再読のための覚え書き
エトルリヤの壺
プロスペル・メリメ(1803-1870)
杉捷夫訳
《エトルリヤの壺》
サン-クレールは、ド・クルシ未亡人と心を通わすが、彼女が大切にするエトルリヤの壺に他の男の影を見て疑心を抱く。
「殿方というものはみんなドン・ファンという評判をとりたいらしいのね。ところが、人の奥さんを盗んだつもりでいて、その実殿方の出くわすのは、大抵、殿方より役者が一枚上のドナ・ファナではなくって?」
友人同士で恋愛論が語られる中、愛する女に心を悩ませる男の心の浮き沈みがおもしろかった。
他五編
どの話も、陰鬱で不条理な死がつきまとうが、そこに善も悪も問わず、ただ運命と切り捨てるかのような描写が、刃物のように鋭い。
2021.7.1読了
エトルリヤの壺
岩波文庫
昭和3年7月25日初版発行
昭和49年8月20日30刷
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