再読のための覚え書き
真実一路
山本有三(1887-1974)
小学生の義夫は、父の義平と、姉のしず子との三人暮らし。母はずっと昔に亡くなったと聞かされている。
あるとき義夫は、姉が見知らぬ女性を「お母さん」と呼ぶのを聞いてしまう。慌てた姉は弟に、それは聞き間違えだと言うのだが……。
作中の人物がそれぞれに人には言えない秘密を抱え、それがゆえに真実一路を生き、その結果、他人との食い違いが生じてしまう。
「そりゃだれだって、うそをついていたくない。ほんとうのことが言えさえすれば、そのほうがどんなにいいか、わかりゃしない。けれども、世のなかでは、うそをついていなくてはならないことがしばしばあるんだ。うそのほうが真実よりももっと真実のことが、しばしばあるんだ」
2022.2.17読了
真実一路
角川文庫
昭和29年3月15日初版発行
昭和43年5月10日改版再販
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