日改版5刷
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