再読のための覚え書き
風船
大佛次郎(1897-1973)
かつて日本画家として嘱望されながらも後に実業家となった村上春樹は、息子をはじめとする戦後派の乾いた若者たちや、戦前とは様変わりした世間の空気に馴染めず、自ら培った感性で、清貧の生き様を求めていく。
風船のように浮かび飛んでゆくそれぞれの着地点。
「生きるってことは、罪の深いことのようだね。・・・生きることが素晴らしいものだと人が考える裏側に、そういう影がいつもあるんだよ。だから、自分だけ幸福ならばよいと信じている人間は、おかしいんだね。生きる権利だけを主張する社会と言うのも実は、人間の生きる悲しみを知らない話じゃないか」
2022.1.5読了
風船
新潮文庫
昭和33年12月31日初版発行
昭和43年9月30日12刷
旧仮名遣い
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